アンドラス・フォーガッシュ
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父と私が3Dプリンタで ヒトの組織や臓器を作る会社を始めた時 私たちを少しクレイジーだと 思った人たちもいました しかしその後技術は大いに進歩しました 私たちの研究所でも他の研究所においてもです そうなると 問い合わせを受けるようになりました 「ヒトの組織を培養できるのならば 動物由来の製品—肉や皮など—も作れるのでは?」 この提案を最初に受けた時 私は彼らの方が少しクレイジーだと思いました しかしすぐにこのアイディアは 少しもおかしくないことがわかりました クレイジーなのは私たちが今行っていることです 間違いなく 30年後に 今の時代を振り返り 私たちが数十億の動物を飼育し屠殺して ハンバーガーやハンドバッグを 作っていることを見れば この行為が無駄で いかにクレイジーであるかが わかるでしょう ご存じでしょうか 今日私たちは 600億頭の動物を飼育して 肉や乳製品 卵や革製品を得ています 数十年後には 世界の人口が100億に達し 必要となる動物は倍になり 1000億頭に達するでしょう この頭数を維持するために 地球には厳しい負荷がかかります 動物は単なる原材料ではありません 生きているのです しかも 家畜は世界一の 土地や真水の利用者であり 土地や真水の利用者であり 気候変動を促進する温室効果ガスの 最大の排出源の1つです さらに 動物を過密状態で飼育すれば そこは病気が蔓延したり 悪行や虐待の温床となり得ます このような道を歩み続け 環境や公衆衛生や 食の安全を危険にさらすことはできません もう一つ別の道があります 動物由来の製品は組織の単純な集合体ですが 私たちは現在 高度に複雑な組織の動物を飼育して 比較的単純な組織を 得ているのです もしも 複雑で 感情を持つ動物の代わりに 組織を構成する 基本的な生命の単位 細胞からはじめてはどうでしょう? これがバイオファブリケーション技術で 細胞そのものを使って生物由来の製品 つまり組織や臓器を作る方法です 医学の分野では すでにバイオファブリケーションによって 複雑な構造の体組織 つまり 耳、気管、皮膚、血管や骨などが作られ 患者の体に移植することに成功しています 医学に限らず バイオファブリケーションは 人道的で持続可能な そして拡大が見込める産業です 手始めに皮革を再度見直す必要があります 皮革に注目するのは あらゆる場所で 使われているからです 皮革は美しく 人類の歴史と共にありました 技術的には 皮革の培養は 肉などの動物由来の製品を培養するより簡単です 主に一種の細胞で出来ていて ほぼ 平らなものです 皮革であれば消費者も規制機関も 賛否が分かれにくいでしょう バイオファブリケーションがよく理解されるまで 少なくとも初期の段階では 珍しい素材を身に付けることの方が いくらおいしくても 珍しい食べ物を食べるより 抵抗が少ないでしょう ですから 皮革は バイオファブリケーション産業を 普及させる製品とも言えます もしここで成功すれば 肉などの他のバイオ製品が 登場する道を開くことになるでしょう ではどうやって皮革を作るか? 皮革作りには まず簡単なバイオプシー技術で 動物から細胞を採取します 動物は 牛でも 子羊でも もっとエキゾチックなものでも かまいません この過程は動物に無害で 雌牛の「デイジー」も犠牲になりません 次に皮膚の細胞を分離します それを細胞培地で増殖させます 数百万の細胞を 数十億に増やします そして これらの細胞が 自然状態でするように コラーゲンを作らせます コラーゲンというのは細胞間の物質で 組織を結合する天然の物質です 本来細胞外基質ですが 皮革を作る基本的な構成物となります 次に細胞とコラーゲンを 薄く広げ膜を作ります それを幾層にも パイ生地のように重ね合わせ より厚い膜を作っていきます そして さらに成熟させます 最終的に この多層膜からなる皮を より簡単な薬品の少ない工程でなめし 皮革を作るのです これをご覧下さい 初公開の 完成したばかりの培養皮革です できたてほやほやの 本物の皮革です 動物を犠牲にしていません 皮革細胞からできていますから 皮革のあらゆる特徴を備えており さらには 毛を処理する必要もありません 傷も虫の咬み跡もありません 捨てるところがないのです この皮革は財布の形にも ハンドバッグや車のシートの形にも培養できます 牛やワニの いびつな形である 必要はないわけです 牛やワニの いびつな形である 必要はないわけです この素材を作るために ゼロから皮革を培養するので 皮革の性質を自在に操ることができます この皮革は 7層しかありません ご覧の通り ほとんど透明です この皮革は21層あり 厚いので光を通しません これまでの皮革では このような微妙な調整はできませんでした この皮革は 柔軟性 通気性 耐久性 弾力性 さらには模様まで 好みに応じて調整できるのです 自然を模倣するだけでなく 場合によっては 改良することもできるのです この種の皮革は 従来の皮革の特性を持ちますが 想像力次第で さらに素晴らしいものになるでしょう 動物由来製品の将来はどうなるのでしょうか? このようである必要はありません 実はこれが現在の最先端施設なのです むしろこのようなものになるのではないでしょうか 私たちはすでに数千年もの間 細胞培養によって製品を作り出しています ワインやビールやヨーグルトなどです 食品については 培養技術が進歩し 現在ではこのような 美しい 無菌室で栽培しています 醸造所は実は培養所に他なりません 細胞の培養が行われる場所です この場所で ビール醸造の代わりに 皮革や肉を 培養するのを想像して下さい この施設を見学し 皮革や肉が培養される様子を学び 製造過程を始めから終わりまで見て 試食もできるでしょう 施設は清潔で開放され教育的です この対極にあるのが 隠され 警備員に守られ 隔離された 現在の皮革食肉処理施設です バイオファブリケーションは 人類にとっては 製造技術の自然な進化でしょう それは環境を守り 効率的で人道的です 私たちの想像力を刺激します 新しい素材や新しい製品 新しい施設のアイデアがわきます 動物を資源とだけみなして 殺戮していた時代を過ぎ より文明化して進化した時代に 移る必要があります おそらく私たちは文化的にも技術的にも より「成熟した」ものを 受け入れる準備ができているのです ご清聴ありがとうございます (拍手)