Regina Dugan
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技術オタクには 優しくすべきです 私は敢えてこう言います もし身の回りに 技術オタクが まだいないようなら 1人くらい見つけるべきだと 少なくとも私自身はそう思います 科学者や技術者は 世界を変えます 私がお話ししたいのは DARPAという魔法のような場所のことです そこでは科学者や技術者が 失敗への恐怖をはねのけ 不可能に挑んでいます 不可能と失敗という考えは みんなが思っているよりも強く結びついています 失敗への恐怖を取り除くとき 不可能が突然 可能になるからです

どうすればそうなるのか知りたければ こう自分に問うてみてください 「絶対失敗しないと分かっていたとしたら どんなことに挑戦しようとするだろう?」 「絶対失敗しないと分かっていたとしたら どんなことに挑戦しようとするだろう?」 本気でこの問いを 考えるなら きっと居心地悪く感じるはずです 私は感じます こう問うたとき 失敗の恐怖がいかに自分を 制限しているかに気づくからです それがいかに すごいことへの挑戦を押しとどめ 人生を退屈なものにし 驚くようなことを起きなくさせているか— いいことは起きるにしても 驚くほど素晴らしいことは 起きなくなります

誤解のないように言っておきますが 私が勧めているのは 失敗することではなく 失敗への恐怖を なくすということです 私達を制限しているのは 失敗自体ではありません 本当に新しい かつて為されたことのないものへと 至る道は 常に失敗を伴います 試練を受けるのです ある意味試練は 偉大なことへと至る途上にある感触を与えてくれるのです クレマンソーは言っています 「人生は失敗したときに面白くなる 失敗は 自分を越えたというしるしだからだ」

1895年 ケルヴィン卿は 空気よりも重い飛行機械は 不可能であると断言しました 1903年10月 空気力学の専門家の間で 支配的だった意見は 1千万年後だったら 空飛ぶ機械も 作れるかもしれないというものでした その2ヶ月後の12月17日 オーヴィル・ライトは最初の動力飛行機で ノースカロライナの浜辺を飛行しました 飛行時間は12秒 距離は40メートル 1903年のことでした

1年後に また別な不可能の宣言が出てきます フランス陸軍で 最も独創的で明敏な知性を持つと言われた将軍 フェルディナン・フォッシュは 「飛行機は面白いおもちゃだが 軍事的価値はない」と言いました 40年後 空気力学の専門家たちは 遷音速 (transonic)という用語を作り 綴りの s を1つにするか2つにするかで議論していました 彼らは この飛行機の時代にあって 疑問を抱えていました 音速よりも速く飛ぶことが そもそも可能なのか分からなかったのです 音速よりも速く飛ぶことが そもそも可能なのか分からなかったのです 1947年には マッハ0.85を超える 風洞データはありませんでした それにもかかわらず 1947年10月14日火曜日 チャック・イェーガーは ベルX-1のコクピットに乗り込んで 未知の可能性に向けて 飛び立ち 音速よりも 速く飛んだ 最初のパイロットとなったのです アトラスロケット8つのうち6つは 発射台の上で爆発しました 11回の完全なミッション失敗ののち 初めて宇宙からの画像を手にできましたが この最初の飛行だけで U-2 偵察機による調査の すべてを合わせたよりも 多くのデータが手に入ったのです そこに至るまでには 多くの失敗が重ねられました

空を飛べるようになって以来 人類は より速く より遠くへ飛びたいと思い続けてきました そのためには 不可能に見えることでも実現できると信じる必要がありました 失敗への恐怖を 拒む必要がありました このことは現在でも変わりません 今日お話しするのは遷音速飛行でも 超音速飛行でもなく 極超音速飛行の話です マッハ2とか3ではなく マッハ20です マッハ20だと ニューヨークから ここカリフォルニア州ロングビーチまで 11分20秒で来られます このスピードで飛ぶと 翼の表面は 金属も溶けてしまう 摂氏2,000度に達します まるで溶鉱炉のようで 飛びながら翼を燃やすような 状態になります そして私達はそれを やろうとしているのです

DARPAの極超音速試作機は これまでに作られた 操縦可能な飛行機として 最速のものです ミノタウロスIVロケットで 宇宙に近い高度まで 運び上げてから射出します ミノタウロスIVは推進力が強すぎるので 威力をそぐ必要があり 軌道のある部分では 迎角89度で 飛行させています これはロケットとしては 不自然な動作です ロケットの三段目にカメラがついていて ロケットカムと呼んでいます それが極超音速グライダーに 向けられています これは1回目の飛行における ロケットカムの実際の映像です 形を隠すためアスペクト比を若干変えてありますが これはロケットの 第三段目から撮影した 無人グライダーが 地球の大気圏に 向かう様子です

2回飛行を行いました 最初の飛行では 機体の空力的制御なしでしたが それでも極超音速飛行について 30年間の地上試験 すべてのデータを合わせたよりも 多くのデータを取ることができました 2回目の飛行では 3分間完全に制御された マッハ20での 空力的飛行を行いました もう一度飛ばす必要があります かつて行われたことのない途轍もないことをするには 実際に飛ばすしかありません 飛ぶことなしに マッハ20の飛行について 学ぶことはできないのです 運動性はスピードに代わるものではありませんが それに劣らず重要なものです

マッハ20のグライダーだと ニューヨークから ロングビーチまで11分20秒ですが ハチドリなら さあ 何日かかるでしょう ハチドリは極超音速ではありませんが 高い運動性を持っています 事実 ハチドリは後ろ向きに 飛べる唯一の鳥です 上にも下にも 前にも後ろにも飛べ 上下逆さになっても飛べます 屋内や人の入れない場所に 行かせたいなら 十分に小さく 運動性の高い飛行機が 必要になります

これはハチドリロボットです 後ろも含め あらゆる方向に飛べます 空中に静止したり回転することもできます この試作機には ビデオカメラがついていて 重さは単三電池1本よりも軽くできている上 蜜を吸いません 2008年には 20秒間飛べました 1年後には2分になり それから6分 今では 11分になりました たくさんの試作機が墜落しました 本当にたくさんの・・・ でもハチドリのように 飛ぶ方法を学ぶには 飛ばす以外にないのです (拍手) 美しいと思いません? ああ 素敵 マットは人類初のハチドリパイロットです (拍手)

失敗は 新しくすごい物を作る 過程の一部なのです 失敗を恐れていたら 新しくすごいものを作るのは不可能です でこぼこの地面を 犬のように安定して歩くロボット 氷の上さえ歩きます・・・ チーターのように走るロボット 階段を人のように上れ 時折 人と同じ様なドジもするロボット スパイダーマンはいつか ヤモリマンになるかもしれません ヤモリは 指先1つで ぶら下がっていることができます ヤモリの足の裏には 1平方ミリあたり 1万4千本の毛状の 構造があって それが分子間力によって 面に張り付きます

現在の技術でヤモリの足の裏の 毛に似た構造を作ることができます 出来上がった 10センチ四方の 人工ナノ・ヤモリ粘着物は 300キロの静的荷重を 支えられます つまり 42インチプラズマテレビ 6台を ネジなしで壁に 貼り付けられるのです なかなかすごいマジックテープでしょう?

受動的構造だけではなく マシンだってナノテクで作ることができます これはハダニです 大きさ1ミリですが マイクロマシンの横だと ゴジラのように見えます ハダニがゴジラに見える世界で それぞれの大きさが 髪の毛の直径の1/5という鏡 数百万枚を 毎秒数十万回動かして 大きな映像を映し出すことで 『ゴジラ』のような映画を 超高画質で見ることができます

そのようなナノスケールで 機械を作れるのであれば ミクロサイズで作られたエッフェル塔のような トラス構造物はどうでしょう? 今日私達は 発泡スチロールよりも軽い金属を 作っています タンポポの綿帽子に載せられ 一吹きで 吹き飛ばされてしまうくらいに 軽いものです それで車を作れば 2人で 持ち上げられる軽さながら SUV並の耐衝撃性を実現できます

研究は 小さな一吹きの風から 自然の嵐の強い力にまで及びます 地球上では毎秒44回の 雷が発生しています それぞれの雷は空気を 2万4千度に熱します 太陽の表面より高い温度です もしこの電磁パルスを ビーコンとして使えたなら 雷などをビーコンとする 即席の強力な発信器網を 作り出せたとしたらどうでしょう? 実験は雷が 次のGPSになり得ることを示しています

思考で発生する脳の電気パルスの研究— 脳の表面に付けた 32の電極からなる 親指大のグリッドを通して ティムが先進的な義手を 思考によってコントロールしています そして思考によって ケイティに手を差し伸ばしました 人が思考のみによって ロボットを制御したのは これが初めてのことです そしてティムは 7年振りに ケイティの手を握ったのです この瞬間はティムとケイティにとって 大きなものでしたが この緑の泥も 皆さんにとって大事な物になるかもしれません この緑の泥は 皆さんの命を救うワクチンになるかもしれません 植物のタバコによって作られます タバコは 何百万回分のワクチンを 従来の数ヶ月ではなく数週間で作れます これは今までなかった タバコの健康的な利用法になるかもしれません

タバコが人を健康にする— というのが にわかに信じがたいなら 専門家に解けない問題をゲーマーが解いた と言ったらどうでしょう? 去年の9月 Foldit ゲームのプレーヤーたちは アカゲザルのAIDSを起こす レトロウィルスが持つ プロテアーゼの3次元構造を解明しました この構造を知ることは 治療法開発の上で とても重要です 15年間 科学者たちが 解けずにいたこの問題を Foldit のプレーヤーたちは 15日間で解いたのです 彼らは協力することで 解決できました 彼らが協力できたのは インターネットで繋がっていたからです 他のインターネットで繋がった人々は それを民主化の道具として使いました そして自分たちの国を みんなの力で変えたのです

インターネットは 20億人 つまり世界人口の 3割の人々の居場所になっています 私達1人ひとりが何かの役に立ち 意見を聞いてもらえるようにしてくれます 意見を聞いてもらえるようにしてくれます 私達のグループとしての 声や力を 増幅してくれます しかしそれだって 始まりはささやかなものでした 1969年 インターネットはただの夢 紙の上のスケッチに過ぎませんでした それから10月29日に 最初のパケット交換メッセージが UCLAからSRIへと送られました 届いたのは“LOGIN”の 最初の2文字 LとOだけで それからバッファオーバーフローで システムがクラッシュしました (笑) たった2文字 LとO それが今や世界を動かす力になっているのです

DARPAと呼ばれる魔法の場所にいる 科学者や技術者は どんな人たちなのでしょう? 彼らは技術オタクであり 私達のヒーローです 最も過酷な条件下で 最先端の科学に取り組み 既存のものの見方に挑戦しています 失敗を恐れるのをやめて 不可能に挑んだなら 世界は変えられるということを 彼らは思い出させてくれます 私達みんなに 夢中になる力があることを思い出させてくれます 私達の多くは その感覚をただ忘れているのです

分かるでしょう 失敗を恐れてなかった頃があったのを すごい芸術家で すごいダンサーで 歌えて 数学が得意で 何だって作れ 宇宙飛行士で 冒険家で ジャク・クストーのようで 誰よりも高く飛べ 速く走れ 強くキックできたのを 不可能なことができると信じ 恐れを知らなかったのを 自分の内なるスーパーヒーローと しっかり繋がっていたのを思い出してください 科学者や技術者は 世界を変えられます あなただって変えられるのです その力を持って生まれてきたのです だから どうか 前へ進んで 自分に問うてみてください 「絶対失敗しないと分かっていたとしたら どんなことに挑戦しようと思うだろう?」

これは 簡単なことではありません この感覚を持ち続けるのは 本当に難しいことです それはある意味 難しく感じるのも当然です 常に疑いや恐れが忍び込みます きっと他の誰かがやってくれるだろうと考えます もっと頭がよく もっと能力があり もっとリソースに恵まれた誰かが— でも「他の誰か」はいないのです 自分しかいません 幸運に恵まれたなら 疑いに捕らわれた瞬間に 誰かが割って入り 手を取って言ってくれるでしょう 「信じられるように手伝ってあげる」

ジェイソン・ハーレイが私にそうしてくれました ジェイソンは2010年3月18日に DARPAで働き始めました 彼は輸送チームにいました 私はジェイソンとほとんど毎日 時には1日に2回会いました 彼は他の人よりも多く 高みやどん底 成功の祝杯や失敗の落胆を目にしていました 私にとって ことに暗かったある日のこと ジェイソンは私に メールを書きました 励ましながらも 断固としていました 彼が送信ボタンを押したときには そのメールが持つことになる重みに気づいてはいなかったでしょう 私にはとても大きなものでした その時も 今日においても 疑い 恐れを感じるとき あの挑戦する感覚に再び繋がる 必要を感じるとき 彼の言葉を思い出します それほどに力強いものでした

「マントにアイロンをかける時間くらいしかないからね・・・そしたらまた空に 戻らなくちゃ」 (Jason Harley, 1974年4月19日-2012年1月1日) 「マントにアイロンをかける時間くらいしかないからね・・・そしたらまた空に 戻らなくちゃ」 (Jason Harley, 1974年4月19日-2012年1月1日)

♫ スーパーヒーロー スーパーヒーロー ♫ スーパーヒーロー スーパーヒーロー ♫ スーパーヒーロー スーパーヒーロー ♫ スーパーヒーロー スーパーヒーロー ♫ スーパーヒーロー スーパーヒーロー

スーパーヒーローであるというのはそういうことさ

「マントにアイロンをかける時間くらいしかないからね・・・ 「マントにアイロンをかける時間くらいしかないからね・・・ そしたらまた空に戻らなくちゃ」 そしてどうか 技術オタクに優しくしてください (拍手) ありがとうございます

(拍手)

レギーナ どうもありがとう いくつか質問があります あのグライダーだけど マッハ20のグライダー 最初のは制御不能で太平洋のどこかに落ちたんですよね?

ええ そうです (クリス: 2番目のはどうなったの?) ええ そっちも太平洋に落ちました (クリス: でも今回は制御しながら?) 太平洋に向けて飛んだわけではありません あのスピードで飛ぶには 軌道上のところどころに 厳しい箇所がありました 2番目の飛行では 制御不能になる前の3分間 機体の完全な空力制御ができました

近々ニューヨーク-ロングビーチ間の旅客便開設を 計画してはいないと思いますが・・・

少しばかり熱すぎるでしょうね

あのグライダーが何に使われることを思い描いていますか?

私達の仕事は このための技術を開発することです 最終的にどう使うかは 軍が決めることです この飛行機 この技術が目指しているのは 世界中のどこへでも60分以内に 到達できるようにすることです

数キロ以上の 荷物を載せて? (レギーナ: ええ) どんな荷物を運ぶことになるんでしょう?

最終的に何を運ぶことになるのか私達にはわかりません まず飛べるようにするのが先なんです

でもカメラだけとは限らないんですよね?

カメラだけとは限りません

すごいと思います あとハチドリですが・・・

ええ

飛行機の話の始めに いろんな羽ばたき飛行機が ひどい失敗をする 映像がありましたね それ以降 羽ばたき飛行機というのは あまり作られていません 今 生体模倣して ハチドリの羽ばたきをまねる時だと 考えたのはなぜなんでしょう? 運動性の高い小さな飛行体を 作る方法としては 非常に高くつくのではありませんか?

ある部分では 単に 果たして 可能なのだろうかと思ったということです こういった疑問は時折再訪する 必要があるものです AeroVironmentの人たちは 300以上の異なる翼のデザインを試し 航空電子工学的に異なる12の形態を試しました 実際に飛ぶものを作るのに 10回の 試作の完全なやり直しが必要でした でも何かに似ている 飛行機械には とても興味深い面があります あらゆる検知を避ける ステルス技術の話をよく聞きますが 何かがまったく自然物のように見えるとしたら それもまた「見えない」のです

では単に性能の問題ではないんですね ある部分では見かけのためだと (レギーナ: そうです) 「ほら うちの本部の上を かわいらしいハチドリが飛んでいる」みたいな 「ほら うちの本部の上を かわいらしいハチドリが飛んでいる」みたいな (笑) あれを見て感嘆の念に打たれると同時に ある人たちは考えるでしょう 技術の進歩はあまりに早く どこかのいかれたギークが 小さなリモコン蠅をホワイトハウスの窓から 忍び込ませるのも 遠い先の話ではないと パンドラの箱の問題を懸念することはないんですか?

私達の唯一のミッションが何かというと 戦略的に予想外なことの創造と予防です それが私達のしていることです 私達のやっていることで 人々が興奮すると同時に 不安にならないとしたら 私達は仕事していないことになります それが私達の仕事の本質なのです 私達の仕事は 限界を押し広げるということです 技術がどのように開発され 最終的にどう使われるのかを心に留め 責任を持つべきなのはもちろんですが 目をつぶって技術が進歩しないフリを するわけにはいかないのです 技術は進歩するのですから

あなたが人を勇気づけるリーダーなのは明らかです そして人々に あのような大いなる発明に 取り組むよう 背中を押しているわけですが 個人というレベルでは 私には あなたの仕事を自分でするのは考えられません 夜中に目を覚まして 自分のチームの才能が 意図していない— 重大な結果を招くことにならないかと 自問することはないんですか?

当然 人間としてその疑問を 問わずにいることはできないと思います

(クリス: それにどう答えますか?)

いつも答えが見つかるわけではありません 時と共に学んでいくのだろうと思います 時と共に学んでいくのだろうと思います 私の仕事は最も刺激的な仕事と言えるでしょう 驚くほどの才能を持った人たちと働いています この興奮は とても重い責任の感覚を 伴っています 可能なことに対する あのものすごい高揚感が ある一方で その帰結に対する ものすごい深刻さもあるのです

レギーナ 本当にすごいものを見せていただきました TEDに来ていただき感謝しています (レギーナ: こちらこそ)

(拍手)