マーク・プロトキン
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私は民族植物学者です 熱帯雨林の住人が 植物をどう使っているか 調査する科学者です 私はずいぶん長く これをやってきましたが はっきり言って — 彼らは森や森にある 貴重な薬について 我々が到底及び得ないくらいに よく知っています 同時に 彼ら原住民の固有文化が 森自体よりも急速に 失われようとしています アマゾンの熱帯雨林で 最も絶滅の危機に 瀕しているのは ジャガーでもなければ オウギワシでもなく 孤立した未接触部族なのです 4年前 私は山登りの事故で 足を怪我して 医者に行きました 医者は温めたり 冷やしたり アスピリンや 麻薬性鎮痛薬や 抗炎症薬を投与したり コルチゾン注射したり しましたが 効き目がありませんでした 何ヶ月か後に アマゾンの北東部の ある村に 足を踏み入れた時 シャーマンが言いました 「びっこを引いてるな」 この時のことは 生涯忘れることはないでしょう 彼は私の顔をのぞき込んで 言いました 「靴を脱いで その山刀を寄越しなさい」 (笑) 彼はヤシの木の元へ 歩いて行って シダを切ると 火にくべて それを私の足に当て ポットに入れて そのお茶を 私に飲ませました その後7ヶ月 痛みが消えました 再び痛み出したので また彼の所に行き 彼は同じ処置を してくれました それ以来3年間 痛みは出ていません 皆さんなら誰に 治療してもらいたいですか? (拍手) 誤解しないで もらいたいんですが 西洋医学は最も成功している 病気治療術です しかし穴もたくさんあります 乳がんはどうですか? 統合失調症は? 胃酸の逆流は? 不眠症は? 我々に治せないものを アマゾンの人々が治せる場合が 少なからずあるのです アマゾン北東部の呪医が リーシュマニア症を 治療しているところです やっかいな原虫性の病気で 世界で1千2百万の人々が 苦しんでいます 西洋医学では アンチモンを注射しますが 痛みがあり 高価で 重金属なので 心臓にも良くないでしょう この男はアマゾンの熱帯雨林にある 植物3種で治療してしまいます これは魔法のカエルです 私の同僚である 故ローレン・マッキンタイヤは ペルー・アンデスにある アマゾン源流の湖 マッキンタイア湖の 発見者ですが 30年前 ペルーとブラジルの国境付近で 道を見失いました 彼はマツェと呼ばれる 孤立したインディオ部族に助けられました 彼らは森の中を付いてくるように招き 彼はその通りにしました 彼らはヤシの葉の カゴを持ってきて 中からジャイアントネコメガエルを 取り出しました こんな大きなカエルです そして それを舐め始めました 強い幻覚誘発性があるんです その時のことを書いた彼の文章が 大麻の雑誌ハイタイムズの編集者の目に留まりました 民族植物学者の周りには色々と 変わった系統の人がいるんです その編集者はアマゾンに行くことにしました そいつを一発 — あるいは一舐め試しに — その体験を彼はこう記しています 「血圧は天井を突き破り 体のコントロールをすっかり失った バッタリ倒れて 6時間後に ハンモックの中で目を覚ました その後2日間 神になったように感じた」 (笑) イタリアの化学者が これを読んで思いました 「ジャイアントネコメガエルの 神学的側面に興味はないが この血圧の変化は いったいどういうことだろう?」 その化学者は ジャイアントネコメガエルの 皮膚のペプチドから 高血圧の新しい治療薬を作る 研究をしており 別の科学者はそこから 薬物耐性黄色ブドウ球菌への 対処法を見つけようとしています この孤立したインディオの部族と 魔法のカエルが 治療への答えだと分かったら 皮肉なものです これはアマゾンの北西部にいる アヤワスカ族のシャーマンが ヤへの儀式をしているところです 彼らの文化を守るための 資金援助が得られるよう ある基金の責任者に会わせるため 彼をロサンゼルスに連れて行きました シャーマンを見た男が 言いました 「医大には行っていないんですよね?」 「行っていない」とシャーマン 「だったら治療について 何が分かるんです?」 シャーマンは彼を見て 言いました 「伝染病にかかったなら 医者に行けばいい しかし人間の苦悩の多くは 心や魂の病だ その面で西洋医学は役に立たない それを癒すのが私だ」 (拍手) 自然から新しい医療を学ぶことが あらゆる面でバラ色というわけではありません これはブラジルにいる毒蛇で その毒は ここブラジルの サンパウロ大学で研究され 後にその毒から ACE阻害薬が開発されました 高血圧に対する 第一線の治療薬です 高血圧は死因の10%以上を 占めています この40億ドルの産業を ブラジルのヘビ毒が 支えているわけですが ブラジルの人々には 一銭も入っていません これは商売のあり方として 許容できるものではありません 熱帯雨林は地上における 生命の最高の表現であると言われています 私が好きなスリナムの言葉があります 「熱帯雨林は まだ聞いていない質問への 答えを持っている」 しかしご存じのように 熱帯雨林は急速に消失しています ここブラジルでも アマゾンでも 世界でも これは私が小型機から撮した写真で ここからは北西にあたる マットグロッソ州にある シングー族保護区の 東の境界線です 上半分が インディオの住んでいる場所で 真ん中の線が 保護区の東の境界線です 上半分がインディオ 下半分が白人です 上半分は驚異の薬をもたらし 下半分は痩せた牛がいるばかり 上半分では炭素が 森を作り出し 下半分では炭素が 大気に放出されて 地球温暖化を もたらしています 事実 炭素が大気に放出される 2番目に大きな原因が 森林破壊なのです 環境破壊について話す時 他では見られない アマゾンの壮観さも 忘れてはいけません アマゾンは美と驚異の地です 世界最大のアリクイが この熱帯雨林に住んでおり その体重は40キロにもなります ルブロンオオツチグモは 世界最大のクモですが これもアマゾンに生息しています オウギワシは翼開長が 2メートルを超えます そしてクロカイマン この怪物は体重が 500キロにもなり 人食いワニとして 知られています アナコンダ 世界最大のヘビです カピバラ 世界最大の齧歯類です ここブラジルには 重さが91キロもある カピバラの標本があります これらの生き物が住む アマゾン北東部 アクリオ族が住む地に 目を向けてみましょう 未接触部族は 我々の想像力の中で 神秘的で象徴的な役割を 担っています 自然のことを 誰よりもよく知っています 自然と完全に調和して 生きています 我々の基準に照らして 彼らを原始的と言う人もいます 「彼らは火の起こし方を知らない」 「現代文明と接触するまで知らなかった」 しかし彼らは森のことを 我々より遙かに良く知っています アクリオ族には「蜂蜜」を指す言葉が 35もあります 他のインディオ達から このジャングルの地の 真の主と目されています これは私の友達のポネイです 私がニューオーリンズの ローリングストーンズに夢中な 十代だった頃 ポネイは森の放浪者で アマゾン北東部のジャングルを 少人数のグループで彷徨い 獲物を追い 薬草を探し 他の放浪集団から 妻を見つけようとしていました 我々の知らないことを 知っていて 多くの教訓を もたらしてくれるのが このような人々なんです しかしアマゾンの 森林の多くには このような先住民はいません あるのは こういうものだけです 未接触の先住民が 石斧を研ぐのに使った 削られた岩の跡です かつて踊り 愛し 神を歌い 森を崇めた そのような文化は去ってしまい 残っているのは岩に刻まれた痕跡だけです アマゾン西部に 目を向けてみましょう 孤立部族のいる中心地です これらの点のそれぞれが 小さな未接触部族を表し コロンビア・アマゾンだけでも 14ないしは15の 孤立したグループがあると 見られています なぜ彼らは 孤立しているのでしょう? 彼らは我々の存在も 外の世界があることも知っています これは彼らなりの抵抗なのです 彼らは孤立することを選んだのです 人間としてそうあり続ける権利が 彼らにはあると思います なぜ彼らは他の人類から 姿を隠しているのか? 理由はこれです ある部分1492年に 始まったことですが 20世紀の変わり目の ゴム貿易が 大きな要因になっています アマゾンで取れる 天然ゴムへの需要が 植物版のゴールドラッシュを もたらしました 自転車のタイヤのためのゴム 自動車のタイやのためのゴム ツェッペリン型飛行船のためのゴム ゴムを手に入れようとする 狂ったような競争がありました この左側に出ている フリオ・アラナは その中でもことさら残虐な悪漢です この男の会社や 他の会社の連中が インディオを殺害し 虐殺し 拷問し 殺戮しました 右側のウイトト族の男のように 今日においてさえ 森から出て来た人々は めったにハッピーエンドを迎えません これはヌカック族です 彼らは80年代に現代文明に接触し 1年以内に40歳以上の者が みんな死にました 彼らが文字を持たないことを 思い出してください 年長者は彼らの図書館なのです シャーマンが1人死ぬのは 図書館が1つ焼失する ようなものなのです 彼らは土地を追われました 麻薬密売人に土地を奪われ ヌカック族の人々は 東コロンビアの公園で 乞食として生きています ヌカックの地の 南西にある 世界で最も壮観な地に 目を移しましょう チリビケテ国立公園です 3つの孤立部族に 囲まれた地でしたが コロンビア政府や コロンビアにいる同僚達のお陰で 拡張され メリーランド州より 広くなっています 植物多様性の宝庫です この地の植物を1943年に 最初に調査したのは 私の師である リチャード・シュルテスです この写真は彼が カリホナ族の聖なる山 ベルマウンテンの 頂上にいるところです この場所の今日の様子を ご覧に入れましょう チリビケテの上を飛ぶと この失われた世界の山々が 未だ失われたままなのが分かります 科学者は誰も これらの山に登っていません 1943年にシュルテスが 登って以来 ベルマウンテンに 登った者はいません ベルマウンテンに たどり着きました 映像の右手に見えています 今日の様子です ここは植物多様性の宝庫 であるだけでなく 3つの孤立部族の 棲み家であるだけでもなく コロンブス以前の絵画の 世界最大の宝庫でもあるんです ここには20万点以上の 絵画があります オランダの科学者 トーマス・ファン・デア・ハーメンは 「アマゾン熱帯雨林のシスティーナ礼拝堂」 と形容しました チリビケテの南東に 目を向けましょう ここもまたコロンビア・アマゾンです コロンビア・アマゾンは ニューイングランドよりも広いんです アマゾンは大きな森で ブラジルはその大きな部分を 占めていますが すべてではありません カウイナリとプレの 2つの国立公園があります コロンビア・アマゾン内で 右にブラジルとの国境があります ここにもいくつか 孤立した未接触部族がいます よく見ると これらモロカと呼ばれる 住居の屋根の形には 文化的な多様性が 見て取れます こちらは別の部族になります 孤立した地域ですが 外の世界からいろんな人々が 入り込んでいます プトゥマヨでは 貿易や輸送が増加しています コロンビア内戦の収束とともに 外から人が 入ってくるようになりました 違法な金鉱採掘者が北から あるいは 東のブラジル側から 入ってきます 商業的な狩猟や漁業が 増加しています 南から違法な森林伐採業者が来ます 麻薬密売人が公園を通り抜けて ブラジルへ行きます かつて人々が孤立したインディオに 関わらなかったのは このためです この写真がピンぼけなのは 急いで撮る必要があったためです (笑) これはまるで — (拍手) ブラジル・アマゾンの 格納庫の写真みたいですが 実はキューバのハバナで開かれた 展覧会での写真です 未接触インディオに 干渉すべきでない理由を表現した ロス・カルピンテロスというグループの作品です しかし世界は変化しています これはブラジルとペルーの国境辺りにいる マシコ・ピロ族で 麻薬密売人や木材伐採業者に 追い立てられて ジャングルから さまよい出て来ました ペルーでは「人間サファリ」と呼ばれる 嫌らしいビジネスが 行われています 観光客を孤立部族の元に連れて行って 一緒に写真を撮るんです 彼らに服や道具を与えると同時に 病気ももたらすことになります 私は「非人道的サファリ」と呼んでいます これもペルー国境付近の インディオの写真で 宣教師の飛行機が 撮ったものです 彼らをキリスト教徒に 変えようと言うのです それがどんな結果になるかは 知っての通りです 我々は何を為べきでしょうか? 未接触部族への干渉を避け 現代文明と接触のある部族に 文化に配慮しつつ テクノロジーを渡すことです これは太古のシャーマンの知恵と 21世紀テクノロジーの 理想的な結婚です 私たちをこれを 30以上の部族に対して行い 先祖伝来の30万平方キロに及ぶ 熱帯雨林の地を 地図にし 管理し 保護しています (拍手) こうすることで インディオが自分達の — 環境と文化の運命を 自分で決めることができます 部外者が入り込まないよう 監視所も建てています 公園保護官として訓練された インディオ達が 境界をパトロールして 外の世界を閉め出しています これは実際の接触の場面です ブラジルとペルーの国境地帯にいる チトナワ族です 助けを求めて ジャングルから出てきました 彼らは銃で襲撃され 家を焼かれ 虐殺された者もいます 機関銃を使って 未接触部族の人々を虐殺するというのは 今日地上で行われている 最も忌むべき非人道的行為であり 何としても やめさせなければなりません (拍手) この仕事は精神的に 報われるものですが 困難で危険でもあります 2人の同僚が 小型機の墜落のため 最近亡くなりました 彼らは未接触部族を守るため 森で働いていました 疑問は いったいどんな未来が 待っているのかということです これはブラジルにいる ヨラ族です 彼らを待っている未来は 我々を待っている未来は 何でしょう? 違った考え方をしてみましょう より良い世界を作りましょう 気候が変わるのなら 悪い方ではなく 良い方に変えましよう 植物が生い茂る星に 暮らしましょう 彼らがそう望むなら 孤立した人々が 孤立したままで居て その神秘と知識を 保てるようにしましょう 森に住むシャーマンが 不思議な草と 聖なるカエルで みんなを癒してくれる世界で 生きることにしましょう ありがとうございました (拍手)