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宇宙より大きなもの 古いものは存在しない 皆さんの問いのうち 私がお話ししたいのは次のものだ 一つ 我々はどこから来たのか いかにして宇宙が成立したのか 我々は宇宙で唯一の存在なのか 地球外生命は存在するのか 人類の未来には何が待っているのか

1920年代までは 宇宙とは基本的に静的な存在であると 誰もが考えていた 時間が経過しても変化しない しかし 宇宙が膨張していることが発見された 遠くの銀河は我々から遠ざかっている つまり 過去にはもっと近くに存在していたということになる 推論すると 宇宙はすべて重なり合って存在していたことになる 150億年ほど前のことだ これが ビッグバン 宇宙の始まりだ

では ビッグバンの前には何かあったのか 何もなかったとすれば 何が宇宙を作ったのだろうか 宇宙はなぜビッグバンから このようにして生まれたのだろう かつては 宇宙論について 二つに分けることができると考えていた 一つ目は 法則 つまり マクスウェル方程式や一般相対性理論のようなものが存在し 特定の時点で 宇宙全域での条件が与えられれば その法則によって宇宙の進化が決定されている 二つ目は 宇宙の初期状態について 不明点が存在しないこと

前者についてはかなりの進歩をとげた 今や我々は 宇宙の進化則に関する知識を得た 非常に特殊な状況を除けば ほぼ完璧な知識だ しかし最近まで ほとんど 宇宙の初期状態に関する知識を得ることはできなかった しかし 進化則と初期状態の二つに分ける考えは 時間と空間は分離可能で 別々の存在であるということに基づいている 非常に特殊な状況下では 一般理論と量子理論によって 時間が 空間の次元と同様に振る舞うことが可能となる 時間と空間の境界が取り除かれることになり 進化則によって初期状態が決定できることを意味する 宇宙は自己発生的に自らを創造することができる

さらには 計算によって 宇宙が 別の状態において創造された可能性も知ることができる こういった予測が正しい可能性が高まったのは WMAP衛星による観測結果のおかげだった 観測対象は 宇宙マイクロ波背景放射であったが これは宇宙の初期状態を示すものだ 我々は 創世の神秘について解き明かすことができたと思う 宇宙に関する特許を取得して 存在するすべてのものからロイヤリティを徴収すべきかもしれない

次に二つ目の問いについて話そう 我々は孤独なのか あるいは 宇宙に他の生命は存在するのか 生命は地球上で自然に発生したと 我々は信じている であれば 適切な惑星であれば生命が誕生する可能性があるはずだ 銀河にそういった惑星は数多く存在する

しかし 生命がいかにして誕生したのかは分かっていない 観察から得られた証拠は二つ 生命の誕生の可能性に関して 一つ目は 藻の化石が発見されたこと 35億年前のものだ 地球は46億年前に誕生した 最初の5億年ほどは 熱すぎたと考えられる したがって 生命は地上に 生存が可能になってから5億年の間に現れたことになる 100億年に比べると非常に短い期間だ 地球型の惑星の寿命は100億年ある つまり生命の誕生の可能性は非常に高い もし この可能性が低いのであれば 生命の誕生を待つだけで 100億年のほとんどが過ぎ去ってしまうことになる

しかし一方で 宇宙人は我々を訪ねてこないようだ UFOに関する報告については割り引いて考えている 奇人や変人にしか UFOが見えないのはなぜだろう もし政府の陰謀で 報告が隠蔽されており 宇宙人がもたらした科学的知識が公にされないのであれば それは非常に非効率な政策だといわなければならないだろう さらに SETIプロジェクトによる大規模な探索にも関わらず いまだに 宇宙人が放送するクイズ番組をとらえることができていない 宇宙人の文明は存在していないであろう 我々と同段階の発展を遂げた文明は 半径数百光年の範囲には存在していないのであろう 保険証券を発行して 宇宙人による拉致を補償するのは よい掛け率になるはずだ

では 三つ目の大きな問題について考えなくてはならない 人類の未来 もし我々が 銀河で唯一の知的存在であるとすれば 我々が生き残り 生存し続けることを確実なものにしなければならない だが我々は 歴史上でも最も危険な時代にさしかかっているようだ 人口 そして地球という惑星における有限な資源の使用量は 指数関数的に増加している 技術的な発展は 環境を良い方にも 悪い方にも変えることができる しかし 我々の遺伝情報は 利己的で攻撃的な本能を保ったままだ この本能は かつては生存に有利に働いていた 今後数百年間に発生するであろう災害を逃れるのには 十分ではないだろう 数千年 数百万年については考えないにしても

長期に生存できる可能性は この地球上にとどまり続けることではなく 宇宙に広がってゆくことにかかっている こういった大きな問いに対する答えによって 我々がこの数百年間で大きく進歩を遂げたことが分かる しかし 次の数百年も進歩を続けようとするのであれば 我々の未来は宇宙にある だからこそ 有人(manned)の いや 有人(personed)の宇宙飛行を支持しているのだ

私は人生のすべてをかけて 宇宙を理解しようとしてきた これらの問いに対する答えを見つけようとしてきた 私は非常にラッキーだった 障害がそれほど深刻なハンディキャップではなく それどころか このおかげで他の人々より多くの時間を 知識の探求のために費やすことができたと思う 最終的な目標は 宇宙に関する理論を完成させることである 我々は順調に進歩を続けている ご静聴ありがとうございました

クリス・アンダーソン: 博士、どちらかと尋ねられたとすれば この銀河において 我々が 孤独な存在であるか否か 我々と同じかそれ以上の知的段間にある文明に限定すれば どちらの可能性が高いとお答えになるでしょうか 博士がお答えになるのに7分かかります 私は非常に感銘を受けています このTEDでお話しをされるためにいかに多大な労力を費やされたのかを考えると

スティーヴン・ホーキング: おそらく 我々が唯一の文明であろうと考えます この数百光年の範囲においては そうでなければ もう電波をとらえることができているはずです 別の可能性としては 文明は長続きするものではなく 自滅してしまうものであるということです CA: ホーキング博士 ご回答ありがとうございます 有益なご警告として 今週のカンファレンスに臨みたいと思います 博士 心から感謝を述べたいと思います あなたの問いをわれわれと共有するためになされた多大な努力に ありがとうございました (拍手)