Leslie T. Chang
1,599,656 views • 14:25

私たちが毎日使うものを 作っている人たちのことを お話します 私たちが毎日使うものを 作っている人たちのことを お話します 靴にハンドバックやコンピューター そして携帯電話など いろいろあります この話題は罪の意識を呼び起こします 農村出身の少女が 100円にも満たない時給で 私たちの履く ランニング シューズを 縫っている とか iPad 工場で長時間労働をしていた 若い中国人の男性が 屋根から飛び降りたとか 考えてみてください グローバリゼーションの恩恵を受けている 私たちにとって 何かを買うごとに これらの犠牲者を 食い物にしているようで 商品そのものに不公平さが 組み込まれているように感じるものです iPhone の生産ラインの作業員が 自分の作るものを 買うお金もないなんて なんという世界でしょう? 中国の工場の作業状況は過酷で 低価格を求める我々の欲望が その原因であるというのが 常識になっています

発展国の欲と 中国人の生活苦を 結びつけたくなるのはわかります 世界に与えた影響について 既に 罪悪感を持っている 現在の我々の状況を考えれば当然です でもこの考えはは間違えであり 失礼にもあたります 私たちに地球の反対側にいる何千万人の人々を 移住させ ひどい生活を強いる 力があると思うなんて うぬぼれもよいところです うぬぼれもよいところです 実は中国は世界中の市場で売られる 製品を作っているのです 自国の市場も含まれています 安いコストと 質の高いふんだんな労働力 市場の要求に素早く答える 柔軟な生産システムが これを可能にしています 自身の生活や新しいガジェットばかりを 気にしている我々は 製品の向こう側にいる人々を まるで携帯電話の部品のごとく 小さく取り替え可能な 目に見えないものとしか考えていません

中国の労働者は 我々の iPod への 執着心を満たすために むりやり工場で働かされているわけではありません お金を稼ぎ 新しい技術を学び 視野を広めるために 望んで故郷を離れるのです グローバリゼーションの是非を論じる上で 欠けているのは 現場で働く人の生の声です

いくつかお聞かせしましょう

包永新:「母が 家に帰って結婚しろというけれど まだ自分が未完成なうちに結婚したら 単なる労働者としか結婚できない まだ自分が未完成なうちに結婚したら 単なる労働者としか結婚できない だから急いで結婚はしないわ」

陳儀: 「新年に家に帰ったら 皆に変わったって言われました そんなに変わるなんて 何をしたのって訊かれたので 勉強して 一生懸命働いたって言っただけ それ以上説明したって わかる人はいないもの」

吳傳明:「沢山お金を稼いでも 満足しません お金を稼ぐだけが 人生ではありません」

邵新:「仕事の後に 英語の勉強をしています 将来のお客様は中国人だけとは 限りませんから もっといろいろな言葉を勉強しないと」

これらは皆 若い18か19歳の 女性の口から出た言葉です これらは皆 若い18か19歳の 女性の口から出た言葉です

2年間の取材を通じ 生産ラインで働く 彼女らと親しくなりました 中国の南部の東莞という 工業都市で働いています 話していると よく話題になるのが いくら稼いだか とか どんな男性と結婚したいか とか 他の工場に 鞍替えしようか とか それとも ここでずっと働こうかなどです 滅多に話題に上らないのが まるで牢獄かの様に思える生活環境です 一部屋を10から15人でシェアし トイレは50人で共同です 昼も夜も 工場の需要に支配されています ここではだれもが 同じような環境で生活しています そんな状況でも 田舎の寮や家での生活に比べたら ましなのです

どの製品を作っているか 話すことは滅多にありません 実際何をしているのか説明できる人も 滅多にいないのです 一番親しくなった陸清明という 若い女性に訊いたことがあります 一番親しくなった陸清明という 若い女性に訊いたことがあります 工場の作業場でどんな事をしているのか すると彼女は中国語で こんな風に答えました 「クイ・シー」 後になってよく考えると 彼女が言ったのは 「QC」つまり クオリティーコントロールだったのです 作業場での実際の役割を 説明することは出来ず 意味も解らない略語を オウムのように真似するだけでした

カール・マルクスはこれを 資本主義の悲劇として批判しました 労働者の自分の生産物からの疎外です 従来の 靴や家具を作る人たちと違って 生産工場で働く人たちは 自分の作るものに対して 主導権や喜びもなければ 本当の満足や理解もないのです 主導権や喜びもなければ 本当の満足や理解もないのです でも 大英博物館の読書室に通いつめて 執筆した マルクスの理論には 間違えが多いのですが この考えも間違っていると思います 人間は何かを作っているからといって その 作っているものに なるわけではありません その 作っているものに なるわけではありません 稼いだお金をどう使うか 新しい場所で何を学び どう人間として成長するか これが大切なのです 工場で何が作られているかなんて 関係ないのです 作った物をだれが買おうが 労働者の気にすることではありません

中国の工場に関する報道は この労働者と製品の関係を 誇張して取り上げます こういう記事には計算がよく使われます 労働者が作っているものを自分で買うには 何時間働かなければならないかというものです 例えば 中国の iPhone 工場のラインで働く 新人社員は iPhone を買うとしたら 2ヵ月半分の給料を 貯めなければなりません

こんな計算 なんの意味があるのでしょうか? 私は最近New Yorker 誌に記事を書きましたが 私は最近New Yorker 誌に記事を書きましたが あんな雑誌に広告を載せるお金なんて ありません でも別に広告なんか載せたくもないのです 同様に この労働者らも別に iPhone が欲しいわけでもないんです 計算するとしたら別のものです この工場にいつまで居ようか? いくら貯金できるか? アパートや車を買うのにいくらかかるか? 結婚や 子供の教育にいくらかかるか?

親しくなった労働者たちは 作っているものと 奇妙な関係を持っています 陸清明(明)に会ってから一年くらいたったある日 新年を祝うために彼女の実家に招かれました 新年を祝うために彼女の実家に招かれました 行きの電車の中でプレゼントをくれました 茶色の皮の縁のついた COACHのコインケースです 東莞で売っているものは大体 偽物なので これも偽物だろうと思いながらも感謝しました 東莞で売っているものは大体 偽物なので これも偽物だろうと思いながらも感謝しました 実家で明はお母さんにもプレゼントを渡しました ピンクのDooney&Bourke のバッグです 数日後には 妹がえび茶色の LeSportac のバッグを肩にかけて 見せびらかしていました 考えてみると これらのハンドバッグは あの工場で作られているもので 考えてみると これらのハンドバッグは あの工場で作られているもので つまり どれも本物だったわけです

明の妹 が両親に話しているのを聞きました 「アメリカではこのバッグ320ドルなんだって」 農家で働く両親は言う言葉もなく 黙って聞いていました 「それにね COACH は新しいデザインが出るの 2191 って言うんだけど このバッグは6千もするんだって」 ちょっと間をおいて続けました 「6千元だったかしら それとも 6千米ドルだったかしら ともかく6千なのよ」(笑)

新年を祝うために帰郷していた 明の妹の彼氏が 新年を祝うために帰郷していた 明の妹の彼氏が 「そんな価値あるなんて 見えないね」と言うと

明の妹は「わかるひとには わかるのよ あんたなんてダメ」と言い返していました 明の妹は「わかるひとには わかるのよ あんたなんてダメ」と言い返していました

(拍手)(笑)

明の住む世界では COACH のバッグは おもしろい価値があるのです 価値がないわけではありません でも実際の値段とはかけ離れています だれもお金を出してまで買わないし 値段も知らないのです でも 明のお姉さんの友達が結婚したとき ハンドバックを結婚のお祝いに贈りました また明が ハンドバッグ工場を辞めた後 妹が訪ねて来たときも COACH の有名なハンドバッグを二つ おみやげに持ってきました

ポケットのジッパーを開けてみると カードが入っていました カードには英語でこうありました 「アメリカン・クラシック 1941年に使い込まれた野球グローブに ヒントを得たCOACH の創設者が 1941年に使い込まれた野球グローブに ヒントを得たCOACH の創設者が しなやかな「グラブタンレザー」使って 新しいハンドバッグのコレクションを しなやかな「グラブタンレザー」使って 新しいハンドバッグのコレクションを デザインしました 6人の熟練した皮職人が仕上げた 12個のハンドバッグは 完璧なバランスで飽きることのない美しさです 新鮮で機能的なバッグは 世界中の女性に愛されました 新しいアメリカン・クラシックの誕生です」

カール・マルクスが生きていたら 明や明の姉妹をどう思ったことでしょう カール・マルクスが生きていたら 明や明の姉妹をどう思ったことでしょう 作っている製品と 労働の関係は マルクスが思うよりも ずっと複雑で 思いもよらない おかしいものです でも彼の理論は根強いもので 労働者を 個性のない集団だとか 彼らの心情は想像がつくと思いがちです

明に会ったのは 彼女が18歳 になったばかりで はじめての職場を辞めた直後でした 電子機器工場の生産ラインでの仕事でした その後2年の間に5回も転職を繰り返し 最終的にハードウェア工場の 購買部で良い職に落ち着きました 最終的にハードウェア工場の 購買部で良い職に落ち着きました 後に 仲間の出稼ぎ労働者と結婚し 彼の村に引っ越して 2人の女の子を産み 貯めたお金で中古のアメリカ車を買い 両親のためのアパートも購入しました 最近 単身で東莞に戻り 建設クレーン車を作る工場で 働いています 子供とご主人は 村に置いてです 子供とご主人は 村に置いてです

最近 受け取ったメールには 「若いうちは野望を持って生きるべきです 老いてから 目的もなく生きてしまった なんて思わないように」と書いてありました 老いてから 目的もなく生きてしまった なんて思わないように」と書いてありました

中国全体で彼女の様な労働者が 一億五千万人もいます その3分の1は女性で 村を離れ 都市の工場やホテル レストランや 工事現場などで働いています 合計すると 史上最大の人口の大移動です これはグローバリゼーションでもあります 連鎖の紐は中国の農村から始まり 私たちのポケット内のiPhoneや 足元のナイキに そして 腕に掛かるCOACH のバッグにと つながりながら 膨大な数の出稼ぎ労働者の 仕事や結婚 の実態 生活や思考のあり方を変えてきました 元の暮らしに戻りたい人など 殆どいません

東莞に着いた当初 長期間に渡って労働者の話を聞くと 気が滅入ってしまわないかと心配でした 彼女らの状況は変わらないかもしれないし 話すこともないだろうと思ったのです ところが この若い女性達は 賢く ユーモアのセンスがあって 勇敢で寛大でした 思ったことを話してくれ 工場の様子や 中国でや世界での生き方を教えてくれました

これが実家への電車の中で 明がくれたCOACH のバッグです これが実家への電車の中で 明がくれたCOACH のバッグです 私の取材した 若い女性達との つながりを忘れないように いつも身に着けています 経済的なつながりではなく 個人的なつながりです お金ではなく思い出で計るものです このバッグを見るたびに思うのは 書斎や図書館に座って想像する世界は 実際に外に出てみると違うものだという事です 実際に外に出てみると違うものだという事です

ありがとうございました(拍手) (拍手)

レスリー ありがとう こういう見方があると 思いもしなかった人が 結構居るんじゃないかな ちょと興味があるんですが もし 例えばApple の製造主任と 一分だけ話すチャンスがあったら どんな話をしますか? 一分だけ話すチャンスがあったら どんな話をしますか?

一分だけですか?

そう 一分で (笑)

そうですね 労働者に会って感心したのは 皆 とてもやる気があって 自分で何でもやろうとし 才覚もあります 驚いたのは そんな彼らが望んでいるのは 第一に教育 つまり学ぶことです 多くが大変貧しい環境の出身で 中学卒業するかしないかで 学校を辞めてしまっているんです 両親が読み書きできない人も多く 都市に来て 自分から 夜間や週末にある コンピューターや英語の教室に通って 本当に基本的なことを学習しているんです ワープロの使い方とか 英語で何か簡単なことが言えるように 勉強しているんです ですから この人たちを支援するなら こういう簡単な 目的のはっきりした 実際役立つクラスを 設立して そうすることによって 労働者がもと上に行ける様に 例えばApple社内で何か 良い仕事に就けるといいですね 社会的地位を向上したり 自己啓発を 手助けできたらいいと思います 社会的地位を向上したり 自己改善を 手助けできたらいいと思います 労働者はそういうものを望んでいます シャワーのお湯がきちんと出るといいとか いい部屋やテレビが欲しいとか 言わないんです そういうものは もちろんいいけれど 都市に越してきたのはそのためではなく そんなことは どうでもいいんです

生活が苦だとか大変だとか感じましたか それとも どちらかというと 生活の レベルの向上や暮らしがだんだんに 良くなっていると感じましたか?

確かに後者です 私は2年間 東莞で暮らし 人々の生活を眺めたのですが 時間がたつにつれ 人々の生活の変化に 気が付きます 上向きや 下向き 中には全く 変わらないこともありますが 通常 上向きです 長くいれば たいてい上向きです 10年前に都市に来て 現在は都会の 中流クラスだという人たちも知っています トレンドは確かに上向きなわけです 突然この街に来て 街の状況を見て 皆が貧しく 苦しんでいるように感じても 実際そうでもないのです もちろん 工場の環境は大変で 皆さんや私が好んで働く所ではありません でも彼らにしてみれば 元の環境の方が もっとひどいし より素晴らしい未来に 期待しているわけです 今日は彼らの感じる世界と 私達の想像とは違うかもしれないことを お話し したかったわけです

素晴らしいトークをありがとう どうもありがとうございました(拍手)