ピーター・ディアマンディス
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(ビデオ) キャスター: ビン・ラディンの死を受けて テロ脅威への緊張が急増・・・ ソマリアでの飢餓が・・・ 警察が催涙ガスを・・・ 悪質なカルテルが・・・ 豪華客船の転覆・・・ 社会の腐敗が・・・ 65人の死亡者が・・・ 津波警報が・・・ サイバーテロが・・・ 麻薬戦争・・・ 大量破壊・・・ 竜巻・・・ 景気後退・・・ 破綻・・・ 破滅・・・ エジプト・・・ シリア・・・ 危機・・・ 死・・・ 大災害・・・ なんてひどい・・・

ディアマンディス: これは ここ6カ月の ニュース映像の一部にすぎません 過去6日分でも 6年分を集めても 同じようなものになったでしょう 言いたいのは ニュース報道が 悲劇的な出来事ばかりを 見せているということです 私たちが 悲劇的なものに 注目するからです これにはもっともな理由があります 人間の脳がとても処理しきれないような 膨大な情報が全感覚を通して 一瞬たりとも休むことなく 流れ込んできます

生き残ることが最も大切な為 この膨大な量の情報が 最初に向かうのは 扁桃体と呼ばれる 脳の側頭葉にある 原始的で小さい組織です 扁桃体は 早期に警戒すべき状況を 察知する仕組で 危険を知らせる警報器です 扁桃体は あらゆる情報を整理して 周囲の環境の中に 害を及ぼしそうなものが無いか探ります 私たちは一連のニュースを聞いたら まずは悲劇的なニュースに 目を向けるようにできています 新聞業界の古い格言の 「血まみれなら大きく扱う」 に従うのは まったくの正解です 最近ではさらに 24時間365日 悲劇的なニュースばかりを 私たちの周りのデジタル機器が 流していることを考えれば 悲観的になってもしかたがありません 世界がどんどん悪い方向へ 進んでいくと人々が考えても しかたがありません

しかし おそらく 現実は違います おそらく そうではなくて 現実が歪められて 伝えられているのです さまざまな原動力によって この1世紀の間でとげてきた 膨大な進歩は さらに加速して 来たる30年間で 何も尽きることがない世界を 築ける可能性がある状態まで来ています もちろん 一連の問題が無いと 言っているわけではなく 気候変動の危機 絶滅危惧種 水資源やエネルギー資源の枯渇などの 一連の問題があります しかし人類は 問題を十分に余裕をもって 察知することに長けてる上に 最終的には 問題を 片づけてしまうのです

将来がどうなるか 理解するために この1世紀がどんなものだったか 振り返って見てみましょう この100年間で 平均寿命は 2倍以上になり 1人当たりの平均収入は インフレを差し引いても 3倍になっています 乳幼児の死亡率は 10分の1に低下しました これに加えて 食糧コスト 電力 輸送 移動 伝達手段のコストは それぞれ10分の1程度から 1,000分の1程度に低下しました スティーブ・ピンカーの発表によれば 実は 人類は歴史上 もっとも平穏な時代を 過ごしています また チャールス・ケニーによれば この130年間で 25パーセントだった 世界の識字率は80パーセントに増加しています 私たちは 本当に たぐいまれな時代を過ごしています 多くの人がこれを忘れて

期待する目標を より高く変え続けているのです 実際 私たちは貧困の意味を 再定義しています 考えてみてください 今アメリカでは 政府が決めた貧困水準以下で 暮らす人でさえ 大部分の人が 電気 水道 トイレ 冷蔵庫 テレビ 携帯電話 エアコン そして 車までも持っています 前世紀では世界級の富豪『泥棒男爵』や 皇帝たちでさえも こんな贅沢な状況は 夢にも思わなかったでしょう

これを支えた大きなものは 新技術でした とくに最近では 指数関数的に 成長する技術です 親しい友人のレイ・カーツワイルが 情報技術で扱うことになれば どんな装置でも ムーアの法則の この曲線に従って 伸びていくと教えてくれました 対価格性能が 12カ月から24カ月毎に 倍になるという経験をします みなさんのポケットにある携帯電話は 70年代のスーパーコンピュータよりも まさに 百万倍も安く 千倍も速いのです この曲線を見てみてください ここ100年間の ムーアの法則の表です 2つのことに注目してください 1つ目は なだらかな 乱れのない曲線ということです 良い時も悪い時も 戦時も平時も 景気後退や恐慌 ブームやバブル時もです これは速いコンピュータを設計するのに 法則の想定よりも速いコンピュータを 使ったからです 地球規模の課題に直面した時でも 成長速度は落ちていません 2つ目は 縦軸は対数で目盛をとって 線を引いたにも関わらず 線が直線よりも上向きに上っています 技術が向上する速度までも さらに速くなっていくのです

ムーアの法則の通りにうまくいくなら 常に桁はずれの強力な技術が出現しつづけることを この曲線が示しています クラウドコンピューティング オートデスクが呼ぶには インフィニットコンピューティング センサー、ネットワーク、ロボット 3D プリンタ技術 これは 生産作業を大衆化し 個別生産を広げる力があります 合成生物学 多様な燃料 ワクチン 食品 デジタル医療 ナノテク素材 そして人工知能 人工知能の例です クイズの ジョパディでIBMのワトソンが 勝つのを見た人は どれくらいいますか? それは 素晴らしい瞬間でした 実は 一番響く新聞の見出しを 全力で探していました この一文です「ワトソン が 人間の対戦相手を打ち負かした」 ジョパディは簡単なゲームではありません 人が使う言語のニュアンスがわかる必要があります 想像してください みなさんが クラウド上にあり こんな高性能の人工知能を 携帯電話で使えます

4年前 まさにこの TED で 私と レイ・カーツワイルは シンギュラリティ大学 という新しい大学を 作りました 大学で教えるのは 最先端技術ですが 同時に これらの技術が 人類全体の課題を 解決するのに どう使えるかを教えます また 毎年生徒に 10年以内に 10億の人の生活に 影響を及ぼせるような 会社や製品やサービスを 創るよう課題を出しています 考えてみてください ただの学生の集団が 10億人の生活に影響を 与える可能性があるという現状は 30年前にはただの冗談だったでしょう こんにちでは それを 成し遂げた会社を 数十社は数えられるでしょう

尽きることのない状態を創り出す ということで私が考えているのは 地球上にすむ全員に 贅沢なものを与えることではなく 可能性のあることを 試みようとすることです 希少だったものを 尽きることのないものに することです ご存知のように 希少かどうかは その背景によります 新技術は資源を自由に使えるようにする 原動力になります 例をご紹介します

これは 1800年代半ばの ナポレオン3世の話です この写真の左のひとです シャムの王を 夕食に招待しました ナポレオンの兵は 銀食器で食事を取りました ナポレオン本人は金食器でした しかし シャム王は アルミニウムの食器で食事しました ご存知のように アルミニウムは 当時 地球上でもっとも価値ある金属でした 金よりもプラチナよりも価値があるとされていました 価値があったが故に ワシントン記念塔の冠石が アルミニウムで出来ているのです わかりますか アルミニウムは 地球全体の8.3パーセントを 占めているにも関わらず 純粋な金属としては存在していません アルミニウムはケイ素と酸素に 結合してしまっています しかし ある時 電気分解の技術が 使えるようになって アルミニウムをすごく安いものにしたので 文字通り 湯水のように使える程になりました

この類推を今後の人類の姿に例えて 予想してみましょう 人類は エネルギーの枯渇を考えますが よろしいですか 私たちがいるこの地球は 1年で私たちが使用するエネルギーの 5千倍のエネルギーを 浴びています 88分ごとに 16テラワットのエネルギーが 地球の表面に降り注いでいます つまり 何が希少かということではなく 利用可能かどうかということなのです ここで いいお知らせがあります これまでで初めて 今年インドでは 太陽光発電費用が ディーゼル発電費用の半分になったのです 太陽光 8.8 ルピー対 ディーゼル17 ルピーです 去年 太陽光の費用が 半値になりました 先月 MIT が発表した研究では 2020年迄には アメリカでは 太陽光電力費用の国内平均が 1ワット当たり15セントになり 太陽が良く当たる場所なら 6セントになると予測しています

もし エネルギーが尽きないとすれば 水資源も尽きないのです 今度は 水資源獲得の争いや論争について話しましょう 1990年にボイジャーが 土星を通過した直後 カール・セーガンが 探査機の向きを変えさせて 地球を撮らせたのを 覚えていますか? その時有名な写真を撮りました なんて呼んでいましたか? 「淡く青い点」 水に満ちた惑星にいるからです 70パーセントが水に包まれた 惑星の上に生きています もちろん 97.5パーセントは海水で 2パーセントは氷です この惑星の残りの 0.5 パーセントの水を 争っています しかし ここにも希望があります 技術がオンラインで広まってきています 10年後20年後というのではなく 今存在しているのです ナノテクもあります ナノテク素材です

また こんな話もあります 今朝 自作発明家のひとり ディーン・ケーメンと話しました 彼も許可してくれたので 彼が発明したスリングショットという 技術を紹介したいと 思います 皆さんもご存知かもしれませんが 独り暮らし用冷蔵庫くらいの 大きさです これは 塩水 汚染水 トイレの水などの どんなものの水分でも 1リットルあたり2セント以下の費用で 一日1000 リットルの速度で 飲み水に変えられます つい最近 コカ・コーラの会長が 開発途上国で 何百ものこの機械を 使う大規模な実用化実験に合意しました もし 実験がうまくいけば — もちろん うまくいくと信じていますが — コカ・コーラは この機械を世界206 ヶ国に グローバル展開します これは 現在存在している 技術の力を借りて実現できた技術革新といえるでしょう

人類は携帯電話でも同じ現象を見てきました すごいのは 2013年末には 開発途上国での携帯電話の普及率が 70 パーセントにも到達します 考えてみてください ケニヤのどまんなかの マサイ族の戦士は レーガン大統領が 25年前に 持っていたよりも良い携帯装置を持つのです スマートフォンでグーグルが使えれば マサイ族は15年前のクリントン大統領よりも 多くの知識や情報を利用できます 誰もこれまで予見してこなかったような 情報や伝達手段にあふれた世界に 彼らは生きています もっと素晴らしいのは みなさんや私が 数万やら数十万ドルを使ってきた GPS HDビデオや高解像度写真 書籍や音楽のコレクション 医療診断技術などのものが 今度は 文字通り姿を消し お金を出さなくてもよいものになり 携帯電話に組み込まれるのです

携帯電話の技術革新で今1番すごいのは 健康について起ころうとしているこの出来事です 先月 クアルコム財団と一緒に 1,000万ドルが賞金の クアルコム トライコーダー X賞という コンテストを始めました 世界中のグループに挑戦しているのです 様々な先端技術を組み合わせて 携帯装置に組み込む方法を競います 人工知能付なので 話しかけたり 咳を診てもらったり 指先からの採血で検査を行えます 競争に勝つには そのチームの装置が 専門医による医療チームよりも 正しく診断できなければなりません 新開発の装置がこんな場所にあったらと想像してください 開発途上国のまっただなかで 医者がいなくて 人口の 25パーセントが病気に苦しみ 1.3パーセントが医療従事者というそんな場所にあったら この装置がRNAやDNA ウィルスの 塩基配列を調べても 認識できない時は CDC(疾病対策センター)に通報し 大流行が起きないように根本から防止します

しかし これこそが尽きることがない世の中を 作りだす最大の原動力です これを昇り来る 10 億と呼んでいます グラフの白棒は人口を表しています 地球の人口は70億人の線を超えたところです ちょっとしたことですが 人口の爆発を防ぐ最大の手段は 世界の人々をもれなく 教養のある健康な人々にすれば良いのです 2010年 ネット接続できて オンラインになっている人は たった20億人ほどです 2020年には インターネット利用者は 20億人から50億人へと増加します これまで世界から尋ねられてこなかった 30億人の新しい頭脳が 世界で議論されていることや 話されてることに参加し始めます この人たちは何を欲しがるだろうか? 何を消費して 何を望むだろうか? 経済が停止してしまうのではなく 経済に かつてない最大の注入が起ころうとしています グローバル経済にとって 数十兆ドルの注入を 意味することになるのです そして トライコーダーを使い これらの人々はより健康になり カーンアカデミーを使い よりよい教育を受け 3D プリンタ技術や 制限なくコンピューターが 使用できるようになって これまでにない より高い 生産性を持つようになるのです

とすれば 健康で教養もあり 生産的になって昇り来る30億人は 何をもたらしてくれるでしょうか? これまで尋ねられなかった 人々の意見がもたらすものは? それが世界のどこだったにせよ これまで抑圧されてきた人たちが ここで初めて 発言する権利を持ち 行動する権利を持つとしたら? この30億の人々は 何をもたらすでしょうか? まったく予見できなかった貢献でしょうか? X 賞でひとつ分かったことは 明確な目標の持って 情熱に 突き動かされている少人数のチームが 並はずれたことをできるということです これまでは大企業や政府でしか できなかったようなことを成し遂げます

最後に 私が本当に興奮した話を お話して締めくくりたいと思います ご存知かもしれませんが オンラインゲームで フォールド・イットというシアトルのワシントン大学が 考えられたゲームがあります このゲームは 個人個人が アミノ酸の配列を選んで タンパク質がどのように折りたたまれるのかを 解くというパズルゲームです タンパク質では折りたたまれ方によって 構造と機能を決定します これは医学の研究にとって 非常に重要なことです これまでは この解析は スーパーコンピューターで解く程難解でした

このゲームは大学教授や もろもろの人たちが遊んでいました ほんとうに 何十万人もの人々が オンラインで 遊ぶようになっていきました なにが起こったかというと 今のところ 最強のコンピュータよりも 人間のパターン認識力の方が 上手く折りたためると分かりました このオンライン解析に参加して タンパク質折りたたみで 誰が最強なのかを見ると MIT の教授でもなく カリフォルニア工科大生でもなく 英国のマンチェスターに住む女性とわかりました 昼間はリハビリ病院の 事務補佐として働いて 夜は タンパク質折りたたみで 世界最強なのでした

皆さん よろしいでしょうか 私に 未来への とてつもない自信を与えてくれるのは 地球規模の課題に対して 個人としてでも取り組める力を 持つようになったという 事実があるからです 私たちには 飛躍的に進歩する新技術を 使った手段があります 私たちには 発明家が持つ 自作してでも進める情熱があります 私たちには 技術を活かした 博愛的事業を行う資源があります さらに 私たちが解決しなければならない 地球規模の課題を 一緒に解くことができる 30億人の新しい頭脳が オンラインで繋がるようになります とてつもない数十年が待っています

ありがとうございました

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