ジュリア・エンダース
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数年前 私には いつも決まって ある事が起きていました 特に 叔父叔母との お茶会といった 家族の集まりには― 皆が私に近づいて来て こう訊くのです 「ねえ 何をやってるの?」 すると私は 誰もが喜ぶ 魔法の一言を 口にしました 「医学よ 私 医者になるの」 本当に簡単です それだけで誰もが 喜んでくれるのですから 簡単かも知れませんが その効き目は 実際 わずか30秒程しか続きません つまり次の瞬間 その内の誰かが こう訊くのです 「じゃあ 医学のどの分野? 専門は 何にするつもり?」 すると 私は 真正直にこう言っていました 「そうね 私は大腸に魅せられているの 全ては 肛門から始まったけど 今は基本的に 腸全般に夢中なの」

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その時 皆の熱狂は 徐々に薄れていき たぶん 部屋に気まずい沈黙が流れ 私はひどく悲しい気分に なったものです だって 腸ってとても魅力的だと 心底 思っているんですもの

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皆がどんな新しい スーパーフード・ スムージーを作るべきかや グルテンが身体に悪いかどうかを 考える時代に生きているのに 実際にその食物を消化する器官の 具体的な解剖学や 背後にあるメカニズムを 殆ど知ろうとしないのです まるで 皆がこの魔法のタネを 解明しようと躍起になっているのに マジシャンの方を調べる人は 誰もいないかのようです しかもその理由は その人の髪型が変とか そんなことのようです また 実際に 科学が長きに渡って 腸を嫌っていた理由があるのです こんなことです

腸は実に複雑です 表面積が大きく 皮膚の約40倍です その液漏れしない管の中には そこで訓練されている 非常に多くの 免疫細胞があります 100兆もの細菌が生息して 様々な事を行ない 小分子を作っています そして 約20の異なる ホルモンが産生され 例えば 生殖器とは 比べものにならない複雑さです また腸の神経システムは 非常に複雑なので 細かく切ってしまっても 突いてみると 各々が独立した生き物のように 1つひとつ 親しげに 呟き返します

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一方で こういう理由があるからこそ 腸は魅惑的で重要なのです

腸を大好きになるには 3つのステップがありました 今日は皆さんに この3つのステップをご紹介します まず最初は 腸を見るだけで 「これ どんな働きがあるの?」とか 「なぜ時として凄く 不気味な 格好になるの?」といった疑問が湧きます 実は 最初にこの疑問を持ったのは 私ではなく ルームメイトでした ある賑やかな夜のパーティの後 彼がキッチンにやって来て こう言いました 「ジュリアは医学を学んでいるよね 排便ってどんな仕組みなの?」

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確かに医学を学んではいましたが 知りませんでした そこで 私は部屋に行き 様々な本を調べました すると その時面白いと思う物を 見つけたのです 私達には外括約筋だけでなく 内括約筋もあることが 分かったのです ご存知の通り 外括約筋は コントロールできるので どんな状態か分かりますが 内括約筋のことは分かりません そこでは 消化の後の残留物(便)があると まず内括約筋に到達します 内括約筋は 反射的に開き それを ほんの少しだけ 試しに通過させます

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そこには感覚細胞があり 運ばれて来た物を分析するのです つまりそれが気体なのか固体なのか? つぎに この情報を脳に伝達します すると 脳が判断を下します 「あ!トイレに行きたい」

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つぎに脳は その驚くべき意識の働きで 計画された事を 成し遂げるのです 脳は周囲との関係を調整し こんな事を言うでしょう 「チェック完了 私達はTEDxカンファレンスに います―」

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(拍手)

気体なら? 端の席に座っているのなら そして静かに 事を終えられるなら...

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しかし固体なら― それは後程…

(笑) 外括約筋と脳は 神経細胞で繋がっており 協同し 協力して 便を腸内の待ち行列へと戻します

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別の時まで 例えば家で ソファーに 座っているような時には 別にすることもないので 自由に行けます

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私達人間は 実際 大変上手に清潔な方法で用を足す 非常に数少ない 動物の1つなのです 正直な所 この素晴らしい 内括約筋という物に対し 私はある新たな敬意を 抱くようになりました― 外部世界や時間に 気をまわし過ぎる神経に 繋がっていないにもかかわらず 一回ごと ご主人のことだけを気にかけます それは凄いと思いました かつて私は公衆トイレが あまり好きではありませんでしたが 今はどこでだって行けます 内括約筋が 毎日のお約束の時間が来たよと 頻繁に言っているように思うからです

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それから 次に私が学んだのは 以前ならたぶん 目を背けたような物— 自分自身の中で 最も気味の悪い部分をよく観察することで 恐怖の感情はより薄れ 自身をより正しく 認識するようになった事です 実際 腸を見ていると 何度もこんな事が起きました このおかしなゴロゴロという音が 聞こえてくるのは 大勢の友達と一緒にいる時や オフィスの会議中です― 「グルグル グルグル…」 これは空腹だからではなく 私達の小腸が 大の綺麗好きだからです 消化していない間 全てを綺麗にし その結果 8メートルの腸は— 実際はそのうち7メートル分ですが すっかり綺麗になり 臭いは殆どしなくなります これをやり遂げる為に 消化終了後 残留物を全て先方に押し出す 強力な 筋肉の蠕動運動が 起こるのです ここで時折 音が生じるのですが いつもという訳ではありません 私達が 恥ずかしく思っている音は お腹が調子良く 清潔であるという信号なのです

私達のこの奇妙で ひん曲がった胃の形は ちょっと不気味です そのお陰で 実際私達は 笑ったりスポーツをする時 嘔吐する事なく 腹圧をかける事が できるのです それは圧力が 横道にではなく 上方に移動するからです ここでは気泡も生じます これは しばしば とても良くレントゲンに写ります 時として それが大きくなりすぎれば 気分が悪くなったり 痛みの感覚を持つ人もいます しかし殆どの人達は 右を下にではなく 左を下に横になるとずっと ゲップがしやすくなります

そして少しばかり考え方が先に進み 身体と健康を全体像として とらえるようになりました これは ある人が自殺したという話を 耳にした後の事でした その前日 私はたまたま 自殺したその人の隣に座っており その人の口臭が 酷いのに気づきました その翌日 自殺の事を知りました 腸が何らかの係わりを 持っていたのかなと思いました 私は夢中で 腸と脳の関係に関する論文が あるかどうかを調べ始めました 驚いた事に 沢山見つかりました

私達は時として思っている程 単純ではないと分かったのです 私達の脳は司令を作り それを他の臓器に伝えます 臓器はそれに従わねばならないと 思いがちです しかし実際に 脳から腸に情報を伝えているのは 脳と腸を繋ぐ神経のわずか10%程なのです 例えばストレス過多の状況下では 脳から放出された神経伝達物質が 腸で感じられ 腸は全ての働きを低下させようとします 問題解決のためにエネルギーを節約しようと 腸の動きを止めて 血流とエネルギー消費を減らすのです このため 消化を続行したくない食べ物を 腸から取り除こうと 精神的な 嘔吐や下痢さえ起こします

多分もっと興味深い事に 腸と脳を繋げる神経線維の90%は 腸から脳へと情報を届けています その事をさらに考えてみると 私達の脳は非常に孤立しているので 外部からの情報が必要です 脳は厚い皮膚と骨に囲まれた 頭蓋骨の中に収まっており 「身体全体として 私はうまくやっている?」 という 感覚を統合するための情報を 必要としています 実際 腸はおそらく脳にとって 最も重要なアドバイザーでしょう それは腸が感覚に関する 最大の器官で 私達の摂取する 栄養の質に関してだけでなく 免疫細胞の状態や 腸が感知できる血中のホルモンに関して 情報を集めているからです 腸はこの情報をひとまとめにして 脳に送る事ができるのです その情報は視覚野や 言語野には到達できません さもないと 私達が食物を消化する時 変な色を見たり おかしな声を出したり ということになってしまいます しかし腸からの情報は倫理性、怖れ 感情の処理といった領域や 自己認識の領域に 到達する事はできます

ですから 私達の体と脳とが 「身体全体として 私はうまくやっている?」 という感覚を統合しているとき 腸がこの過程に 寄与できるというのは 本当に理にかなっています また過敏性腸症候群や 炎症性腸疾患といった 病気を持つ人達は 不安症やうつになる リスクが高いのも うなずけます これは共有すべき 良い情報だと思います 皆がこう思っているからです 「腸の調子が悪いし その上 精神状態も良くない」 そしておそらくこれは―科学的には現在 まだ明確ではありませんが 脳が腸に 同情しているだけかもしれません

これが実用的知識になるには 証拠が不十分です しかしこの種の研究が 現在 世界で 進んでいるという事を知るだけで 日々の生活に役立ちます お陰で憂鬱な気分を 違ったように考えられるし 表に出す事はあまりしなくなります 起きている間 私達の存在はまるで 脳とコンピュータ画面だけのように感じます そこで直ちに答えを 探そうとしがちになり 仕事がくだらないとか 隣人のことなど考え始めます 実際は 気分の変化は 体内からもやって来るのです それを知っているだけで 助かりました 例えば 朝 目覚めが早すぎた時 悩んで 色々と思いを 巡らし始めます そしてこう考えます 「ちょっと待って 昨日何を食べた? ストレスが多かった? 夜遅くに何か食べた?」 そして起きてお茶を入れ 消化しやすい軽食を食べます 簡単な事です これで驚く程気分が良くなります

3つ目のステップでは 私は さらに身体から離れ 今までとは違った形で 細菌を本当に 理解するに至りました こんにち 私達が行う研究は 本当の清潔さとは何かという 新たな定義を作り上げました それは皆さんがご存知の 「衛生仮説」とは異なります 常に清潔を保って 環境に微生物が少なすぎるのは 良い事ではないのです アレルギーや自己免疫疾患が 増加します 私はこの仮説を知っていて 腸の清潔さに注目する事から あまり多くは 学べないだろうと思っていました しかしそれは間違いでした

本当の清潔さとは 細菌を直ちに 死滅させる事ではありません 真の清潔さは少し違います 事実を見てみると この惑星に存在する 全ての細菌の 95%は私達を傷つけず 害になる遺伝子を 持たないのです 多くの細菌が 実際 大いに役立ちます 現在 科学者は 次のような事を調べています ある種の細菌は腸を綺麗にする 手助けをするか? 消化の手助けをするか? 同じように沢山食べても体重が 増えたり減ったりする 原因になるのか? それが私達に勇気を持たせたり ストレスに耐性を持たせたりするか? そして清潔さという事になると 疑問はもっとあります 実際 要は 健康的なバランスだと思います 悪い物を常に避ける事はできません 単純に あり得ないことです 何か悪い物が 周囲には常にあるものです 清潔な腸を全体として見ると 良い細菌が十分あり 悪い細菌も少しはあるのです 免疫システムには 悪い細菌も必要です 何を警戒すべきか知るためです

そこで 私は清潔さに関して 異なる見方をするようになりました その数週間後 私は自分の大学で講演をし ひどい間違いをおかしました 家に帰り すぐに気づきました 私はこんな感じでした 「あぁひどい間違い もうダメ もうウンザリよ 恥ずかしいったらないわ」 これを考え始めて 私は 「あーあ!」という感じでしたが しばらくして 言いました 「大丈夫 ここを1つ間違えたけど あとは すごく沢山の有益で正しく 役に立つ事を言ったわ だから大丈夫だと思うの 「清潔さ」と同じことよ その後「あ ちょっと待って 多分 私は清潔さについて 更に進んだ 理解をするようになったわ」 それが私の今の理論です 皆さんもそうされていると思います 単にリビングを掃除するという 理論を少し進めて 「人生の衛生」とでもいうようなものに 発展させることです 悪いものから 身を守ろうとするのと同様に 良いものを助長することについて 知ることは 私をとても落ち着かせる効果がありました

その意味で 今日の話が 「全体として」有意義で お役に立つことであったらと願っています お時間をいただき ご静聴ありがとうございました

(拍手)