ピーター・シンガー
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皆さんに ご覧いただきたい 映像があります レポーター: これは中国の何百万の人々を 大きく動揺させました 2才の女の子が トラックに轢かれて 道端で血を流している側を 通行人は そのまま過ぎ去ります 生々しすぎる映像です この事故は カメラが 一部始終 記録していました ドライバーは 女の子を轢いた後― 後輪が女の子の上に乗ったまま 一時停止しました その後 2分間に 3人が2才のワン・ユーの側を通り過ぎます この人は 重体の子供の横を よけて通り過ぎます 他の人々は 通りすがりに一瞥します ワン・ユーの横を― 通り過ぎた人々は 他にもいます 別のトラックは足を轢きました 道路清掃員が行動を 起こすまで こんな様子でした 急いで病院に運ばれましたが 手遅れでした 亡くなったのです 皆さんの中で これを見て どの位の方が― 「私なら決して見過ごさない 必ず助ける」と― 思われているでしょうか そう思われた方は 挙手をお願いいたします 予想通り 大半の方がそうですね 皆さん そうなさると思います でも ご自分を過信する前に― こちらを ご覧ください 2011年のユニセフ報告書です 5才以下の690万人の子供が 予防可能な 貧困に起因する病気で 命を落としています ユニセフは これを 良いニュースだと言います なぜなら 1990年の統計で この数は1,200万人でしたから 人数は着実に減っています 良いことです でも まだ690万人です 毎日1万9千人が亡くなっています 道端で 無関心に通り過ぎないことを 誇れるでしょうか? 彼らが遠くにいるから 仕方ないですか? 私は道徳的に 有意な違いはないと考えます 事実 子供たちは 手に届かない所にいて 国籍も人種も違いますが 道徳的には 関係無いと考えます 本当に重要なのは― 亡くなる子供たちの数を減らせるか? 毎日亡くなっていく 1万9千人もの子供を 少しでも救えるかです 私はできると考えます 私たちは皆 不要なものに お金を浪費しています 皆さんのライフスタイル― 新しい車を買ったり 旅行したり 水道の水が 安全に飲めるのに ペットボトルの水を買ったり 考えてみてください 皆さんが不要な物に使うお金を アゲインスト・マラリア基金に 寄付してはいかがでしょう この基金は― 皆さんが寄付したお金で このような蚊帳を購入して このような子供達を守ります もし蚊帳を提供すれば 彼らが確実に使用して その結果 マラリアによって死亡する 子供達の数を減らせます こうした予防できる病気で 毎日 1万9千人の子供が 息絶えています 幸いなことに このアイディアは 多くの人に浸透しつつあります 結果として こんな動きが 広まっています 効果的な利他主義です 感情と理性の両面を捉えるという点で 大変重要です 感情とは 皆さんが感じることです 子供に対して 同情することです しかし 理性で考えることも 大変重要です 確実に効果的で 的を絞った方法で 援助するため そして それ以上に 論理的に 考えることで分かることもあります 人はどこに住んでいようとも 私たちと同じ人間で 私たちと同じように苦しみ 私たちと同じように 親は 子供の死に心を痛め 私たちの生命と健康が 私たちにとって重要であるように それが 同じように これら全ての人々にとって重要であることです つまり 論理的に考える事は 目的達成のための 中立的なツールだけでなく― 私たちが置かれている状況に 新たな見方をもたらすと考えます ですから― 効果的な利他主義観を持っている 重要な方々の多くが 哲学や経済 数学といった バックグラウンドを 持っているのが納得できます 意外と思われるかもしれません 多くの方が― 「哲学とは 現実とは切り離されているし― 経済は人々を利己的にするし― 数学はオタクしか興味がない」と 考えているからです でも 実際に変革を起こしています そして 効果的 利他主義を遂行する オタクが実際にいます ご覧ください ビル&メリンダ・ゲイツ財団の ウェブサイトです 右上に書かれているのが 「全ての生命は平等の価値を持つ」です これが世界の状況を― 論理的に捉える 考え方ではないでしょうか この考え方によって 歴史上 最も効果的な 利他主義者である ゲイツ夫妻と ウォーレン・バフェットを生み出しました (拍手) アンドリュー・カーネギー  ジョン・D・ロックフェラーでさえ 彼ら一人一人を上回る額の 膨大な寄付は 行っていません 彼らは 慈善活動が 効率的に運営されるよう 知性も利用しました ある試算によると ゲイツ財団は これまで580万人の命を救いました 更に助かったとしても 重症になる可能性のある 数百万の人々を 病気から救いました ゲイツ財団はこれからも 更なる寄付を続けて 多くの命を助けるでしょう 億万長者だったら そんな規模のものが出来ても 自分には無理だと思う方もいるでしょう では お金が無かったら 何ができますか? お金を寄付する際に障害となる 4つの問題について考えましょう 人々は自分に一体何が出来るかと 気にしています でも 億万長者である必要は ありませんよ これはトビー・オードです オックスフォード大学の 哲学専門のリサーチ・フェローです 彼は研究者としてのキャリアを通して どれだけの収入があるかを計算して 結果として効果的な 利他主義者になりました 発展途上国の8万人もの 盲目の人々を治療するお金を 寄付しても 十分な残金があり 自分の生活水準は 適正に保てると計算したのです トビーはこの情報を広げるため Giving What We Can という団体を立ち上げました 自分の収入を 分かち合いたいという 人々を集めて 人生で得る収入の 10パーセントを 世界規模の貧困と戦うために 寄付してもらおうと言うものです トビーはもっと凄いことをやりました 年間1万8千ポンドで生活するという 誓いを立てました 300万円足らずです 残りの収入は 他の団体に寄付しました トビーは結婚していますし 住宅ローンもあります この高齢の夫婦は― チャーリー・ブレスラーと ダイアナ・ショット 彼らが出会った頃 二人はベトナム戦争に 反対する活動家で 社会正義のために戦っていました 戦争が終結して 信念は捨てていませんでしたが 他の人たちと同じように 特別な活動は行っていませんでした その後 多くの人が定年退職を 考えるような年になり 自分たちの信念に立ち返り 節約して 慎ましく生活し お金と時間を 世界規模の貧困と戦うために 費やすことを決心しました 時間を費やすなんて聞くと こう思うかもしれません それじゃあ 仕事を辞めて 全労力を毎日失われている 1万9千人の命を救うために 費やすべきだろうか? 1万9千人の命を救うために 費やすべきだろうか? 世界に良い影響を与える仕事を どうすれば出来るか 考えた人がいます ウィル・クラウチです 哲学を専攻する大学院生です 彼は80,000 Hoursという ウェブサイトを立ち上げました これは一般の人が生涯に働く 時間を推定したものですが 最も意味のある 効果的な仕事は何かと アドバイスするサイトです 驚かれるかもしれませんが その道の正しい能力と 適性がある人には 銀行かファイナンス関係に 進むことを検討するよう アドバイスしていることです なぜでしょう? もし皆さんが多くのお金を稼いだら― 多くのお金を寄付できます ですからキャリアで成功することは 援助団体に 寄付できることを 意味します 例えば 援助団体が 発展途上国で働くための 5人のスタッフを雇うとします その一人一人が あなたが働くのと同じくらい 素晴らしい貢献をするでしょう つまり 収入の多い職業を 選択することで 5倍の貢献が出来るわけです このアドバイスを実行した 若い男性がいます マット・ウェイガーです プリンストン大学で 哲学と数学を専攻しました 昨年 卒業した際には 哲学部の最優秀論文賞を 受賞しました その後 ニューヨークで ファイナンスの職につきました 十分な収入があったので 何十万ドルという大金を 有効なチャリティ団体に寄付していますが 生活に困りません マットは 『あなたが救える命』と題した 私の著書から名前を得た 慈善団体の設立にも 協力してくれています この団体の目的は 私たちの文化を変えることで 道徳的な生活を送るためには― 嘘や盗み 暴力 殺人と言った 禁止事項を守るだけでは不十分で もし十分なお金があれば その一部を 必要とする人々に 分け与えようと言う 考えを広めています この団体は様々な人や 異なる世代を繋げます 例えば 大学生の ホリー・モーガン 彼女は 僅かばかりの所持金の 10パーセントを寄付しています 右手にいるエイダ・ワンは 貧困に苦しむ人のために 働いていましたが 今では 更なる貢献が出来るよう イエール大学でMBAを専攻しています 多くの方が チャリティは 効果的でないと 考えるかもしれません では 有効性について 考えてみましょう トビー・オードは この点をとても心配して 幾つかの慈善団体が 他の団体に比べて 百倍も千倍も 効果的であることを 算出しました ですから 有効性のある 慈善団体を選ぶことが重要です 例えば 盲目の方に 盲導犬を寄付するとします 善い行いですよね? 確かに 善いことです― でも 同じお金で 他に何ができるか熟慮すべきです 盲導犬の訓練には4万ドルが必要です 盲導犬が効果的な 助けとなるため 盲人の方の訓練も必要です 発展途上国で 伝染性の盲目症を 治療するために必要な金額は 20から50ドルです ですから計算して 何が効果的か 考えてみてください 同じお金で 一人の盲目のアメリカ人に 盲導犬を与えるか もしくは 4百から2千人を 失明から救うかです 何が最善かは 明白だと思います もし有効的な慈善団体に 寄付したいとお考えでしたら 良いウェブサイトをご紹介します GiveWellは 慈善団体の 影響調査を行っており 上手く運営されているか 審査するだけでなく 数百という慈善団体を 評価して 現在3つの団体だけを 推奨しています アゲインスト・マラリア基金がトップです 良い奨励団体を探すのは とても難しそうですが thelifeyoucansave.comと Giving What We Canは 貧困から命を救う以外も網羅した― より幅広い範囲での 効果的な慈善団体を 紹介しています 動物を保護する 慈善団体についても 同じように検索できる ウェブサイトがあります 動物保護については ずっと懸念しています 毎年 何百億という動物に 人間が与えている 甚大な悪影響です もし皆さんが この悪影響を低減する 効果的な慈善団体をお探しでしたら Effective Animal Activismという サイトを訪れてみてください 効果的な利他主義者の中には 生物の存続自体が 大事であると考える人がいます そこで 絶滅のリスクを 低減する方法を模索しています 皆さん ご承知のとおり 最近 地球の近くを通り過ぎた 小惑星が 絶滅の危機の 一例です 研究によって 地球に衝突する 惑星の軌道を予知するだけで無く― 軌道から 逸らすことも可能です ですから この研究を善いこととし 寄付する人がいます 多くの可能性があります 私の最後の質問です 与えることが 苦痛であると 考える人たちがいます 私は否定します 私は大学院生時代から 与えることが喜びです 私の人生を豊かにしてきました チャーリー・ブレスラーは 利他主義者ではないと言いました 救っているのは 彼自身の人生だと 考えているのです ホリー・モーガンは 効果的な利他主義に関わるまで 鬱と戦っていたことを告白しました 今では最高に幸せそうです 効果的な利他主義になることで こんな問題を 克服するのではないでしょうか シーシュポスの問題です ティツィアーノが描いた ギリシア神話の シーシュポスですが― 神が彼に課した罰は 大岩を山頂に運び上げることでした 山頂まで あと少しの所で― 岩は 重みに耐えきれなくなり 転がり落ち― 麓から また持ち上げなければいけません この苦行が永遠に 続けられます 消費者のライフスタイルに 似ていませんか? お金を得るために あくせく働いて― そのお金を 浪費しています 購入したもので 満足しますか? でも お金は無くなったので もっと稼いで また買うため 同じ幸福レベルを 維持するため また働きます 終わることが無い 快楽のルームランナーみたいです その上をいくら走り続けても 真に満足することは無いでしょう 効果的な利他主義になることで 意義と充足感を手に入れます 自分の人生が 本当に価値があるものだったと言う 自尊心の確固たる基盤を 手に入れるでしょう 最後に皆さんに お話したいことがあります 1ヵ月ほど前 この講演を執筆中 ある電子メールを受け取りました クリス・クロイという 見ず知らずの男性からでした これが彼の写真です 手術後に回復している様子です なぜ手術を受けたのでしょうか? メールはこんな風に始まります 「先週の火曜日 右の腎臓を 匿名で他人に提供しました これが周りにも影響を与えて 結局4人の患者が 腎臓提供を受けました」 全米で毎年 約百人の人々が― そして他国で更に多くの人が ドナーになっています これを読んで嬉しかったです クリスが腎臓提供を行ったのは 私の著書に影響されたからだそうです 正直に言いますと 私自身も恥ずかしくなりました 私は腎臓が2つありますから クリスが更に言っていたことは 彼がしたことは たいして 素晴らしいことでは無いけれど 彼が腎臓を提供することで 延命できた人の 命の長さを計算すると 5千ドルを アゲインスト・マラリア基金に 募金することと 同等の結果を 生み出すということでした それを聞いて 少しだけ安心しました 私は アゲインスト・マラリア基金や その他の効果的な慈善団体に 5千ドル以上 寄付していますから 皆さんが まだ2つ腎臓があることで ばつが悪いようでしたら 他にも貢献できる道があります ありがとうございました (拍手)