ティム・リーバーレヒト

機械が発達する時代に人間らしい会社を作る4つの方法

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Translated by Misato Noto
Reviewed by Yasushi Aoki
0:11

今後20年間で 労働人口の半分が ソフトウェアやロボットに置き換えられると 予想されています 経営者の多くは 利益を増やすチャンスだと歓迎しています 効率の良い機械に比べ 人間は複雑で扱いにくいものです

0:30

でも私は 組織には人間的であって 欲しいと思うのです それどころか 組織には 美しくなって欲しいと思っています 機械は人間の仕事を奪い 私たちよりも効率良く作業します そうなれば 私たち人間に残されるような仕事には 効率の良さよりも美しさが 求められることでしょう

0:52

この第二次機械化時代で 人間らしさを保つには 美を生み出すしか 選択肢はないかもしれません 美の定義は難しいです 作家のスタンダールにとって 美は幸福を約束するものでした 私にとっては リオネル・メッシのゴールを意味します

1:09

(笑)

1:11

ですから少々のお時間をいただき ー 紛れもなく主観的なものではありますが 美しい組織を作るための原則を 4つ提案させてください

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まず1つ目 必要でないことをする

1:23

[必要でないことをする]

1:24

数ヶ月前のことですが チョバニヨーグルトのCEOで創業者の ハムディ・ウルカヤが 2千人の全社員に株式を譲渡すると決めて 大きなニュースになりました 売名行為だと言う人もいれば 純粋に分かち合っているのだ と言う人もいました でも その決断以上に 素晴らしいものがありました まったく思いも寄らない 行為だったんです 市場や株主からの 圧力があった訳ではありません 話を聞いた社員は 驚きのあまり 泣き出したくらいです 彼のような行為が美しいのは 不意を突かれるからで そういった行為は 何もないところから生み出されます 全く必要のなかった ことなんです

2:02

私が以前働いていた会社は 大手ITアウトソーシング会社と 小さなデザイン会社が 合併してできたものでした 9千人のソフトウェアエンジニアと 千人のクリエイターが 合併の対象でした 双方の大きく異なる社風を 統合しようと 新ブランドの立ち上げが 予定され そのブランドカラーは オレンジでした お披露目のイベント予算を まとめていたとき ギリギリの段階になって オレンジ色の風船1万個の購入が キャンセルされました 世界中の社員全員に 配られるはずの風船でした 洒落てはいるけれど必要ないものと 最終的に思われたのです 当時の私は知る由も ありませんでしたが その決断が 運命付けていたのは 終わりの始まり — 2つの組織が相容れることはない ということでした 案の定 合併は最終的に失敗しました オレンジ色の風船が なかったことが原因でしょうか? もちろん違います でも「オレンジ色の風船なんてやめろ」という 考え方がすべてに影響したのです 気がつかない時もあるでしょうが 必要でないものを切り捨てるとき すべてが切り捨てられるのです 美によるリーダーシップとは 単に必要という以上のことをすることです だからオレンジの風船は なくしてはいけないのです

3:18

2つ目の原則は 親密さを作り出すこと

3:21

[親密さを作り出す]

3:22

研究によれば 職場に対して抱く感情には 同僚との関係が 大きく影響しているそうです 一連の細かなやりとり以外に どんな関係があるでしょう? 組織で日常的に行われる そういった無数のやりとりには 普通の暮らしと美しい暮らしの 違いを生み出す力があります 結婚生活の研究者 ジョン・ゴットマンによると 健全な夫婦関係の秘訣は 大げさな気遣いや 大きな約束をすることではなく 小さな愛情の積み重ねだと言います つまり 親密さということです 今時のネットで繋がった組織では 弱い絆の力が 過大評価されて 強い絆の力が 過小評価されています 作家リチャード・バックの言葉を 思い出しましょう 「孤独の反対は 連帯ではなく 親密さである」

4:09

私たちは組織に親密さを どのように作り出せるのでしょう? 人道支援組織のCAREは 北インドの村々で 男女平等のための活動を 進めようとしましたが すぐにわかったのは まずスタッフとの会話が 必要だということでした それで全スタッフ36人とその配偶者が 集められた場所は エロチックな彫刻で有名な カジュラーホー寺院の一角でした そこで人間関係についての 率直な話し合いが行われ 同僚や配偶者から受けた 経験について 男女平等の視点で 意見が交わされました 参加者にとって ハッとさせられる体験でした スタッフがこれから活動する地域を 身近に感じられただけでなく 目に見えない障壁が取り除かれ スタッフの間に 強い絆が芽生えました その後4年間 スタッフには 誰1人辞めた人はいませんでした だから親密さを作り出すためには 心の仮面を外すか... 多くの仮面を付けるかです

5:08

(笑)

5:09

食品会社のダノンが 新たな企業理念を 商品戦略に結びつけようと 招集したのは経営陣と 各部署の社員100人で 勤続年数も地域もバラバラでした そして3日間の合宿が 行われました 会議中は全員 仮装することを求められました カツラ 変な帽子 羽根の首飾り 巨大なメガネなどです 結果として得られたのは 確かな結論と強い熱意でした この会議を企画した女性に 聞きました 成功の理由はなんでしょうと 「ふざけたカツラの威力を甘く見ては いけません」というのが答えでした

5:47

(笑)

5:48

(拍手)

5:51

カツラは上下関係を取り除きますが 上下関係は親密さを壊すものです 誰にとっても CEOもインターンも同じです カツラをかぶって変装することで 自分の本性を晒け出せるのです 日常的な仕事の場では 難しいことです なぜなら組織と従業員の関係は 例えるならば 冷めてしまった夫婦関係のようで 裏切りや失望に苦しめられ もう一度お互いのため 美しい関係にしようと必死です どちらにとっても 美への一歩を踏み出すには度胸が必要です 醜くなろうとする度胸です

6:31

[醜くあろう]

6:32

近頃の組織の多くが 没頭しているのは 美しい職場をデザインすることで 型破りな職場を求めています リゾートや カフェや 遊び場や 大学のキャンパスのような

6:42

(笑)

6:43

ポジティブ心理学の教えに従って 日常的に楽しいことを語り 遊びの要素を取り入れようとします あるスタートアップ企業などは 解雇されることをこう表現します 「卒業した」と

6:53

(笑)

6:55

「美しさは皮一重 醜さは骨の髄まで」 作家のドロシー・パーカーの名言です 本物であろうとすれば 醜くなるのです 楽しみは捨てろとか 粗野や皮肉を 甘んじて受け入れろと言うのではなく 本当の醜い真実を語ろう ということです この製造業者では うまくいっていない事業を 改革しようとしていました 問題点をすべて特定して付箋に書き 大きなパネルに貼り出しました 何百も挙げられた問題点は 業績を上げる 妨げになっていたものでした 問題点を貼り出したパネルは 1つの部屋に集められ そこは「醜い部屋」と呼ばれました 醜い部分を誰もが 見られるようになり みんなでその成果を 祝福しました 醜い部屋はまるで鏡と手術室を 合わせたようになり 形式的な体制を 一掃する作業が行われました

7:49

人間の体で一番醜いのは 脳みそです 文字通りにも神経学的にも 脳は見慣れないものを 醜いと見なします モダンアート 無調音楽 ジャズもかもしれません ついでに VRゴーグルも 見慣れない物や 音や 人はみんな でも人間は誰しも 一度は醜かったのです 不恰好な赤ん坊であり 近所の新しい子であり 外国人だったのです そして新たな場所に行けば また醜い存在とみなされます

8:22

「政治の美センター」は ベルリンの活動家集団で 過激な芸術活動を つい最近 行いました 遺族の許可のもと ヨーロッパの境で 溺れた移民の遺体を掘り起こし ベルリンまで運んで この国の首都の中心に 再び埋葬しました その意図は 目指していた地に 移民たちを連れて行ってあげることでした せめて亡骸だけでも こういった活動は 見栄えが悪いかもしれませんが 必要とされているのです 真実や意味が1つだけで 問いがなく答えしかないとき 物事は醜くなる 傾向があります 美しい組織は 絶えず問い続けます 不完全であり続けるのです それが最後の4つ目の原則です

9:06

[不完全であり続ける]

9:08

先日 パリで 友人がニュイ・ドゥブに 連れて行ってくれました 「立ち上がりの夜」を意味する 市民の抗議運動で フランスの労働法改正に対する 反発から始まったものです 毎晩 何百人もの人々が 共和国広場に集まりました 毎晩 参加者は 小さな仮設テントを張り フランス共和国のあるべき姿を じっくりと話し合いました このアドホクラシーの 中心にあったのは 特別に用意した手話を使い 誰もが発言できる総会でした アメリカの「ウォール街を占拠せよ」や 他の抗議運動のように ニュイ・ドゥブは 危機に直面して生まれました 混乱の中にあって 論争と矛盾に満ちていました 運動の目標に 賛成するかはどうであれ 連日の集会は 素の人間性についての 素晴らしい教室でした そしてパリが いかに相応しかったことか この理想の都市 美の都市が 舞台を作り出したのです 素晴らしい都市のように 最も美しい組織というのは 勝ち取る価値のある 考えだと気づかせてくれます たとえ— いやむしろ 結果が見えないときにこそ 美しい組織は運動であり いつまでも不完全で すっかり整うことはありません だから陳腐にならないのです そういった組織には 何かがあるけどはっきりとはわかりません いつまでも謎でありつづけ 目が離せないのです そんな組織を 私たちは美しいと感じます

10:30

必要でないことをすること 親密さを作り出すこと 醜くあること 不完全であり続けること — この4つの特徴を持つのは 美しい組織だけではありません 人間にも生まれつき 備わっているのです これはまた「居場所」と呼ばれるものにも 同じく見られる特徴です 混乱を引き起こしたときや 混乱に見舞われたとき せめて私たちにできるのは 組織の中で自分の居場所にいる 安心感を保ち 他の人たちにもそう感じさせるような 組織にすることです

11:01

4つの原則を胸に 組織を作るなら 美しさで世界を 救うことができます 人工知能や機械学習に直面する今 新しい徹底した 人間中心主義が必要です 新しい美意識と感情的な教育を 手にし普及させるべきです そうしないと 私たちが最終的に行き着く姿は 知的な機械に満ちた組織や 社会の中のよそ者です 機械は何であれ 不要なことを認めません 親密さを認めません 不完全さを認めません そして醜いなんて もってのほかでしょう

11:36

ありがとうございました

11:38

(拍手)

人工知能や機械学習に直面している我々には徹底した人間中心主義が必要だと、ティム・リーバーレヒトは言います。これは自身を「ロマン派ビジネスマン」と称するリーバーレヒトにとって、効率よりも本物であることを、答えよりも問いを重んじる組織や職場をつくることを意味します。リーバーレヒトは、美しい組織を作り上げるために必要な4つの(紛れもなく主観的な)原則を提案します。

About the speaker
Tim Leberecht · Business romantic

A humanist in Silicon Valley, Tim Leberecht argues that in a time of artificial intelligence, big data and the quantification of everything, we are losing sight of the importance of the emotional and social aspects of our work.

A humanist in Silicon Valley, Tim Leberecht argues that in a time of artificial intelligence, big data and the quantification of everything, we are losing sight of the importance of the emotional and social aspects of our work.