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Translated by Tomoshige Ohno
Reviewed by Akinori Oyama

0:11 20代のときに 私は 心理カウンセリングで 初めて患者を診ました 当時私はUCバークレーで 臨床心理学を学ぶ博士課程の学生でした その患者はアレックスという 26歳の女性でした 初診のとき アレックスは ジーンズと ダボッとしたシャツを着て 診察室のソファーに ストンと腰掛けると ペタンとした靴を脱ぎ 男の子の問題について 相談に来たと言いました それを聞いて 私は ほんとホッとしました 私のクラスメイトなんて 初めて診たのが放火犯だったんですから (笑) それに比べ 私のは  20代女性の男の子に関する悩み相談 これなら 問題なくこなせる と思ったのですが どうも甘く考えていたようです 毎回 アレックスが持ち込む 愉快な話を聞き 私は彼女に同感し 問題は先送りにしていました 「30歳は昔の20歳よね」と アレックスが言えば 私もそんなものだと 思っていました 就職も結婚も出産も 昔より遅くなって 死ぬことだって先になってる そんな20代の私やアレックスに 時間なら いくらでもありました しかし しばらくすると 私の指導教授が恋愛に関して アレックスに とやかく 指図するようにプッシュしてきました 私はこう言って 押し返しました 「彼女が 釣り合わない人と付き合って バカな男と寝ているのは確かですが その人と結婚する というわけでもないでしょう」 すると指導教授はこう言いました 「今は大丈夫でも 次の彼とは結婚するかもしれない とにかく アレックスが 結婚を考えるのは 結婚するような相手に会う前が 最適なんです」 心理学者が「アハ体験」と呼ぶ瞬間です この瞬間 30歳が昔の20歳では 無いことを悟りました 確かに 身を固めるのは 昔よりも遅くなりましたが だからと言って アレックスの20代が 自己実現の努力をやめて良い時期になったわけではなく むしろ遅くなったことで 自己実現に格好の時期となったのに 私たちはその時期を 無為に浪費していたのです そのとき私が悟ったのは アレックスと彼女の恋愛に限らず 20代の若者全般が キャリアや家族 未来などについても こんな風に静観して過ごすのが 真の問題で 重大な影響を及ぼしているということです 現在 アメリカには 20代が5000万人います アメリカ人口の15%を対象とした 話をしているわけですが 20代を経験もせずに大人になる人など いないことを鑑みれば 100%の人が該当することになります 現在20代の方は手を挙げて? 何人かいると良いのですが あっいますね!素晴らしいです 20代の人と仕事で関わったり 20代の人と付き合っている方 20代の人を心配して夜も眠れない方は? どうぞ手を挙げて ありがとう 素晴らしいです 20代が本当に重要ということです そこで私は20代を専門としています 5000万人にも上る20代の皆に 心理学者 社会学者 神経学者 生殖受胎の専門家には 既に常識となっていることを 知ってもらいたいからです 既に常識となっていることを 知ってもらいたいからです 色々な方法がありますが 20代を有効に活かすのは 最も単純ながら 最も影響力を持っていることの1つです 仕事 恋愛 幸福に関して そして場合によっては 世界への貢献の可能性さえも 決めるのです これは私個人の意見ではなく 事実なのです 人生を決めてしまうような 出来事の80%が 35歳までに起こることが知られています つまり人生を決定付ける — 重要な決断 経験 アハ体験の 10個中8個は 30代半ばまでに起こるのです 40歳以上の方でも 取り乱さないで! 会場の皆さんは 大丈夫だと思います キャリアの最初の10年間が その後稼ぐであろう金額に 指数関数的に影響します アメリカ人の半数以上が 30歳までに結婚するか 将来のパートナーと付き合うか同棲しています 脳は 20代のうちに成人期に向けて 配線し直されると同時に 人生最後の二回目の成長をし ぐんと伸びて仕上がります つまり 自分を変えたいと思うなら 20代こそがその時なのです 性格についても 20代ほど 変化を見せる時期はありません 女性の妊娠しやすさも 28歳でピークを迎え 35歳以降は 色々と 難しいことが出てきます 体についても 人生の選択肢についても よく理解すべき時期は 20代なのです 子供の発達においては 言語能力や愛着や 脳が育つ為に 最初の5年間が臨界期だということは 広く知られています その期間は 何の変哲も無い日常生活が 人格形成にことのほか大きな影響を与える期間です しかし 成人期の発達なんて あまり話題となりません 20代は成人発達の重要な 期間であるにも関わらずです しかし20代の人は そんなこと耳にしないわけです ニュースになるのは 人生設計の時期が変化してきたとか 研究者でさえ 20代はまだモラトリアム期間だとか ジャーナリストも20代に 「パラサイトシングル(すねかじり)」や 「キダルト(子供大人)」といった ふざけたあだ名を付けています 本当です 文化として 私たちは成人期を形成する上で 最も重要な十年間を軽視してきました レオナルド・バーンスタインはこう言いました 偉業を成し遂げるには 計画と焦りが必要だと まさしく真実ではありませんか? 20代の頭をなでながら 「人生を始めるにはあと10年ある」 と言ったら 何が起こるでしょう? 全く何も起こりません その人から切迫感と大志を奪うだけで 絶対に何も起こりません そして毎日 皆さんのお子さんや 皆さん自身のような 賢く 興味深い20代の人たちが 私の診察室に来てこんなことを言うんです 「彼は私にはふさわしくないって 分かってるけど 真剣な交際までの 時間つぶしだからいいでしょ」 または「30歳になるまでに働き始めれば 大丈夫だよと 皆が言うんです」と しかし そのうち こんな風に言い始めます 「もう20代も終わりかけなのに 何も自慢できることがないんです 大学を卒業した直後の方が 履歴書の見栄えが良かった」 さらに進むと そのうち こんな風に言い始めます 「20代の私のデートは イス取りゲームの様でした 色々な人と楽しく 付き合っていたんですが 30歳頃になると まるで音楽が止まった時のように みんなイスに着席し始めたんです 私だけ座り損ねるなんてイヤでした だから時々こう思うんです 夫と結婚したのは 30歳のときに一番近くにあった イスが夫だったからだと」 さっきの20代の方は どこですか? そんな風には しちゃダメよ 少し軽々しい言い方ですが 間違ってはダメです 利害はとても大きいんですから 多くの物事を30代まで後回しにすると 30代でのプレッシャーは 巨大なものになります キャリア構築を始め 住む街を決め パートナーを探して 後回しにした分 さらに短い期間に 2〜3人の子供を出産することになります これらの多くは 同時にはできません ごく最近 研究で 明らかになってきたように 全てを30代の間にまとめて行うのは 単純に困難かつ多くのストレスが 伴うことなんです 2000年以降の中年に起こる危機は 真っ赤なスポーツカーを 買う形では現れず 望むキャリアを歩めないということや 子供が欲しくなったのに産めなかったり 子供に兄弟を作ってあげられないことに 気付くことで訪れます あまりに多くの 30代 40代の人たちが 診察室の反対側に座りながら 自分と 私を見比べて 自身の20代に関して 決まってこう言います 「私は今まで一体何をしてたの? 一体何を考えてたの?」と言います 私は 20代の人たちの 思考や行動を変えたいんです その変化を示すのに 打ってつけの話があります エマという女性の話です エマは25歳の時 診察室にやって来ました 彼女の言葉を借りれば 自己喪失に陥っていたからです 芸術・娯楽の分野で働くのが いいのかなと思いつつも まだ決心がつかず その代わり 数年間 ウェイトレスとして 働いて来たと語ってくれました 当時エマは 安く済むからという理由で 将来の夢があるわけでもない 気性の荒い彼氏と同棲していました 彼女の20代も困難なものでしたが それ以前の人生はもっと 困難に溢れていました 診察中 何度も涙を流しましたが 「家族は選べないけど 友達は選べる」 とそのたびに言って 気持ちを 落ち着かせていました ある日 エマがやって来て ひざを抱え うなだれて 診察時間の大半を むせび泣いていました 彼女はちょうど新しい連絡帳を買って その朝は 多数ある連絡先を 書き込みながら過ごしていましたが 「緊急の場合 こちらに連絡してください」 という言葉に続く空欄を じっとただ見続けるだけで 埋められなかったんです 彼女はヒステリー気味に 私を見て こう言いました 「ひどい自動車事故に遭ったら 誰が来てくれるの? ガンにかかったら誰が面倒を 見てくれるって言うの?」 その瞬間 「私がするわ」と言いたいのを 必死にこらえました エマが必要としていたのは 親身に面倒をみてくれる セラピストではありません 必要なのは素敵な人生で これが人生を考える転機になると思いました アレックスの初診以来 多くを学んでいたから エマが大切な十年間を ムダにするのを 何もせず眺めているわけには いきませんでした その後 数週間 数ヶ月にわたって 私はエマに 男女問わず 全ての20代が 知らされるべき 3つのことを伝えました まずはアイデンティティ・クライシスに 陥っていることを忘れて 何かアイデンティティ・キャピタルを築く よう伝えました 「アイデンティティ・キャピタルを築く」 とは 自身の価値を高めるようなことを するという意味です 自分の将来の― 理想像に近付くために 自分への投資になる何かをすることです エマの将来のキャリアは 私には分からなかったし 未来の仕事は誰にも分かりませんが これだけは確かです アイデンティティ・キャピタルは アイデンティティ・キャピタルをどんどん呼び込みます つまり 今こそが やってみたいと思っていた 国際的な仕事やインターンシップや 起業などをすべき時なのです 20代に色々と模索することを 軽視しているわけではありませんよ ただ 人生に意味をもたらさないような模索を 軽視しているんです ただそれだと模索とさえも 呼べないものです それは先送りしているだけに 過ぎません 私はエマに職を模索し また目的に合うものを選ぶようにと伝えました 2つ目として エマに伝えたのは 都会派仲間の生き方は過大評価されているということ 親友は親切にも空港まで 送ってくれたりしますが 20代の人が同じ考えの人だけと つるんでいると 友人が知っていることや 知っている人 友人の考え方や話し方や 友人が勤務する場所などが 限られた範囲だけになってしまいます 新しく自分の資本になるものや 新しい交際相手は 必ずと言っていい程 内輪のサークルの外にいます 新たな物事は 友人の友人の友人のような いわゆる ゆるい繋がりから やって来ます そう 20代の半数は 無職か不完全雇用の状態ですが 半数はそうではありません ゆるい繋がりこそが 後者の集団に入る方法です 仕事の半分は 公募されないため 近所の人の上司に 接触することが 公募されない職に就く 手段になります ズルではありません 情報はこのように広がるものだからです 最後に忘れてはならないのが エマが信じていた「家族は選べないが 友達は選べる」という事に関して エマが育った環境では その通りでしたが 20代なので もうじき エマは家族を選ぶでしょう パートナーと結婚し 自分自身の家族を築き上げるのです エマには 今こそが家族を 選び始めるときだと伝えました 30歳は結婚し身を固めるのに 20歳 ひょっとしたら25歳よりも ずっと良いと思われるかもしれません それには賛成します ただ Facebook上で 結婚報告がされ始める頃に 誰でもいいからと同棲相手や 寝た相手を捕まえようとするのは 自分を高めることにはなりません 結婚に備えるのに 最適なタイミングは 適した相手に会う前です つまり 仕事と同様に 恋愛に対しても 意識して行うべきなのです 家族を選ぶということは たまたま自分を選んだ というだけの人と 漠然と一緒に過ごしたり 時間を潰すということではなく 誰とどのようなものを望むか 意識して選ぶことなのです では エマは どうなったでしょうか? エマと連絡帳を 繰ってみると 別の州の美術館で働いている かつてのルームメイトの 従兄弟を見つけました ゆるい繋がりのお蔭で エマは美術館で仕事を見つけ その仕事の雇用契約をきっかけに 同棲していた彼氏の元を去りました 5年経った現在では エマは 美術館の特別イベント企画を担当しています 彼女は注意深く選んだ男性と結婚し 新たなキャリアを 心から気に入っていて 新たな家族を愛しています エマから届いた葉書には こう書かれています 「今では 緊急連絡先が空欄でも 狭すぎると思うようになりました」 エマとの体験談を聞くと 簡単なことに思えますが それこそが 私が20代に 向き合う中で好きなところで とても簡単に 救うことができます 20代の人たちはロサンゼルス国際空港から 西のどこかに向けて 今まさに飛び立とうとする 飛行機のようなものです 離陸直後にちょっと 経路を変更するだけで 着陸地点がアラスカになったり フィジーになったりします 同様に 21歳 25歳 もしくは29歳でも 1回の素晴らしい会話や 1度の転機や 1つの優れたTEDトークが 何年にも または何世代にも渡って 絶大な影響を与えることができるのです これは皆さんの周りにいる 20代全員に 広める価値のあるアイデアです アレックスを診た経験から 学んだ 単純なことですが 今となってはこれを エマのような20代に 毎日伝えられる立場なのは うれしいことです 今の30歳は昔の20歳に相当しません 大人として20代を有効に使い アイデンティティ・キャピタルを築き ゆるい繋がりを活かし 家族を選んで下さい 知らなかったことや しなかったことに 縛られてはいけません 皆さんは 今まさに人生を 決めているのです ありがとうございました (拍手)