ロブ • ホプキンス

脱石油世界への移行

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Translated by Mutsuko Kobayashi
Reviewed by Masaki Yanagishita
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文化の特性として 私たちはよく物語を使って 将来のことを語り合います どんな将来が待っているのかを語り合うのです 物語によっては 誰か一人が 全員の代わりに問題を解決してくれたり あるいは世界の崩壊寸前を予言するものもあります

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私が今日お話しする物語はそれとは違います このようにしてこの物語は始まります 私が長く携わってきた仕事は教育関係で 人々に実用的なスキルを教えてきました 特に持続可能な活動に焦点を置いて 我々はどうすれば 責任をもって 自分たちの食糧を栽培できるのか 地域の材料で建物を建てられるのか 自分たちでエネルギーを作れるか などです

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アイルランドに住んでいた時に 国内最初のわら俵の家を建てました トウモロコシの穂軸でも家を建てました しかし 私の活動の全てが同じ理論を出発点としています それは 持続可能な活動とは 基本的にはグローバル化した経済の 成長モデルを分析して 一方で投入される量を抑え また他方で産出する量も抑えることです ある時 これを根本的に変える 新しい視点に出会ったのです

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それを本日ご紹介するわけですが そのカギとなるある物をまずお見せします ここにありますのは 現代社会の奇跡の一つで あまりにも素晴らしく驚嘆すべきもので この布をめくると同時に 皆さんが圧倒されて 息を飲む音が聞こえてくるのではないかと思っています どうぞ 遠慮なく驚きの声をお聞かせください (笑) これは 1リットルの石油です

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このボトルに入っている石油は 1億年以上もの地質学的時間と古代の太陽光で できた結晶です これを人間の肉体労働力に換算すると 5週間分のエネルギー量になります または 35人の力持ちが 仕事を手助けしに来てくれるのを想像してください 石油から多くの見事な素材を作り出すことができます 薬品、衣服、ノートパソコン 実に多様な物を作り出せます 歴史的に 想像を超えたエネルギーを供給してくれました 私たちの村落のデザインも ビジネスや交通の設計も 石油を前提にしています 経済成長の理論も 石油が永続するという前提のもと 成り立っているのだと主張する人もいます

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しかし ふと立ち止まって 歴史をふり返ってみると 石油時代と呼んできた時代は実は とても短い間でしかないことに気付かされます その短期間で 石油という強力な資源を発見し 私達の生活を石油に依存させてきたのです しかし 今はこのエネルギーの山の頂上で 大見え張って立っていますが 私達の社会経済や 個人の能力と幸福を 最大にするためには より多くを 消費すればよかった時代は終わりを告げます これからは 石油への依存度がそのまま 私達の弱さを表す時代になります

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今日ますますはっきり分かってきているのは 石油が際限なく利用できるという考えからは 近いうちに脱しないといけないということです 私たちが今日4バレルの石油を消費している間に 発見される石油は1バレルのみです しかもこの差は広がりつつあります さらには掘り出した石油から最終的に 生み出せるエネルギー量は減少傾向にあります 1930年代には 堀出すためのエネルギー投入量に対して その100倍のエネルギーを生み出すことができました 過去にこのような前例はありません 現在はこの比が11倍まで低下しました このような背景があって 今日では 石油を掘り出すための新しいフロンティアが アルバータや海底などの地域にまで 競い合うようにして広がっているのです

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世界には98の産油国があります しかしそのうちの65国は既に絶頂期を越えています 同様に世界平均がピークを過ぎる日がいつ来てしまうのか 人々は心配しています 現実にその日が 来てしまったのが去年の7月だったかもしれません 石油価格が高騰したときです

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かつて 我々のすばらしい才能 想像力と適応力で エネルギー量の絶頂期まで登りつめましたが エネルギーがなくなっていく現在の状況で あの時と同じ才能が花開かず 我々は無力に立ちすくむだけなのでしょうか そんなことはありません  重要なことは 政策を立てる時に 現実的な現状分析をもとに アイデアを育てるということです

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気候変動という問題もまた 私の考える もう一つの移行政策の軸となるものです 気象学者の話を聞いて気づくのは 新しいデータを入手するたびに 彼らの目に映る 恐怖の念が段々強くなっていることです しかもそのデータというのは IPCCが発表した物よりも最新のデータなのです つまり IPCCの発表では 最悪のシナリオとして北極の氷が 2100年までに大規模に解けてしまうということでしたが 実は 今の状況が続いた場合 今後5 - 10年間で全て消えてしまう可能性があるのです 北極の永久凍土層に含まれている炭素がたった3%でも 地球温暖化とともに大気に放出されれば 気候変動を回避するために 今後40年間で 削減しなくてはいけない炭素量を相殺してしまいます すると徹底的な二酸化炭素削減策を選ぶ他ありません

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私がいつも考えとして興味を持っているのは 我々の何世代か後の人々が 現在の私たちのことを どのように物語るかということです 「山の頂上で暮らしていて 来る日も来る日も浮かれ騒ぎ 遺産を乱用してしまった世代」でしょうか これを想像する時に私がするのは 私たちの前の世代の物語を振り返ることです 安い石油も 化石燃料もなかった時代に 自分たちの力 あるいは動物の力を利用し ほんの少しの風力と水力を利用していた世代です

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当時は「七里靴」などの物語がありました それは巨人が履く靴の話で たった一歩で35キロも進める靴です 無限に使える燃料がない時代では 想像の世界の中だけの話でした

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「魔法の鍋」という物語もありました 魔法の言葉ひとつで 好きなだけの量の おかゆを作り出してくれる鍋です 自分は何もしなくていい 忘れてはいけないのは 作るのを止める魔法の言葉です それがないと 町中がかゆであふれてしまいます

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「靴職人と小人たち」という物語もありました 靴職人が 夜寝ている間に 小人が靴を作っておいてくれるのです すべて 現実には考えられないことでした

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今日では 七里靴として 安い航空会社があります 魔法の鍋のような スーパーが存在します 小人の代わりに中国という「製造工場」があります 私たちは 昔ならとても驚くべきことを 当たり前だと感じているのです

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そして今 これからどこに向かおうかと考えて 自らに どんな物語を語れるでしょうか? 4つ考えられるでしょう まず このままの平常業務です 今と同じように未来も続くと考えていくのです でも去年一年を振り返ると この物語には 疑問に思うところもあります 気候変動に関しては 実際 良い方向には向かっていないのです

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壁に激突するという考えもあります 世界の全ては脆弱で ばらばらに崩壊してしまうという見方です こういう見方が幅を利かせている地域もあります 三番目の話は 技術が解決の鍵になり 私たちが世界崩壊を切り抜ける切り札になるということです

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これはTEDのスピーチでよく話題になります 深刻な経済状況や エネルギー危機から 抜け出す方法が見つかるだとか 知識経済への移行で このエネルギー危機を 回避しようだとか あるすばらしいエネルギー源を見つけ それがエネルギー安全保障についての 懸念を拭い去り 私たちが完全に再生可能な世界に 歩みを進められるだとか

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でも この世は仮想現実ではありません マウスをクリックして新しい土地や エネルギーシステムを生み出せる訳ではないのです そして 私たちが座って 自由に意見を交わしている間にも 石炭を採掘して コンピューターサーバーの電力を供給したり 産業用の鉱物を採掘している人がいるのです メールをチェックしながら 食べる朝食も 遠くから運ばれてくるのです これはかつて 私たちを支えていた 地元産でより強靭な食料システムを 損ねました 地元産の食料はまったく顧みられず 崩壊させられたのです

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私たち人類は驚くほど創造力に富み 発明の才能があります 同時に現実的なさまざまな制約と要請のある 世界に住んでいます エネルギーと技術は同じものではありません 私がかかわっている政策は 移行政策なのです 移行政策において 私たちは自分たちが直面している 石油時代のピーク越えや気候変動という問題に 本当に必要な独創性や適応力 そして想像力で応えるのです この政策は 信じられないほど速く広がっていきます そしてこの政策には いくつかの特性があります

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人々に伝染し レーダーをかなりのスピードでくぐりぬけ あらゆる人が共有し この政策に関わる全ての人が 連携して発展させ 伝えていくものです これは自立した政策で 中央の組織が推し進めているのではありません 人々が考え その理論に基づいて運営し 現状から実践的な行動に移すのです 解決策に焦点を当てながら 現状において 本当に何ができるかに目をむけ対処するのです 取り組む地域や規模によってこの政策は変わります

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移行政策には様々な形態があります チリ、アメリカ、そしてこの地域の移行政策グループ 場所によって異なった活動をしています 各グループは失敗から多くを学び 歴史的に重要な活動と感じ 今までにない驚くべき仕事をする 歴史に残る機会だという意識を生み出すのです これは本当に喜びの多い活動です 大いに楽しんで活動し 他の人々とつながりを持てます この活動の軸となっているのが 強靭さという考え方です

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いろいろな点でこの理論は 持続可能な活動よりも有益なのです 強靭性はエコロジーの研究に基づき 私たちの社会制度や住居が いかにして 外部からの衝撃に持ちこたえるか ということを扱います 外部からの衝撃に直面しても 簡単に壊れて粉々にくだけはしません 重ねて言いますが持続可能な活動よりも 有益な概念なのです

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スーパーマーケットに 一度に数日分の食料しか置けない場合 持続可能な活動では次の点に注目します 冷蔵庫のエネルギー効率や レタスが包まれている包装に目を向けるのです 強靭性というレンズを通して見ると 私たちはかなり外部の影響を受けやすい状況に 自らを追い込んでしまっていると言えるのです 強靭性の考えをもっと掘り下げられます 行動規範に独立性を導入し 私たちを支える基本的な秩序構造の中に 緩衝材の役目を構築することです

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これは1897年に撮影された ブリストル地区市場向け農園経営者協会の写真です ブリストル市は ここからかなり近く そのころは市場向け農園がいたる所にあり 非常に多くの農産物をブリストル市民に供給し 人々はそれらを消費しまた多くの雇用も生み出しました そのころは言ってみればある程度 強靭性があったとみられます 今は羨望のまなざしでその頃を振り返るだけです

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それではこの理論は どう展開するのでしょう? 基本的には この政策に賛同する人々とグループを作り活動します 彼らは私たちが開発したツールを活用して 意識改革プログラムを開始するのです 地域で本当にうまく進んでいくかどうか状況を見ます 映画の上映や 講演会などもあります これは楽しく創造的な作業です そして得るところが多い作業です それからいくつかの作業グループを作り 様々な面から移行政策を進め そこから移行政策自体が支持し可能にする 多くのプロジェクトが 始まるのです

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アイルランドでの私の関わった活動が最初で そこで私が教え そこから広まっていきました 今公式な移行政策のプロジェクトが 200以上あります そして何千ものグループが いわゆる検討段階に入っています 彼らは更に推し進めていくか検討中です そして彼らの多くは 本当に非常に多くの活動をしています 実際何をするのか 理論は良いですが 実際現場では何をやっているのでしょう?

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この組織だけで全ての活動をしているわけではない と言っておいたほうが良いようですね 私たちの活動には コペンハーゲン合意などの国際立法が必要です 国民や、地方政府からの反応も必要です でもこれら全てが これからはもっと容易になるでしょう もし地域に活気があり 考えを出し合い 先頭で指揮を取り 向こう5年から10年をかけて 見込みがない政策を 実現可能にしましょう

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地域食料のプロジェクトは こんな活動から生まれました 地域密着型農業プログラムや 都市型の食糧生産 地域の食糧供給者名簿などがあります 多くの地域で 地域のエネルギー供給会社を設立し 地域がこのエネルギー会社を所有し 地域がこの会社に投資し 私たちが必要とする 再生エネルギーの供給基盤を整備します 多くの地域が その地域の学校と協力して活動しています ニューエントでは 学校に長いビニールハウスを作り 子供たちは食物の育て方を学んでいます コミュニティーガーデンのような リサイクル活動を進め 植物を育てたいけれど畑を持たない人々と 使わない畑を所有している人々の ニーズをつき合わせるのです 街に多くの利益を生む木を植えたりもしています そして 代替通貨の導入も 検討しています

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こちらはサセックス州のルイスです 最近 ルイスポンドを導入しました ルイスポンドは ルイス内でのみ使える通貨で 地域内で経済を循環させるのです この通貨は 他の場所では 全く無価値です でもルイスの中ではかなり効果的に 経済を循環させることができるのです

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またいわゆる 低エネルギー化計画もあります これは基本的に第二の計画です 私たちの行政の大部分は腰を下ろして 地域の10年、15年、20年先のことを計画する時 まだ未来にエネルギーが残っていて もっと多くの車や家があり 多くの仕事や経済成長を 仮定しています もし そうならなかったら? どのようにしてこの事実を受け入れ どのようにして人々を本当に支える計画を 考えられるでしょうか 「人生は予期せぬことの連続だよ」と 私の友人が言うように 移行政策においても私は同じ経験をしています 3年前にこの理念が生まれ ウィルスのように あっという間に世界中に広がりました 政府からも注目を集めています 私たちの最近の会議では エネルギー・気候変動大臣のエド・ミリバンドが 基調講演を「聴く」ようにと招かれました 彼は実際に参加し (笑) (拍手) 氏は以来この計画全体を支持しています

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この国で2つの地方議会は 移行政策をとると宣言しています レイシェスターシェアとサマセット州です そしてストラウドの移行政策のグループは 事実上その自治体の食糧計画を立てました 地方議会の議長は 次のように言いました 「移行政策がなかったら 私たちは ストラウドの基盤をゼロから 築かなければならなかったでしょう」 移行政策が広まった今 国内で政策の拠点が現れ始めてます

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スコットランドでは 政府の気候変動対策基金が スコットランド移行政策グループに資金を投入しています これは国の組織が活動の拡大を支えている例です 現在全世界でも同様の動きが見られます しかし移行政策への鍵は 今全てを変えなくてはいけないと考えるのではなく 状況はすでに変わってきていると考えることです そして私たちがしなければならないことは 独創的にその活動に取り組み 正しく問うことです

14:48

最後に 物語のお話に 戻りたいと思います なぜなら物語は とても大切だからです そして実際 自らが語る物語には 現状からどのように創造的に前進すべきかということが 大きく欠けているのです 移行政策における重点の一つは 人々の活動から物語を引き出すことです 例えば 地域内で使える21ポンド紙幣を作った 自治体についての話や 駐車場を食糧用の畑に作り変えた学校 エネルギー会社を設立した自治体の話です 最近はこんな大事な物語がありました オバマ大統領の家族が ホワイトハウスの南側の芝地を掘り起こし 家庭菜園を作りました かつてルーズベルト大統領夫人が ホワイトハウスに家庭菜園を作ったときには アメリカ中に 200万もの家庭菜園ができたのです

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ですから 皆さんへの問いかけは 成長するためにあなたの地域社会が必要としている あらゆる側面に対するものです 強靭性も構築しながら 二酸化炭素排出量を大幅に削減するやり方とは どのようなものでしょうか

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個人的には 安く石油が手に入る時代に― 生きていることに 大いに感謝しています 私たちはとても幸せです でも石油がもたらしたものを受け入れた上で ここから前進しましょう なぜなら 石油にすがりつき 石油が― 私たちの選択の軸になるものだと 考え続けるのなら やがて訪れる未来は 本当に手のつけられないものになるでしょう そして石油がもたらしたことと 石油時代がもたらしたこと全てを 慈しみながらも後にして より強靭で より豊かな 世界を創造していくこと そしてお互いにより調和し 技術を重ね、結びつきが強くなる 世界を創っていくことが 可能になります ありがとうございました (拍手)

ロブ・ホプキンス氏は世界の石油が尽きようとしていると警告しています。その解決策として彼が提案するのは、移行政策というユニークなアイデアです。政策の狙いは化石燃料に一切頼らないシステムやコミュニティー造りであり、そのために石油のない生活に備え、贅沢から脱する必要性を訴えます。

About the speaker
Rob Hopkins · Resilience leader

Rob Hopkins is the founder of the Transition movement, a radically hopeful and community-driven approach to creating societies independent of fossil fuel.

Rob Hopkins is the founder of the Transition movement, a radically hopeful and community-driven approach to creating societies independent of fossil fuel.