ニコラス・スターン卿
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私達は驚くべき瞬間を迎えようとしています 次の20年で 2つの根本的な変化に直面するのです 次の100年が最高の世紀になるのか それとも最悪の世紀になるのかが決まる変化に

例をあげて説明してみましょう 今から25年前 私は北京を訪れました 中国人民大学で教鞭をとるためです 当時の中国は 市場経済と高等教育の発展に 取り組んでいました ですから 国外の専門家を招聘することにしたのです 北京では多くの人と同じように 自転車を使って移動をしました 時折通る自動車を除けば 自転車は安全で手軽な乗り物でした しかし 最近の北京では 状況が全く違っています 道路は自動車やトラックであふれて渋滞し 空気は石炭と排気ガスで 激しく汚染されています この前の春には 私ぐらいの高齢者に対して つまり65歳以上ですね 屋内に留まり出歩かないよう通達がありました

どうしてこんなことになってしまったのか 北京が都市として 成長してきた過程が原因です 25年間で人口は1000万人から 2000万人以上に倍増しました 公害をもたらす燃料やエネルギーに依存した とりわけ石炭を使用した 計画性のない都市部の広がりでした 中国は 毎年 世界の半分におよぶ石炭燃料を消費します それが 中国が世界最大の 温室ガス排出国となっている 最大の理由になっているのです 同時に その時期に 中国は 驚異的な成長を遂げたことも事実です そして 世界第2位の経済大国になりました 何億もの人々が 貧困から抜け出しました とても重要な事です しかし同時に 中国の人々は 自問し始めるようになりました 人が住めない環境になってしまったとしたら この成長に価値はあるのだろうかと 彼らは 分析し 結論づけました これは 成長や発展が 持続する道ではないと そして中国は 石炭の使用を控えるようになりました 都市の開発は 違う方法で進めようとしているようです

中国の成長は 世界経済の構造において 劇的かつ根本的な変化をもたらしました ほんの25年前は 開発途上国― 世界の中で貧しい国々は 人口では世界の大半を抱えているにも関わらず 生産においては世界全体の わずか3分の1ほどしかありませんでした 今では半分以上を占めています 今後の25年間で 今から25年前に開発途上国と みなされていた国々による生産が 3分の2を占めるようになるでしょう これは驚くべき変化です 注目してもらいたい点は 富める国 貧しい国を問わず 世界中のあらゆる国は 2つの根本的な変化に直面するということです

その変化の1番目には 経済と社会における 基本構造の変化があげられます すでに北京を例に 説明しましたが 今 都市部の割合は50%ですが 2050年には70%を占めるようになるでしょう 次の20年で エネルギーの需要は40%上昇し 経済および人口の増加は 土地や水資源 そして森林に 圧力をかけるようになるでしょう

これこそ深刻な構造の変化です もし私達がこうした変化に関心を持たず 目先のことだけを考えていると 廃棄物の増大 環境汚染 人口過密 大地や森林の破壊といった問題を引き起こすでしょう もし私が数字を用いて紹介した 都市 エネルギー 土地という3つの面で 私達が下手に対処してしまうと 世界中の人々の 命や生活の未来を 困窮に落とし入れ 破壊するかもしれません それ以上に 温室ガスの排出は増加し 気候にも大きな危険をもたらすでしょう 空気中の温室ガスの濃度は それまでの数百万年間の濃度よりも はるかに高くなっています もし私達がこのままガスを排出し続ければ 次の世紀にかけて温暖化のリスクを高めることになります 数千万年もの間 この星で見られなかったことです 私達はホモ・サピエンスとして 人類 と言うよりいい表現ですね 25万年もの間 地球上に生息してきました 私達は たった1世紀で温暖化のリスクを高めています 数千万年の間 見られなかったリスクです 人類と地球との 関係が変化するのです 砂漠化を進行させ 河川やハリケーンの進路を変え 海水面の上昇をもたらします 数億の人々が いや 数十億の人が移住を迫られます 私たちが歴史から何も学ばなければ 紛争は深刻になり 拡大し それを止めることはできないでしょう

地球とは平和協定は結べないのです 物理の法則は交渉して変えられないのです そこでただ立ちすつくすだけです

私達は生き延びていくために 2つ目の変化について決めなければなりません 気候の変化 低炭素社会への移行です 1つ目の構造変化は もはや避けがたいものです 経済や構造の変化に上手く対処するか それとも下手にするか 決断せねばなりません しかし2つ目の変化 気候の変化については 取り組まなければなりません 私達はこの先20年の間に これらの2つの変化に直面するのです 次の20年間は 私達が為すべきことを 決断する時です この2つの変化が同時にやってくると 考えれば考えるほど これはまたとない機会なのだと 確信するに至るのです 私達が未来を活用できる機会となるか それとも 失う機会となるかなのです これまでに紹介した 都市 エネルギー 土地という 3つの点からお話しましょう

まず都市から始めましょう 既に北京の問題には触れました 大気汚染 人口過密 廃棄物などです 世界中の多くの都市で 同様な問題が見られます

では とりわけ都市生活について 考えてみましょう 建設されていく都市 そして巨大化する都市 私達は どうやってコンパクトに設計するかを 考えなければなりません 移動の時間を短縮し エネルギーを節約できます 古来から存在している都市には 再生と復興の手立てが必要です そういった都市との関係性を強めるのです こうした都市の中に 人々が移り 都市の中心部で人々が近くで生活できるようにします 世界中に 私達が取り組めるような例を いくつも見ることができます コロンビア ボゴタのバス輸送システムは 汚染物質を出さない 安全かつ速やかな移動方法として重要な事例です 都市の中は頻繁にバスが行き来しています 専用の道路で ダイヤを守り まるで地下鉄システムと同じサービスです しかももっと低価格なのです これは 発展途上国の多くの都市で さらに良いアイディアを取り入れて 速やかに導入できるでしょう

都市に取り入れるには時間がかかるものもあります でも 速やかに実現できるものもあります 私の住むロンドンでは 1952年に スモッグで4000人が亡くなりました 多くの人々に深刻な被害をもたらし そしてずっと続きました ロンドンの外に住んでいる人々は ロンドンのことを「煙」と呼んだりもしました それがロンドンでした 数年のうちに石炭が規制されたことで スモッグ問題は一気に終息しました 私はスモッグのことをよく覚えています 数メートル先までしか 視界がきかないのです バスを止め 歩くしかありませんでした 1950年代のことでした 私は 学校から家まで3マイルを徒歩で通学しました 呼吸するのも危険な行為でした しかし 決断したことで変わりました よい決断はよい結果をもたらします 驚くべき効果がすぐに現れるのです

さらに ロンドンでは渋滞課税も導入されました これも速やかに効果が現れました バスシステムにも すばらしい改善が見られ 環境に優しくなりました

以上 2つの変化をご覧いただきました 構造の変化と気候の変化は 同時にもたらされるのです しかし 私達は都市に対して投資が必要です 賢く投資しなければなりません それができれば それらの都市を より清潔で 静かで 安全な より魅力的で 生産的な そして 強いコミュニティーのある都市にするのです 公共交通機関 リサイクル 再利用 すべてをコミュニティーにもたらすのです でもここで考えなければなりません 投資し 計画しなければなりません

エネルギーを見てみましょう 過去25年間に渡ってエネルギーは およそ50%増加しました その80%は化石燃料から生まれています 今後20年間に さらに40%程度の増加が見込まれています ですから エネルギーに大きく投資すべきです そして もっと効果的に利用し しかもクリーンな形で利用すべきです どうすればいいのでしょう カリフォルニアの例を見ましょう カリフォルニアがもし独立国ならば 世界第10位に入ります あまり気が進みませんが… (笑) カリフォルニアは広大ですね (笑) 今後5, 6年のうちに 20%程度の 風力 太陽光などの 再生可能エネルギーの割合を 33%まで引き上げるでしょう 2020年にはカリフォルニアは 1990年の頃の温室ガス排出量まで 削減するのです カリフォルニアの経済はその頃に比べれば 少なく見積もっても倍増しています 驚くべき達成です

何をなすべきか わかりますね カリフォルニアだけでなく インドの新政府は 太陽光技術の計画を推進しています まだ電気の通っていない 4億の人々が住む 家々に明かりを灯すために その目標を5年と定めています 私は実行するまたとない機会だと思いました しかし皆さんが今見ているのは 米国の人口よりさらに多い 4億もの人々が はるかに迅速に動いている姿です 野心の類です 人々は自身を急速な 変化の流れに身を置いているのです 繰り返します よい決断は すみやかに結果を生み出すのです 2つの変化 経済と仕組み 気候と低炭素は 緊密に絡み合っているのです

1つ目の仕組みと 2つ目の気候については 取り組みやすくなってきています

大地を見てみましょう 大地 とりわけ森林は 貴重な植物や動物を 住まわせています 土に水をたくわえ 大気中の二酸化炭素を吸収します 気候変化に対応する基本となります しかし森林は減少しています 最近の10年で ポルトガルほどの面積の 森林を失っています それ以上に傷んでもいます しかしこれまで見てきたように 私達にはできることがたくさんあります 問題を認識し 取り組み方法についても 理解することができます ブラジルでは 森林伐採が ここ10年で 70パーセントも 減りました どのようにして? 地域社会を巻き込み その地の農業や経済に投資して 注意深く観測し 法律を厳格に守るのです

それは森林伐採の抑制にとどまりません 最初にあげた重要な基本事項の他にも 土地が荒れていく問題もあります 荒れた土地をを再生 復活させるのです 初めてエチオピアに行ったのは1967年 絶望的なほど貧しく 数年間は 激しい食糧不足でした また深刻で破壊的な紛争下でした 最近の数年間 実はその前から エチオピアは急速に成長しました 15年前から 中流所得の国 カーボンニュートラルの国になる 野心がありました それは強烈なほどの野心ですが 好ましい野心です そこには責任感が感じられます 何が可能かもがわかります エチオピアはクリーンエネルギーに投資しています 大地の復活にも作用しています 南西にあるハンボでは 素晴らしいプロジェクトが進んでいます 荒れた土地に植物を植え 地域社会と協働し 持続的に森林を管理するのです 生活水準を大きく向上させました

このように 北京からロンドン カリフォルニアからインド ブラジルからエチオピアと見てきて 理解が進んだと思います 社会構造と気候という 2つの変化をどう管理するか これらにどうよく対処するか テクノロジーは急速に変化しています それらを ここにいるみなさんに 逐一あげるまでもありません 電気自動車や 新素材の電池がありますね スマホによる遠隔操作で 電化製品をコントロールもできます 高性能の断熱材もあります さらに多くが生み出されるでしょう

しかし世界を 巨大でひとつの塊と見れば 非常にゆっくりと進みます 私達の思うように排出削減はできません 構造の変化を私達の思うように 管理してはいないのです 気候変化の計り知れない危機に対する 深い理解はまだしていないのです 私達ができるかもしれないこと 可能性追求の魅力については まだ深くは理解されていないのです そのためには政治的圧力が必要です 次の段階へ進むリーダーが必要なのです よりよい成長 よりよい気候 よりよい世界を手にできるのです この2つの変化をうまく管理することで これからの100年を 最高の世紀にすることができるのです 手を付けないままにしておけば 私達全員が汚染を 放置すれば 2つの変化をうまく管理しなければ 次の100年は 最悪の世紀となるでしょう これがメキシコ元大統領の フェリペ・カルデロンが議長だった 経済と気候レポートからのまとめです 私は副議長でした 私達は昨日 そのレポートを渡しました ここニューヨークにある国連ビルで 国連事務総長である パン・ギムン事務総長にです 私達はできるとわかっています

私は2週間前に 4人目の孫のおじいちゃんになりました 私の娘がー (赤子の泣き声)(笑)(拍手) 娘はローザをここニューヨークで産みました ヘレン ローザこっちへ (拍手) 生後2週間の赤ちゃんです 私達の孫を見てください 課題はわかっているよと伝えてください その危機と回復するチャンスがあると これでも まだやらずじまいでしょうか? そうですよね さあこれからの100年を 一緒によい世紀にしていきましょう

(拍手)