ポール・ケンプ=ロバートソン
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洗剤の『タイド』と汗とには どんな関係があるのか? もし こんな質問をしたら 今週のエジンバラで問われる― 質問の中で 最も簡単な問いだと思うでしょう でも どちらも 複雑に絡み合いデジタル化された グローバル経済における 新しい貨幣の形式の実例なのだと言うと おそらく 何を言っているんだと思うでしょう ちなみに 私の専門は広告です

(笑)

どういうことか 後で説明します しかしまず別の話から始めましょう

もっと難しい質問もあります 数週間前に同僚のライターに 聞かれて 答えに窮しました 世界で最強の通貨は何でしょう? 実は ビットコインです なじみない方も多いでしょうが ビットコインは暗号通貨であり 仮想通貨であり 合成通貨なのです 2008年に 匿名のプログラマーが開発しました サトシ・ナカモトというハンドルネームですが 彼が何者か 誰も知りません インターネットの― バンクシー(覆面アーティスト)です 適任ではないかもしれませんが ともかく その仕組みについて 私の理解を説明します ビットコインは マイニングという過程を経て取り出されます 非常に複雑な数学の問題があって コンピューターネットワークを使って それを最初に解いた人が ビットコインを獲得します 取り出したコインは ブロックチェインという帳簿に記録され 流通を始めます 貨幣となるわけです こわいほどに完全な 分散システムであり そのことが普及した理由になっています 権威や国の後ろ盾はなく 実際は ネットワークが 管理をしています 大成功を 収められた理由は 私的で 匿名で 高速で 安価だからです

ビットコインは乱高下するという 指摘があります こんな幅での話です 13ドルから266ドルまで 4ヶ月間で値を上げると そのあと暴落して6時間で 価値の半分を失いました そして 今の時点では 110ドル当たりにつけています ともかく ある種の地位とステータスを 確立したようです Reddit や WordPress のように ビットコインで支払できる ウェブサービスもあります このテクノロジーが 信頼されていることがわかりますね 伝統的な制度や通貨・お金の考え方は 打ち負かされたり 混乱が始まっており 徹底的な見直しが求められています

EUの経済的な危機の状況を 考えれば驚くことでもありません 最近の ギャラップによる調査では アメリカにおける銀行の信頼度は 21%と 史上最低レベルです このロンドンの写真に 写っているのは 自転車システムで 英銀バークレイズの広告が 活動家のゲリラ活動で スローガンをこんなふうに 書き換えられています 「サブプライムまでつき進め」 「バークレイズ・ジェットコースター」 この辺が今日お見せできる いちばん上品な写真ですが 要点はお分かりでしょう 制度への信頼が 失われ始めているのです エデルマンというPR会社が まさに「信頼」がどう考えられているか 興味深い調査を毎年行っています 国際的な調査をしているので世界中の結果です 面白いことは 階層構造は危うくなっており 非階層の構造が 台頭してきています 人々は 企業や政府よりも 自分自信に似た人を信頼するのです 信頼の数値がイギリスやドイツなどの 先進国でずっと低いというのは 怖いことだと思います 人々は基本的に 政府や指導者よりも ビジネスマンを信頼します 何が起きようとしているのか お金について考え お金の本質を突き詰めると お金が表現しているのは文字通り価値です 同意の得られた価値です このデジタル時代に 何が変わったか さまざまな方法で簡単に価値を 決められるようになりました ときには こういう価値を定量化する方法で ずっと簡単に 新しく有効な形態の 貨幣を作ることができます そう捉えると ビットコインのようなネットワークが 理解できるようになってきます

さて お金の意味や私達との関係や 何がお金を定義するかということが 改めて問われ 混乱し 見直されるときに そういう考えを究極的に突き詰めれば こういう問いが現れます 政府がお金をコントロールする 理由はまだあるのでしょうか

マーケティングというメガネを通して ブランドの観点から見れば ブランドはその評判によって 繁栄したり没落したりします 考えてみれば 評判も通貨の一種なのです 評判は 信頼と 一貫性と透明性に 基づいています あるブランドを信頼すると決めたら ブランドと良い関係を持って 関わっていきたいと考えることで すでに新しい形態の通貨を 使い始めているのです

ブランドへの忠誠を考えれば それは要するに ミクロ経済です 利用者ポイントやマイレージがありますね エコノミスト誌の数年前の記事によれば 未払いのマイレージの方が 流通するドル紙幣の合計よりも多いのです スターバックスで 並んでいると気づくことですが スターバックスでの支払いの30%は 実際はスター・ポイントが使われています つまりスターバックス通貨が そのエコシステム内で循環しています 最近アマゾンが立ち上げた アマゾン・コインは興味深いものです 目下は純粋に キンドル専用の通貨です アプリを買ったり アプリ内での支払いができます アマゾンを念頭に 先ほどお見せした 信頼度の数値で 企業の方を信頼し始めていること 政府よりも 企業が信じられ信頼されてー いることに注目してください するとアマゾンはこれを もっと突き詰められると気づきます 自然に発展させれば キンドルに限らず 本や音楽 生活用品や家庭用品などを 購入することだってできます 気がつくと アマゾンが連邦準備銀行に 匹敵する ブランドとなっています お金をどう使いたいかとか お金とは何か そもそも何がお金の要素かという話です

さて お約束どおり 洗剤の『タイド』に 戻りましょう 『 ニューヨーク・マガジン 』 に 面白い記事がありました アメリカでは麻薬常習者が 支払いに洗剤の『タイド』の ボトルを使っているというのです コンビニエンス・ストアで 『タイド』を盗むのです 20ドルの『タイド』のボトルは クラックやコカインなどヤクの10ドルと 同等なのです このことを犯罪学者が調査して こうコメントしています 『タイド』はプレミアム商品で 競合品の平均値より50%高く売れる 非常に複雑な化学薬品を混ぜて ゴージャスで独特な香りがするし P&Gブランドで 大量の宣伝も行われている 薬物常用者もまた消費者なので 『タイド』を目にすると 神経の特別な短絡回路が 刺激されるのだろう これが信頼だというのです そうでしょう これが品質です こうして通貨の一単位となった『タイド』は 『 ニューヨーク・マガジン 』 によれば 奇妙なブランド重視の犯罪が急増し さらに犯罪者たちは 『タイド』を「金のリキッド」と呼ぶのです

P&Gの広報担当者の反応が 面白いと思いました ドラッグとは距離を置こうとしながらも こう言ったのです 「ひとつ気づいたことがある ブランドの価値は一貫したままだ」 (笑) 私の論点をサポートする話で 彼は汗もにじませず 言ってのけました

汗と言えば まだその話をしていませんでした ナイキはメキシコで 『汗をかこう』という キャンペーンをしています どういうことでしょう センサー付きのナイキの靴や 『フュエル・バンド』は 要するに 動きや活動量や カロリー消費を追跡します どういうことかというと ナイキを― 受け入れて コミュニティーへの参加を選んでいるのです 声高なキャンペーンではありません 広告は今 サービスやツールや アプリケーションへと 変わり始めています ナイキは 幸せや健康やフィットネスのパートナーとして サービス・プロバイダーとして 活動しています するとこういう話になります 「データパネルで 走った距離 どこまで行ったか カロリー摂取量など いろいろ集計できます たくさん走れば ポイントをたくさん獲得し それでナイキ製品の利用者に限定の オークションに参加できます」 他の方法では参加できません ナイキ製品を使って汗をかいた人の コミュニティーで ペソは使えません まさに限られたメンバーの環境で 行われるオークションです

知っての通りアフリカでは 通話時間が 独自の通貨となっています 携帯は敵なしで 誰もが まったくまったく普通に 携帯で送金や支払をします ブランドの観点から見れば エジプトでのボーダフォンが良い例です 多くの人はマーケットや個人商店で 買い物をします 少額の小銭が やっかいな問題です いろいろと買い物したときに 例えば 10セント 20セントのお釣りが生じると お店は 玉ねぎやアスピリンや ガムをよこすことが多いのです 小銭が無いのです ボーダフォンはその問題に気づくと ― 消費者の困りごとに気づくと 『Fakka』 という少額商品を作りました こうしてお店からお客に 渡すものなのです そのクレジットを 携帯電話に加算できるものです この通貨が 信用を得ているのは とても興味深いことです

我々の調査によれば 米国では45パーセントという 実に大きな割合で 独自のブランドによる通貨でも 気にせず使うと答えます 面白いでしょう ダイナミックで面白いことが起きているのです 新しい貨幣において 資産の活用が始まり 見方が改まり 取引が盛んになります さてこれは大きな変化でしょうか 持って回った話に見えるかもしれませんが 1860年のアメリカでは 1600の企業が 銀行券を発行していました アメリカ国内に 8000種の紙幣がありました それがなくなるまで― ―政府が支配していた供給量は わずか4%で それが終わった理由は 南北戦争の勃発です 政府は突然 お金をコントロールしたいと考えたのです 政府 お金 戦争 登場人物は変わりません

であれば こう質問しましょう 「歴史は繰り返されるでしょうか? テクノロジーは 紙幣を時代遅れにするでしょうか? 政府とお金とを分離しますか?」 ブランドがこのギャップを 埋めようとしています 企業なら政府と違って ギャップを埋められます 来年もこのステージを 訪れることがあったら オーガニックな フェアトレードのコーヒーを買う時は TED銀貨 ―フロリンだかシリングだかを使ってください

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