Mark Pagel
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皆さんには自然淘汰が 生み出した破壊的で危険な力強い 特徴が備わっています 聴覚神経系技術で他人の脳を いくらか操作できます もちろん 自然言語の話をしています 言語を使用することで皆さんは 外科手術もなしに移植ができるのです 移植するのは考えですけどね 皆さんだってその対象になりえます その代わり テレビに対して リモコンを使うのと似ていますが 皆さんが話す時にはある種の 遠隔測定法が使われています こんな感じで リモコンは 赤外線を利用していますが 自然言語には断続的な パルス波が利用されます

気分に合わせて リモコンで テレビの設定を変えるように 言語を通じて 自分の利害に合わせて 他人の脳のセッティングを 変えることができます 言語とは遺伝子の会話であり 何かを取得するためのものです ただ声を出すだけで 赤ん坊が 魔法のように物を動かせたり 食べ物を口に運べたときの 驚きの具合を 想像してみて下さい

言語の持つ強大な力は 昔から認知されており 検閲で出版を禁じられたり 使用禁止表現や語句があるのは このためです 実際 聖書の中の『バベルの塔』は 言語の力に警鐘を 鳴らしている寓話です 自惚れた古代人が言語使用を通じて 協力すれば天国へ続く 塔の建設が可能と考えた というお話です 権力を奪おうとする人類に怒り 神は塔を破壊して 二度と建てられないように 策を講じました 人々を混乱させるために 異なる言語を与えたのです 皮肉にも言語の多様性は 意思疎通の妨げとなっています 今日でも 使用が禁止されている 単語や言い回しが存在します これらを口にすれば 補導や投獄 更には 殺される可能性もあります これらは全て口の中で 調音された気息なのです

言語使用におけるこのトラブルから 我々は何かを学べるようです つまり言語獲得の 背景と原因 そして 人類にとっての言語の 特有性を物語っています 妙な話ですが これらの答えを得るには チンパンジーの道具使用に 目を向ける必要があります 彼らは道具を使っていて これは賢さの証と解釈されています しかし 本当に賢ければ シロアリ捕獲の際 スコップではなく 木の棒を使うでしょうか? 本当に賢いならば 木の実を割る際 石なんて使うでしょうか? どうして お店に行って 殻なしのものを買わないのでしょう 理由は チンパンジーだからです

心理学・人類学で言う 社会的学習が人類ほどは 徹底されていないのです どうやらチンパンジーは 観察学習や 模倣学習が 得意でないようです 結果として 仲間のアイデアを発展させたり 仲間の過ちから学んだりできず 学び合いがないのです つまり彼らは同じことを 何回も繰り返すだけです 実際 100万年後の未来でも チンパンジーは同じことをしているだけでしょう 同じように木の棒でシロアリを捕り 同じように石で木の実を割っているでしょう

ただの思い上がりだと思われているでしょう なぜこんな事がわかるのか? それは我々の先祖が当にそうだったからです このホモエレクトスは アフリカのサバンナで 約200万年前に進化しました 彼らは手にぴったりと合う 素晴らしい手斧を作りました しかし化石記録を見てみると 同じ手斧を何度も何度も 100万年もの間 作り続けていたのです 化石記録を見れば分かりますよ 生息時期予測では ホモエレクロスは 約4万世代続きましたが その間にも手斧は変化しませんでした 遺伝子的に現代人に近い ネアンデルタール人でさえ 社会的学習能力を 備えていたかどうか不明です 当然彼らの道具はホモエレクトスのものより 発達を遂げていますが ユーラシア大陸で30万年以上も 暮らしてきたネアンデルタール人の 道具にもほとんど 変化は見られません

このことは古い格言 「猿のものまね」とは対照的に 人類以外の動物は猿まねが出来ない もしくは上手ではない という驚愕の事実を 示唆しているのです 写真のこの猿でさえも 人為的な操作の臭いがしますね まるでサーカスのようです

それと比べると 人には 学習能力が備わっています 他人に出来ることは 観察・模倣を通じて 学習することができます 数ある選択肢から最良を抽出する 選択能力もあります 他人の知恵にあやかったり それを改良することもできます 結果的にアイデアが蓄積されて 技術が発展していくのです この度重なる文化的適応を 人類学者は アイデアの蓄積と呼んでいます このおかげで 我々は賑やかな 集団生活ができるのです 1000 - 2000年前と比較しても 世界は劇的に変化してきたと 言うことができます 全て文化的適応の蓄積のおかげなのです お座りの椅子や会場の照明 このマイク そしてiPadやiPodなど これらは全て文化的適応の 産物なのです

多くの評論家にとって 文化的適応や社会的学習は 完結したストーリーのようです 人間はモノを作れるがために 他の種とは異なる方法で繁栄してきました 実際に我々は「生きもの」すら作れます そう 何もかも しかし20万年前に 現代人が登場して社会的学習を 身につけたことは 物語の終わりではなく 実は物語の 始まりだったのです なぜなら社会的学習能力の獲得は 後に社会的・進化論的ジレンマを生み出し 人類だけでなく世界の 未来にすら人類の決定権が 及ぶことになりました 言語獲得の理由を知る これこそが最も重要です

社会的学習とは視覚的な 窃盗であり ジレンマを生みました もし私が皆さんを観察すれば みなさんのように時間や 努力をかけることなく 最良のアイディアを盗んで 利用することもできます 釣りをする際 どのルアーを使うのか 手斧を改良するために どのように研磨するのか もしくはキノコの栽培方法を盗み見れば 情報・知識・技術の利が得られますし 先に魚を釣ることも できるかもしれません 社会的学習は当に視覚的窃盗なのです この能力をもつ種族間では 知恵を盗まれないように これを隠すよう努めるのは 当然のことです

ですから20万年ほど前に この視覚的窃盗問題に直面した際に 人類がいざこざを解決するために 取りえた選択肢は 2つしかありませんでした 1つ目の選択肢は 小さい身内のグループで 引きこもることでした アイデアの利用範囲を親族だけに 制限することができます 20万年前 この選択を していたら 2万年前にヨーロッパ進出を 果たしたネアンデルタール人と現代人の 生活様式は同じものとなっていたでしょう この原因は小さい集団の中では アイデアや革新が少ないことにあります 小さい集団は事故や不幸に遭いやすいようです つまり その道を選んでいたら 人類は森の中に塞ぎ込み 進化は 些細なものだったでしょう

もう一方の選択肢は コミュニケーション手段を発達させて 他人と協力したり アイデアを共有することでした こちらを選択すると 身内ないや個人のみで思いつく量より はるかに多い蓄積された知識や知恵が どの個々人にとっても 利用可能なものとなります まあ我々はこちらを選択したのですが その結果 言語が生まれました

進化を遂げた言語は 視覚的窃盗問題を解決しました 言語というのは 合意を得たり 契約や団体行動をまとめたりと 協力という利を拡大するための 社会技術の一種なのです 発達途上の社会にとって 言語獲得はスタートラインであり 言語のない文明社会とは 翼のない鳥のようなものです 鳥類が翼によって 飛行能力を得たように 人類は言語使用によって 協調性を獲得したのです これは当然だと思いますよね 人間にとって言語はとても身近な存在ですから

しかし考えてみて下さい 物々交換という極めて単純な やり取りにすら言語は必要なのです これを理解する為に古代人の 2つのシナリオを考えてみます 想像して下さい あなたは 矢じり作りの名手ですが 矢の篦(棒の部分)の制作や 矢羽根の取り付けはど素人です そこに 矢じりは作れないが 篦作りが得意な人が2人いるとします それとですね 1人は言語能力なし もう1人は 有りだとしておきましょう

ある日 あなたが前者のところに赴き 担いできた山ほどある矢じりを 彼の前に下ろします もちろん あなたは矢を完成させるために 矢じりと箆を交換したいのです しかし矢じりを贈り物だと思い 彼は笑みを浮かべて矢じりを持ち去ります あなたはこの男を追いかけ ジェスチャーで話しかけますが もみ合いになり 矢じりで刺されてしまいます やり直しです 今回は話のできる男を訪ねて 矢じりを差し出して言います 「矢を作るために矢じりと箆を交換したいです」 男は言います 「いいでしょう 交渉成立です」 やっと仕事が終わりました

言語があればアイデアを 混ぜたり協力したりして 今まで見たこともない 成功を収めることができます こうして動物園の檻の中で 動物がだらだらしている間に 人類は世界中で 大繁栄をしたのでした 人間がスペースシャトル・大聖堂を作る一方で 動物の中には棒で シロアリを捕るものもあります さて 言語が視覚的窃盗を防ぐという見解が 正しいものだとすれば 言語獲得すればどんな種でも 爆発的な創造力と 繁栄を見せてくれるはずです 考古学記録が正しくこれを示しています

我々の祖先である ネアンデルタール人やホモエレクトス等の 生息地域は狭くて限定的でした しかし約20万年前に 人類が出現してまもなく 我々の祖先はアフリカを出て 世界中に広がりを見せ 地球上のほとんどを生息地としました 他の種は遺伝子が適応した場所のみで 生活していたのに対して 我々は社会的学習と言語を用い 周りの環境を必要に応じて 変形させることができました 他の動物とは違う方法で 人類は繁栄してきたのです 言語は人類進化の過程において まさに 最も強力な特性なのです 言語は最も価値ある特性であり これを有効活用しながら 自然淘汰の枠を超える数の 人・遺伝子を生み出してきました

言語は本当に 我々の遺伝子の声なのです 言語を発達させた我々は 風変わりというか 奇妙なことをしました 世界中に散らばるにつれ 数千もの異なる言語を発達させてきました 今日 地球上には 7000 - 8000の言語が存在します 人が枝分かれするに連れて 言語も分化するのは自然な事だと考えるでしょう しかし言語の謎と皮肉とは 地球上で最も多くの言語を数える場所は 人口密度がかなり高い地域なのです

パプアニューギニアに行くと 1つの島の中で 800 - 1000という数の 異なる自然言語を 見つけることができます この島には3 - 4 km 進むごとに別の言語に 出会えるところもあります 信じがたいでしょうが 以前 あるパプア人にこのことについて質問すると 彼は答えました 「ちがうよ 3 - 4 kmなんて大げさなだな」 実際には2 kmも行かずに 異なる言語に遭遇する場所もあるのです この現象が見られる離れ島は他にもあります

どうやら言語の使用目的は 協力だけにとどまらず 集団の輪を作り出したり アイデンティティの確立 自分たちの情報・知恵・技術の 盗用保護と多岐にわたります 我々はこれを知っています なぜなら 他言語集団と文化を 関連させて研究してみると 他言語がその集団の中での アイデアの交流を遅らせることがわかります 技術や遺伝子の流れも 停滞させてしまうのです 皆さんのことは知りませんが どうやら人は一般的に 喋れない人とセックスはしないようです (笑) ネアンデルタール人やデニソワ人の 不快な好色関係に関する 証拠は虚であったと反論を しなくてはいけませんね

(笑)

さてこの一見自然にも見える 私たちの分離・隠遁への 傾向は現代世界の抱える 完璧な矛盾なのです この派手な図は 世界地図ではありません 実はFacebookの友人関係を示す地図なのです この友達との繋がりという点を 縦横全て線で結ぶと まさしく世界地図となるのです 現代社会では過去に 類を見ないほどの コミュニケーションが とられています このコミュニケーション・世界との繋がり― つまりグローバリゼーションが 今では負担となっています 今まで見てきたように 異なる言語は商品・アイデア― 技術・知恵の交流を 妨げてしまっているからです つまり協力関係構築への障害となっているのです

この問題はEU(欧州連合)に最も 顕著に表れています 加盟国は27ヶ国 公用語の数は23に上ります この23の言語間の翻訳に 費やされる欧州連合の支出は毎年 10億ユーロを超えています おおよそ 14億5000万ドルもの大金が 翻訳のためだけに割かれています 非合理的ではありませんか? 27の加盟国の代表 27人の代表がテーブルに座り 23の言語で討論を交わします すべてのペアを網羅するには 単純計算で253人もの 翻訳者軍団が必要となります EUは常任の翻訳者を 約2500人も雇っています もっと新しいデータも あるはずですが2007年には おおよそ130万ページが 英訳されました 英語だけでですよ

では もし言語が本当に 視覚的窃盗への解決策であり そして もし言語が本当に 協力のパイプラインであり アイデアと人の交流の自由化促進を 目的とする道具であるならば 現代に生きる私たちは 問題に直面しています 「現代のグローバル社会において これら全ての言語と共存できるか?」 というのが私たちの問題です

こう考えてみましょう 同機能が自然に共存できる環境は存在しないのです いつも一方がもう一方を死滅させます このことは容赦ない 標準化の流れに確認できます 物体の重量・長さを測る計測法は いくつもありますが メートル法が優勢です 時間を計る方法もたくさんあるのに 時間・分・秒を基準とする奇妙な 六十進法が事実上 世界共通となっています CDやDVDにも 様々な記憶方法がありますが 全て標準化されてしまっています 皆さんの日常にもまだまだ 標準化は潜んでいるはずです

つまり この現代世界で我々は ジレンマに直面しているのです そのジレンマは 彼の話す中国語という 言語は世界一の 話者数を誇るにもかかわらず 黒板の前に腰掛けては 中国語の文章を英語に 翻訳しなくてはいけない というものです このジレンマはある可能性を提起しています 協力・意見交換を推奨し 人類の繁栄の持続または 推進のために必要な 協調関係が今一層 求められる世界においては この中国人が示唆するように 「一つの世界 = 一つの言語」 という考えも 見逃すわけにはいかないということです

ありがとうございました

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マット:質問なんですが スヴァンテは言語能力と関連があると思われる FOXP2遺伝子を ネアンデルタール人の中からも 発見しています もし彼らが言語を使えた場合 我々はどのようにして 彼らに打ち勝ったのでしょうか

マーク:とてもいい質問です FOXP2という遺伝子が運動制御の面では 言語能力と何か関係があるとする見解に 多くの方が精通しているようですね ネアンデルタール人に 言語能力がないと思う理由を 簡単な例え話で説明します フェラーリはエンジンのついた車ですね 私の車にもエンジンがありますが これはフェラーリではありません シンプルな回答ですが この遺伝子単体では 言語のような複雑なものの 存在を決定できないのです この遺伝子から分かる事といえば 口の運動制御が発達していた 等です 言語能力は別問題なんです

マーク: ありがとうございました

(拍手)