Sherry Turkle

シェリー・タークル 「つながっていても孤独?」

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Translated by hiroko fujikawa
Reviewed by Kazunori Akashi
0:11

ほんの少し前 娘のレベッカが幸運を祈って メッセージをくれました メッセージには 「ママ きっと成功するわ」 うれしかったです メッセージをもらうと ハグされた気分になります つまりそうです 私は大きな矛盾を 抱えています メッセージをもらうのは 大好きなのに 「メッセージが多いのは問題だ」と 伝えようとしているのですから

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娘とのやり取りで思い出すのは 事の発端となった ある出来事です 1996年 私が最初のTEDTalkをした時 レベッカは5歳で 前方のすぐそこの席に 座っていました ネット上での生活を 賛美する本を書き上げて WIRED誌の表紙に 載る直前でした 当時 チャットルームや 仮想コミュニティの 実験に取り組んでいました 自分のいろいろな側面を 探求しては 現実に戻る日々 私はわくわくしていた 心理学者として 一番面白いと思ったのは 自分自身や 自分のアイデンティティーについて 仮想世界で学び それを実社会で生かし 現実世界でよりよく 生きられるという考えです 現実世界でよりよく 生きられるという考えです

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2012年になった今― 私は再びこのTEDの舞台に立っています 娘は二十歳で大学生です 枕元に携帯電話を置いて寝ています 私もそうします 新作を書き上げたところですが 今回は WIRED誌の表紙を 飾ることは ないでしょう なぜでしょうか 私はまだ技術に魅了されています でも ここで主張したいのは テクノロジーのせいで 我々の意向とは違うところへ 向かっているということです

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過去15 年間 私はモバイル通信の 技術について研究し ネット上の生活について 老若男女 数百人に インタビューしました 私が発見したのは ポケットに収まる こんな小さな機械が 精神的にとても大きな影響を与え 我々の行動ばかりでなく 我々の存在自体を 変化させるということです デバイスで行っている幾つかの事は ほんの数年前まで おかしく感じたり 眉をひそめられることでした でも それにも慣れ すでに当たり前になっています

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いくつか例をあげましょう 企業の取締役会の会議中 皆 メッセージやメールを送ります 授業中 プレゼンテーション中 そしてあらゆる会議の間 メッセージを送り 買い物をし Facebookを見る メッセージと アイコンタクトを 同時に行うスキルが 重要なんだといいます (笑) そして説明してくれます 難しいけれど できることだと 朝食や夕食時 親は メッセージやメールを送り 子供は 親が 関わってくれないと 不満を言います ところが子供は 子供で お互い関わろうとしない これは娘と友達で 一緒にいるけど 一緒じゃないという 最近の写真です 葬式の時まで メッセージです 私は考えました 我々は悲しみや悔やみから 自分自身を遠ざけて 携帯に向かうんだと

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それの何が悪いのでしょう? ただ私は気になります 問題に巻き込まれていると 感じるからです お互いの 人間関係の問題ばかりでなく 自分自身と どう関りあうかという問題 や 自分と向き合う能力の問題です 一緒にいても 一人ずつという 新しいスタイルになれはじめたのです 誰かと一緒にいたい でも同時に どこか他の場所とも つながっていたいのです 人間は生活を操りたがる どんな場所でも 出たり入ったりしたがります なぜなら一番重要なのは どこに意識を向けるか 自分で決めることだからです つまり役員会には出たいけど 本当は興味がある部分にだけ 注意を払いたいだけなのです それが良いことだと考える人もいます でも最終的には 常に連絡しているにも関わらず お互いに避けるように なってしまうのです

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ある50歳のサラリーマンは 仕事場では もう同僚なんて いないも同然だと嘆きます 彼は仕事に行き 立ち止まって誰かと話すことはないし 誰も彼に声をかけない 彼は同僚の仕事の邪魔を したくないからだといいます 「みんなメールで忙しいから」と言います でも彼はふと気がつきます 「いや 実は違うんだ 邪魔されるのがいやなのは 僕のほうなんだ 話したいはずだ でも つい自分のブラックベリーに 向かっておわるんだ」

5:35

どの世代の人でも いつも つながって いたいようです ただし 程よい距離があり 自分がコントロールできる 関係に限ります これをゴルディロックス効果 と呼んでいます 近すぎず 遠すぎず ちょうどいい距離 でも中年管理職の 「ちょうどいい距離」も 思春期の子には そうではない 対人関係を学ぶ必要がありますから 全てのことをメッセージで済ませる 18歳の少年は 物思いにふけりながらいいました 「いつかね いつかだよ それは絶対に今じゃないけど どうやって会話するのか学びたいよ」

6:22

私は人々に聞きます 「会話の何が問題なの?」と 皆こう言います 「会話の問題点は リアルタイムで進むこと― 自分で言いたいことを コントロールできないから」 それが本音です テキストメッセージでも メールでも 投稿でも 見せたい自分だけを 見せることができます 編集することができるし 削除することもできる ということは書き直しができ 顔も 声も 肉体も 小さすぎず多すぎず ちょうどいいくらいに 書きなおせるのです

7:05

人間関係は 豊かで 複雑で 骨の折れるものです 私達はそれを技術できれいにします すると どうなるか つながりだけを求め 会話が犠牲になる ということが起こります 自分をごまかし― 時間とともに 我々はそれを忘れてしまうか 或いは気にしなくなってしまうようです

7:32

ある時 スティーブン・コルベアが いきなり質問してきました とても深い質問です 不意をつかれました 「短いツィートや ネット上の ちょっとしたやり取りも 全部 足していけば 結局 本物の会話と 同じになるのでは?」 私の答えはノーでした 足し算は できないのです 確かに ちょっとしたやり取りは 情報を集めるには便利だし 「あなたのことを考えている」とか 「愛してる」と伝えるにも便利です つまり私が娘からメッセージを もらったときに感じたことを 思い出してください でもそれはお互いを知るためや 実際にお互いを理解しあうための 助けにはなりません 自分自身と どう対話するか 学ぶために お互いと会話をするのです だから会話を避けると 大変なことになりかねない 自分を振り返る力が 弱まるからです 成長中の子供達にとって そのスキルが発達の 基礎になりますから

8:57

よく聞く台詞は これ 「話さないでテキストで送るよ」 そして人々が 本物の会話がない生活や どんどん会話が減る状況に 慣れきってしまい 人付き合いは不要と 思い始めています たとえば こんな願いを持つ人も多いでしょう iPhoneのデジタル・アシスタント― Siriの進化版が登場して 他人が聞いてくれない話を 聞いてくれる 親友になってくれれば・・・ 私はこの願いが 過去15年間に学んだ 痛々しい事実を 反映していると思います 誰も私のことを聞いていない という感覚は 我々と技術の関係で とても重要です だから Facebook のページを持つことに Twitterフィード を増やすことに 自動的な聞き手を増やすことに 夢中なのです 「誰も聞いてくれない感じ」のせいで 気にかけてくれるように 見える機械が欲しくなる

10:03

今 ロボットが開発されています それらは社交ロボットと呼ばれ 人間のパートナーとして 設計されました 高齢者や 子供たち そして 私たちのパートナーです 私たちは誰かと一緒に いたいという気持ちを なくしたのでしょうか? 私は研究中 養護老人ホームで仕事をし 高齢者が理解されたと 感じるように設計された ロボットを持っていきました そしてある日行って見ると 子供を失った女性が アザラシの赤ちゃんの形をした ロボットと話をしていました それは彼女の目を見つめていたし 会話についていっているようだった 彼女は慰められていました 多くの人々がこれに驚くでしょうが

10:56

人生経験のない機械を通して 彼女は自分の人生を 理解しようとしていたのです ロボットの演技は見事でした 我々は傷つきやすい 人は偽りの共感も 本物だと思い込もうとする そしてその時 あの女性は その共感のふりを体験していたのです ロボットは共感しない 死ぬこともなければ 人生を知ることもない

11:33

だから 女性がロボットから 慰めを得たと知っても すごいとは思えなかった 私の15年間の仕事で それが一番複雑な瞬間でした しかし私は一歩引いたとき 自分自身が 急激な変化の まっただ中にいると 感じたのです テクノロジーへの期待は大きくなり 人への期待が薄れつつあります そこで私は自問します 「なぜ こうなって しまったのだろう?」

12:07

それは 我々が最も傷つきやすい部分に 技術がアピールしているからでしょう 我々は傷つきやすく 孤独― でも親しくするのも怖い だからソーシャル・ メディアからロボットまで 「友情」みたいな面倒はなく つながった感覚も得られる― 技術をデザインしました 我々は 自分で楽に コントロールできる方法で つながると感じられるような 技術に向かってしまう しかし本当は居心地よくない そんなにコントロールできていない

12:41

このところ 皆さんのポケットにある携帯電話は 心に変化をもたらしています 携帯電話が与えてくれる― 3つの幻想のせいです 1 好きな所に 意識を向けられる 2 常に聞いてもらえる 3 決して独りぼっちにならない 3つ目の幻想― 決して一人にならないということが 心理変化を 主に引き起こします 人は一人になったとき それがたとえほんの一瞬でも 気持ちが乱れ パニックに陥り 気をもみ デバイスに手をやる レジで並ぶ人や 信号待ちの人がそうでしょう 孤独は解決すべき問題で つながることで 解決しようとします でも つながりを求めるのは 治療ではなく症状のようになっている つながっても解決できず 問題を浮き彫りにするだけです また常に つながっていると 自意識に変化が生じます 新しい生き方を形作るのです

13:47

一言で言えば 「我つながる ゆえに我あり」です 我々はテクノロジーで 思考や感情を伝えることで 自己規定します 思考や感情を持つだけではダメ 前はこうでした 何かを感じると 電話がしたくなる 今はこう 何か感じたいから メッセージを送る 「我つながる ゆえに我あり」 という時代で 問題なのは つながってなければ 自分じゃない気がすること 自分とは思えないのです だから さらにつながりを求め その過程で どんどん 孤立していくのです

14:29

つながっていても 孤立するのはなぜでしょう 孤立してしまうのは 孤独に耐える力や 1人でいられる力を 養わないからです 孤独の中で自分を見つけ その上で他者に近づき 真の関係が築かれます 孤独に耐える力がないと 不安にならないために または生きていると感じるために 他の人に近づく そうなると 相手を理解できなくなる それはまるで彼らを 自身の頼りげない感覚を支える スペアパーツのように 扱ってしまうからです 常に接続していることで 孤独ではないと勘違いしてしまう それは危険です 本当は正反対だからです ひとりでいられなければ より孤独になるからです そして子供達に一人でいることを 教えなければ いつか 孤独になってしまう

15:33

私は1996年のTEDで 初期の仮想社会の 研究について話しました 「ほとんどの生活を スクリーンの前で過ごしている人々は 自分の写し身をそこに見出している」 といいました 今ここで私がいいたいのはこうです 技術によって 我々がどうなるのか― 支払う代償はなにか― 考え 対話する 必要があるのです 私達は技術に夢中です あまり話しすぎると ロマンスをだめにしてしまうのでないかと 若い恋人のように恐れています でも今が話すときなのです 我々は デジタル技術と共に成長し どちらも成熟したと考えています でも違います まだ初期の段階です それをどうやって使うか どう完成させるか 考え直す時間は 十分にあるのです 私はデバイスを遠ざけろと 言っている訳ではありません デバイスとも 他人とも そして自分自身とも 意識的に関係を 築くべきだと思うのです

16:38

最初の一歩はこうです 孤独はいいことだと 考えてください 1人の時間を作りましょう 皆さんの子供たちに それはとても価値のあることだと 教える方法を見つけましょう 神聖な場所を家に作ってください 台所 ダイニングルーム ― そこで会話を取り戻してください 仕事場でも同じことをしてください 皆 やり取りに忙しいので ほとんど考える時間もなく 実際に肝心なことを 話す時間もない この状況を変えましょう 最も重要なのは お互いに耳を傾けることで つまらないことさえ 話す価値があります 言葉につまったり ためらったり 口ごもったりする時― 本当の自分が表れるからです

17:29

テクノロジーによって 人間同士のつながりの 定義が変わろうとしています 他人とのつながりも 自分自身との関係も でも我々の価値観や 我々の方向を確認する チャンスでもあります 私は楽観的です 必要なものは そろっています 仲間もいます 成功する可能性はとても高い ただ 自分の弱さを自覚すべきです 「面倒なことは テクノロジーが 単純化してくれる」― 我々はそう考えがちです

18:07

よく耳にするのは 「人生はつらい」 「人付き合いは不安だらけ」 そこでテクノロジーです テクノロジーは簡単で 希望に満ち 前向きで 若々しい・・・ まるで頼りになる援軍です ある広告キャンペーンでは オンラインとアバターによって 「友達も 自分の体も 人生も 愛せるようになる ネットでアバターを 使うだけ」 だそうです 我々が 惹かれているのは 仮想恋愛や ゲームの仮想世界― そして いつかロボットが 真の友人になる 幻想です ある午後 友人とパブに行くかわりに ソーシャルネットワークで時間を過ごす

18:55

その置き換えの空想には 代償があるのです 今 我々が注目する― 必要があるのは テクノロジーを駆使して 自分の人生や身体を コミュニティーを 政治を そして地球を 取り戻せるということです 我々は必要とされています 夢の技術である― デジタルテクノロジーを どう使えば 現実の人生が 愛すべきものになるかを 話そうではありませんか

19:30

ありがとうございました

19:32

(拍手)

テクノロジーに期待すればするほど、相手に望むことが少なくなるのでしょうか?シェリー・タークルは、私達が使う機器やオンライン上の人格が人間関係をどう再定義するかを研究しています。そして私達に新しい人間関係、絆のあり方について真剣に考えるよう問いかけます。

About the speaker
Sherry Turkle · Cultural analyst

Sherry Turkle studies how technology is shaping our modern relationships: with others, with ourselves, with it.

Sherry Turkle studies how technology is shaping our modern relationships: with others, with ourselves, with it.