ヨハン・ロックストローム
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2015年 人類にとって素晴らしい 希望に満ちた進歩が2つありました 1つ目はSDGs (持続可能な開発目標)の採択 人類のための全世界で共同の計画です 地球環境の許容範囲の中で 飢餓をなくし 経済成長と健康を促すものです 2つ目は 21年間の交渉の末に 法的拘束力のある パリ協定が採択されたこと 世界中の国が 平均気温上昇を2度以下に抑え 1.5度未満を目指すものです しかし3年が経ち 未だに本格的な行動に移せていません

一歩下がって 3年前に世界の指導者たちが 国連総会で署名したものを 本当に理解していたのかを 考えてみるべきです これらは安定した地球システムで 人類が皆 繁栄するための 地球規模の 野心的で 変革を起こすような目標です しかし根本的な問題がいくつかあります 目標同士が互いに矛盾しており 1つの目標に向かうことで 他の目標を犠牲にする可能性があります 例えば目標8 働きがいを伴う雇用と 経済成長を見てみましょう これを達成するために天然資源を開発し 化石燃料を燃やし続ければ 目標13を達成することは不可能です 3年経った今 地球規模の一括政策として 取り組むことが ほとんどできていないと 素直に認めなければいけません

ここで一歩立ち戻り 自分たちに厳しい質問をする必要があります 2030年までにSDGsを達成する可能性は 少しでもあるのでしょうか? 現在の成長戦略と両立しないような トレードオフがあるのでは? 一体 変化を加速させるような 相乗効果は期待できるのでしょうか? そしてこれは実際に 人類と地球の課題として 生命を支える地球システムの範囲内で 社会と経済の目標を真剣に 捉えているものなのでしょうか?

世界中で人々はようやく 地球規模の環境問題が 身に迫っていることに 気づき始めました さらに安定した惑星が 地球上の人間の幸福に 不可欠だということもです 安定した地球システムのための 活動範囲を定義する必要があります 2009年にまさにそのために プラネタリー・バウンダリー (地球の限界)が 科学界によって提案されました 人類が地球環境に影響を及ぼす 「人新世」の 持続可能な発展に向けた枠組みとして 世界中の政策や企業、地域に 広く受け入れられています

こちらの画面は 地球システムの 安定性を制御する 9つの環境因子を示した フレームワークです 安全な活動範囲では 人類の幸福、繁栄、公平が 高確率で実現します 黄色い範囲は危険な不安定な範囲 赤に入ると 高確率で 元に戻れない臨界点を越え 社会や経済の幸福を 地球システムが作り出せなくなる 危険性が高まります

今では科学的にこれらの境界線を数値化し 安定した地球システムを 人類に示すことができます しかし さらに進んで SDGs(持続可能な開発目標)を 本当に達成したいのならば— それがこの安全な活動範囲内で実現する 必要性も認識しなければいけません SDGsを地球の限界の 範囲内で行う必要があります

でも皆さん これでさえも不十分なのです SDGsが12年後だということも 認識するべきです これはマイルストーンに過ぎず 私たちが達成し 通過しなければならない目標であり 変革に向けて急発進しなければなりません 安定的な地球システムの範囲内で 90億人以上の全ての地球市民が 2050年以降も良い未来を生きるためです

これは探求です 意見を持つだけでなくこの実現のために 私たちは科学界、一流の思想家たちや 統計学者たちを集め 完全に新しい複雑な 動的モデルの開発を始めました 過去50年の数々のモデルをもとにした Earth-3(地球3)モデルです これがそのモデルです 素晴らしい成果です 気候モジュール、生物圏モジュール 世界経済モデルが組み込まれており アルゴリズムもある 素晴らしい成果の結晶です これが我々科学者を興奮させるんです

(笑)

純粋に美しい成果です 一晩中これを説明したいところですが 皆さんも残念でしょうけれど それはできません 今 私がするのはたった1つ このような取り組みは 初めてだと強調することです 今までSDGsと地球の限界を 組み合わせて分析しようとした 人はいませんでした 我々はパターンや法則を見つけ 経済成長や 水資源や食料、エネルギー資源の活用 人口増加、一人当たり所得を 予測できると自信を持つことができました それも 一貫性のある 体系的な道筋に沿ってです これは初めて 地球の限界の範囲内で SDGsを達成する可能性を探るものです

どうするのか ご覧ください 実際のデータがあります 1970年から2015年の間に 計測されたものです 世界中から集めた10万のデータから 7つの地域のSDGsを達成する力を 総合的に示しています 計測方法の例を1つ紹介します こちらは貧困撲滅、健康 教育、食料に関する SDGsのデータです 丸印が世界の7地域を示し 2015年までに一人当たりGDPに対して 実際の観察結果が どのように変化したかを表していて 世界的に収束する傾向がわかります これを元にして回帰分析を行い シミュレーションをすることが 可能になりました 2050年まで SDGsの達成能力が 線に沿って示されています

これによって複数のシナリオを作り 複数の未来を予測することができました 現状維持シナリオや地球規模の変革 企業の投資戦略、様々な統治計画シナリオ 政策、金融 我々のできる限り 地球の限界の範囲でSDGsを達成すると どんな未来になるのかを考えるためです 結果は驚くものでした これを公開するのは初めてです 実際のところ この会場外では 言及されてはいけないものなのです

結果は二つの軸に沿って示されます y軸は地球の限界の範囲内に とどまる可能性を示します 上に行くほど安全な活動範囲に近づきます x軸はSDGsです 右に行くほど多くのSDGsを達成できます 右上の範囲の 安全で公正な世界を 将来のために目指したいのです これが1980年の点です 安全な活動範囲にいましたが 多くのSDGsは達成していませんでした これが2015年までの動きです つまり従来型の社会で より多くのSDGsを達成して 数百万人が貧困から脱するのですが 地球の安全な活動範囲が犠牲になっています

さて これが現在のままの シナリオが導く未来です 今のまま進むと SDGsのいくつかは達成できますが 地球環境の安定が犠牲になります もし経済成長を加速し 1年に1%の収入増を実行し 2050年までに世界経済の規模を 3倍にするとしたらどうでしょう このような曲線になります SDGsの達成度は少し上がりますが まだ地球環境の安定を 犠牲にする危険性があります さらに努力をしたらどうでしょう もし 気候から貿易協定に至る 社会の全てのセクターで SDGsを達成する能力を 30%増やしたらどうでしょう? より厳しいシナリオは 曲線を更に上向かせますが SDGsは未だに達成できず 人類にとって安全な 活動範囲は達成できません

とても残念な結論に達しました つまり 従来型のやり方では SDGsを達成できず 地球の限界も超えてしまいます 大胆な発想が必要です 変革を起こす革新的な未来を目指し 枠の外で考え始めなければいけません 予測モデル製作や共同作業や話し合いの末に 目標に達する可能性のある 5つの策を見つけることができました

1つ目は パリ協定の計画に沿って 二酸化炭素の排出量を 10年ごとに半減し 再生可能エネルギーへの投資を2倍にし 世界規模のエネルギー民主主義を築くことで いくつかのSDGsを達成できます

2つ目は持続可能な 食糧システムへの急速な方向転換 毎年1%を持続可能な収量増加に投資し 現在手元にある解決策に投資し 実行に移すことです

3つ目は成長戦略を転換し 急速な成長に成功した 発展途上の国々から学ぶことです 中国のような経済成長を 環境にやさしい文明として 地球環境の許容範囲で 成し遂げられたらどうでしょう

4つ目は富の再分配です 最も裕福な10%の人が 国民所得の40%以上を所有できないと 合意できたらどうでしょう 徹底的な富の再分配で 公平性を各地域で改善します

そして最後5つめは教育、健康 雇用、避妊の強化と 世界中の女性への投資 これらの大幅な増加が ジェンダー、不平等、経済と都市開発の SDGsの達成を可能にします

5つすべてを推し進めると— これらは検証済みで— 地球上での安全で公正な活動範囲に近付く 素晴らしい旅になります 保守的で経験に基づく 複雑なシステムダイナミックスモデルからも これからの12年間とその後の変革を 想像できるようになりました 地球の安全な活動範囲に戻り 野心的な社会的、経済的目標を 達成する変革です 現在はこの軌道に乗っていませんが とても励みになります

話をまとめると SDGsの実施から3年目になりますが いったん けじめをつけ 目標が達成できていないと認め それに加えて 地球に臨界点を 越えさせてしまうことで 将来世代が厳しい問題に直面する危険性が あることも認識しなければいけません 実際に 地球が温室になる危険性が迫り 地政学的な不安定性を生み出し 地球上の何十億人もの 人々の暮らしを悪化させる 確率が高まっています これは正直に言うと 本当に怖いことだと思います

しかしそれが私が今日ここにいる理由です 成功への扉はまだ開いているからです 地球システムはまだ回復力を持っています 私たちが安全な活動範囲に戻るのに必要な 生態系機能を地球はまだ提供しています しかし根本的な発想の転換が必要です これを重要な警告として そして革新的な変化のチャンス として捉える必要があります 地球上の安全な活動範囲での 革新的な計画として SDGsについて本気で考えるように 方向転換するチャンスです 言い換えれば 私たちは安全で公正な世界を 作り出すことができます 本当に行動を起こさなければいけません 行動しましょう ありがとうございました

(拍手)