ツェリン・トブゲ

CO2排出量マイナスの国、ブータン

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Translated by Mari Arimitsu
Reviewed by Riaki Poništ
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気になっている方のために お断りしておくと これはドレスではありません あと 中に何を着ているかは 教えません

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(笑)

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これは「ゴ」と言います 民族衣装です ブータンでは 男性は全てこのように装い 女性はこんな風に装います 女性同様 男性も華やかな色を身につけますが 女性と異なるのは 脚を見せびらかせるところです

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(笑)

0:49

民族衣装もユニークですが ブータンがユニークなのは これだけではありません 「カーボンニュートラル」 (CO2排出量ゼロ)の誓いを 守っていることも然りです 今日はこの— カーボンニュートラルの誓いについて お話しします

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お話を続ける前に 背景からご説明します ブータンについてです

1:10

ブータンはヒマラヤ山脈に 抱かれた小さな国です シャングリラと称えられてきました 最後の秘境とまで言われています でも言わせてください 我が国はシャングリラではありません お坊さんが幸せに暮らす 大寺院の国でもありません

1:27

(笑)

1:29

現実を見れば 人口 わずか70万で 世界最大の人口を有する 2つの大国— 中国とインドに囲まれています つまり我が国は 小さな開発途上国で 生き延びていくのに 精一杯です それでも なんとかやっています 生き延びています 事実 我が国は栄えています 繁栄の理由は 幸いなことに— 卓越した国王たちのおかげです 良識ある王室が たゆまず 国の成長に尽力してきました 優れたガバナンスの枠組みの中で 経済成長と 社会発展や 環境的持続可能性 文化の保護のバランスを 慎重にとってきました この包括的な開発へのアプローチが 「国民総幸福量」すなわち “GNH” です 1970年代に ご存知のように 第4代国王が 「ブータンにとって 国民総生産より国民総幸福量が重要だ」 と提唱しました

2:38

(拍手)

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それ以来― ブータンでの あらゆる開発は GNH— 国民の幸福の最大化を目的とする 先駆的なビジョンを 柱にしています

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ただし 言うは易く 行うは難しです 世界で最も小さな経済国であれば なおさらです 我が国のGDPは 20億ドルにも達しません この会場には もっと稼いでいる人もいて—

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(笑)

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その方個人の経済力が 我が国を上回っていることでしょう

3:19

そんな小さな経済国ではありますが 注目すべきこともあります 教育は全て無償です 全国民に無償の学校教育が保障され 努力した学生は 無料で大学に進学できます 医療も完全無償です 診察、治療、薬は 国が全負担するので無償です これができるのも 国内の限られた資源を 非常に慎重に扱い GNHの中心的なミッションを 守り続けているからです すなわち「価値を伴う開発」です ブータンの経済力は弱く 強化せねばなりません 経済成長は重要ですが ユニークな文化や 本来の姿のままの自然を損なうことなく 進めなければなりません

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こんにち ブータンの文化は栄え 独特のアート、建築物 食べ物、フェスティバル 僧侶、寺院は我々の誇りです もちろん 伝統衣装もです ですから誇りを持って「ゴ」を 身につけています 面白いことを教えましょう 世界一 大きな ポケットが付いています

4:41

(笑)

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ここから始まって 後ろまで回って ここに繋がっています このポケットの中には あらゆる物が入ります 電話や財布 iPadやオフィスの書類 そして本など

5:02

(笑)

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(拍手) でも 時には もっと大切な荷物も入れます

5:13

このように我々の文化は栄え これは環境も同様です 国土の72パーセントが 森林で覆われています 憲法では 全国土の6割以上を 常に森林として維持するよう 定められています

5:32

(拍手)

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我々の憲法— この憲法が 国民に森林の保全を課しています また 国王はこの憲法の中で 民主主義も義務化しました 我々 国民はもともと民主主義を 欲していませんでしたし 求めもしませんでした 民主主義のために戦ったわけでもなく 代わりに 国王が国民に 民主主義を課したのです 憲法に民主主義を 入れることを主張したのです これだけではありません 国王は憲法の条項に 国民が王室を告発する権利を含め また 全ての国王が 65歳で退任するようにも 定めました

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(拍手)

6:30

実際 すでにご隠居生活中の 国王がいらっしゃいます 前第4代国王陛下です 10年前にご退任されました 人気絶頂の時のことです 当時 まだ51歳の若さでした

6:50

さて お話ししてきたように ブータンは72パーセントの国土が 森林で覆われていて その全てが未開拓のままです これがブータンに世界でも有数の 多様性溢れる生態系が 集中している理由であり カーボンニュートラルである理由です 世界が気候変動の脅威に さらされている中で ブータンは カーボンニュートラルの国です

7:14

これが実は重要なのです 世界にある2百あまりの国の中で カーボンニュートラルなのは 我が国だけだからです ただし 厳密に言うと違います カーボンニュートラルではなく カーボンネガティブ(排出量マイナス) なのです ブータン全体で 22億トンの 二酸化炭素を排出していますが 国内の森林が除去する量は その3倍以上です つまり我が国は 年間4百万トン分以上の 二酸化炭素を吸収する力があります これだけではありません

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(拍手)

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国内の急流から生み出された 再生可能な電力の ほとんどを輸出しています つまり こんにち我が国が 輸出するクリーンエネルギーは 近隣国の二酸化炭素を 約6百万トン相殺しているのです 2020年までには 1,700万トンの 二酸化炭素を相殺するのに 十分な電力を輸出する予定です さらに 潜在的な水力発電源の 半分だけでも駆使すれば― まさに今取り組んでいますが― 我々が輸出するクリーンな グリーンエネルギーで 5千万トンの二酸化酸素を 一年間で相殺できるようになります これはニューヨーク市全体が一年間で 排出する二酸化炭素量を上回ります

8:44

つまりブータンは 国内は 二酸化炭素の吸収源であり 対外的には 二酸化炭素を相殺する国なのです これは大変重要です 地球温暖化が進行し 気候変動は現実の脅威です ブータンも影響を受けています 国内の氷河が溶けて 洪水や地滑りを引き起こし 災害や広範囲に及ぶ破壊を 引き起こしているのです 最近 この湖を訪れました 素晴らしい光景です 10年前はこのような姿で 20年前はこんな姿でした たった20年前 この湖は存在しませんでした 硬い氷河だったんです 数年前ですが 似たような湖が 決壊して洪水を起こし ふもとに大被害をもたらしました 1つの氷河湖の決壊によって 起きたことです ブータンにはそんな氷河湖が 2,700個もあるんです ここで大事なのは 我が国と我が国民は 地球温暖化に 一切加担していないのに 既に とばっちりを食らっているのです 貧しい小国 しかも 山の多い内陸国にとっては 非常に困った状況です それでも ただ手をこまねいて いるわけにはいきません 気候変動には立ち向かいます だからこそ カーボンニュートラルの誓いを 守り続けてきたのです

10:21

この誓いは 2009年に立てられました コペンハーゲンでの COP15 開催中でしたが 誰も気づきませんでした どの政府も議論に忙しく 気候変動の責任のなすり合いに 夢中だったからです そこで小さな国が手を挙げて 「常にカーボンニュートラルで あることを誓います」と宣言しても 誰の耳にも届かず 誰も気にかけませんでした

10:50

昨年の12月にパリで COP21が開催され ブータンはここでも再び 常にカーボンニュートラル であることを誓いました この時になってやっと 誰もが耳を傾けてくれたのです パリでは何が違ったのかというと 各政府が集まって 気候変動の現実を受け止め 手を取り合い 一致団結して 取り組む意欲があったことです 極小国から超大国まで 全ての国が 温室効果ガスの排出量を 減らすことを誓いました 国連気候変動枠組条約の発表によると もし この「約束」が守られれば 地球の気温上昇を 摂氏2度に抑えるという 目標に近づきます

11:45

ところで TEDのオーガナイザーに 会場の温度を2度上げるよう お願いしています ですから いつもより 暑く感じている方 誰に文句を言えばいいか 分かりますね

12:02

私たち全員が公約を守ることが 非常に重要です ブータンについて言えば カーボンニュートラルの誓いを 守り続けていきます その方法を いくつか ご紹介しましょう 田舎の農家には 電気を無償で提供しています ねらいは何かというと 電気が無料なので 薪を使わずに 料理ができます また 持続可能な交通手段に投資し 電気自動車の購入に 助成金を出しています LED照明の購入費用を助成も行い 政府内ではペーパーレスを 目指しています 国家プログラム「クリーンブータン」 を通して 国全体で清掃活動をし 国中で植林も行っています こちらは「グリーンブータン」という 別の国家プログラムです

12:55

ただし 保護区域こそが カーボンニュートラル戦略の 中核です 我々の二酸化炭素吸収源として 呼吸を担う肺のようなものです こんにち 国土全体の 半分以上が保護地域の 国立公園、自然保護区 野生生物保護区です この地域の美しいところは 全てが繋がっていることです 生物回廊という 動植物の移動経路を通してです これは つまり 野生動物たちが 国内を自由に 移動できるということです 例えば このトラ 海抜250メートルで確認されました 気温の高い 亜熱帯のジャングルの中でです 2年後に 同じトラが 海抜4千メートル付近で確認されました 今度は気温の低い 高山地の山脈の中です 素晴らしいでしょう?

13:52

(拍手)

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これを保たねばなりません この素晴らしい状態を保たねばなりません ブータンでは毎年 密猟や狩猟 採鉱や公害から 国中の保護区域を守るための予算や また 区域内に住まう人々が 森林を管理し 気候変動に対応し 母なる自然の調和を保ちながらも 生活レベルを改善できるよう 支援するための予算を確保しています

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ただ 費用がかかります 向こう数年の間は 我々の小さな経済では 国の環境を保護するのに必要な費用を 全てはまかなえません 実際 試算してみたら この費用を完全に 工面できるようになるまで 少なくとも15年はかかることが わかりました しかし ブータンも その他の国々も 15年もかけていたら 手遅れになってしまいます

14:55

そこで国王陛下が “Bhutan For Life” を始め 我々に時間稼ぎと 呼吸する余裕を与えてくれました これは ブータンに 十分な経済力がつくまでの間 国内の自然区域を 管理し 保護するための 資金調達の仕組みです ねらいは 個人、企業、団体から 移行基金を募ることですが 事前に決めた条件に達し 資金が揃った段階で初めて 取引成立です 出資者は複数で 達成時実行型です ウォール・ストリートから ヒントを得ました 各出資者が 資金が揃わない計画を支援して 取り残されるという 不安を解消します Kickstarterのプロジェクトに 似ていますが 違いは 15年という期限と 数百万トンの二酸化炭素が かかっていることくらいですね いったん取引が成立すれば この移行基金によって 自然区域を守り 同時に― 我が政府が 徐々に資金を増やす 時間ができます 15年という期間が終わるまでです その後は ブータン政府が自力で 資金調達をしていきます

16:19

ゴールは間近です 今年中には成立する見込みです ですから 非常にワクワクしています

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この企画の主要なパートナーである 世界自然保護基金に 大きな感謝を表明します ブータン そして世界中で 素晴らしい活動をしています

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(拍手)

16:48

いやぁ 暑くなってきましたね

17:03

ここまで聞いていただき 感謝します カーボンニュートラルの誓いや 手つかずの環境を 我が国が どのように守っているか お聞きいただきました 我々のため 子供たちのため そして 皆さんのお子さんのため 世界のためです でも私たちは ただ話を聞くだけではなく 一緒に夢を見るために ここに集まったのですよね ですから 最後にもう1つ 夢をお話しします ここにいる我々の リーダーシップと資源 影響力と情熱を駆使して “Bhutan For Life” の アイデアを他の国でも再現すれば そこでも 保護区域をずっと 守っていくことができます なぜなら 多くの国々が ブータンと同じ問題に直面していて 同じく持続可能性の戦いに 勝ち抜きうる— 天然資源を有しているにもかかわらず 今は それに投資する 余裕がないのです ですから “Earth For Life” “Bhutan For Life” を 世界中で実施する世界基金です 皆さんに協力をお願いします この夢を 国境を越えた— 地球の未来を大切にする 全ての人々に届けましょう 一緒に夢を語り 手を取り合いましょう 共に気候変動に立ち向かい 地球を守りましょう なぜなら これは全人類の問題だからです 着るものが違っても 問題は一緒なんです

18:42

どうもありがとう kadrin chhe la ありがとう

18:46

(拍手)

18:47

どうもありがとう

ヒマラヤ山脈に抱かれ、中国とインドという大国に挟まれた小国ブータンは、「カーボンニュートラル(CO2排出量ゼロ)の誓い」を常に守り続けてきました。ブータンのツェリン・トブゲ首相が、経済成長よりも幸福を重視し、環境保護の世界基準を作るというブータンのミッションについて語る、啓発的なトークです。

About the speaker
Tshering Tobgay · Prime Minister of Bhutan

Acting on his mandate to move Bhutan into the 21st century, Prime Minister Tshering Tobgay is transforming his nation — while maintaining its “Gross National Happiness.”

Acting on his mandate to move Bhutan into the 21st century, Prime Minister Tshering Tobgay is transforming his nation — while maintaining its “Gross National Happiness.”