シンシア・ケニヨン
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もう少し若いままでいたい 老化を止めたいと思ったことありませんか それは長年の夢でした しかし長い間科学者達は それが可能になるとは決して思いませんでした 古い靴の様にただ老いていって  抵抗することは出来ないのだと 考えていました しかし自然界を見わたしてみると それぞれ動物の寿命は 本当にさまざまです これらの動物はおのおの違っています なぜならそれぞれ違った遺伝子を持っているからです その事は 遺伝子のどこかに DNAのどこかに 加齢を司る遺伝子が それぞれ違った寿命をもたせる遺伝子があることを 示唆しています もし そのような遺伝子があったなら 想像してみて下さい 実験で遺伝子のひとつ 老化遺伝子を変え 老化を遅らせ寿命を延ばせるかもしれません それが出来たなら  老化遺伝子を見つけられます それが存在して 見つけることが出来れば いつかそれに対して何かをする事が出来るかもしれません

そこで私達は老化を制御する遺伝子を探す事にしました けれどこれらの動物では研究しませんでした その代わり小さく丸い線虫「C.エレガンス」を研究しました それはちょうど文の中のコンマ位の大きさです 私達は何かを見つけられるだろうと思っていました なぜなら 長生きをする変異体がすでに報告されていたからです 遺伝子をランダムに変え 長生きをする個体を探しました 幸運にも発見できました daf-2と呼ばれる遺伝子を損傷させた変異体によって 線虫の寿命を2倍にすることが出来ました

ご覧の様に黒い方は一ヵ月後 このようにとても短命なので 老化の研究対象にしたのですが このようにとても短命なので 老化の研究対象にしたのですが 黒い方は一ヵ月後 普通の線虫は全て死にます しかしこの時 ほとんどの変異体は生きています そして2倍の期間を生きて 全て死にます 実際の様子をビデオでお見せしましょう 最初にお見せするのが 普通の線虫 大学生のような若者といったところでしょうか それはとっても小さくてキュートです 次にお見せするのが長寿変異体が若い時のものです この動物は2倍長く生きられます かわいそうに見えますか?そうは見えませんが 活発です 本当に違いは分かりません 彼らは完璧な繁殖能力があり 普通の線虫と同じ数の子孫を残すことができるのです

ではここでハンカチを取り出して下さいね ご覧下さい たった二週間で 普通の線虫は老化します 下の方で頭がちょっと動くのが見えるでしょ しかしほとんどただそこに横たわっているだけなのです この動物達は明らかに老人ホーム行きです 顕微鏡で組織を見てみると崩壊し始めてるのが分かります 小さなC.エレガンスを見たことがなくても ―たぶん皆さん初めて見るでしょうが― 老化しているとわかりますね  面白いと思いませんか?

老化することには 普遍的な何かがあるのです そしてこちらがdaf-2変異体です 2万ある遺伝子の1つを変異させると ほら 同じ年齢なんですよ でも老人ホームではありません スキーに行きますよ これは本当に素晴らしい事です  老化がゆっくりになりました この線虫は普通の線虫が1日で老いるところを 2日かけて老化していきます この事を人に話すと 誰もが考えるのは 80歳や90歳なのに ずいぶん若く見える人のことのようです しかしこれはそれ以上なのですよ 仮にあなたが30歳の独身の男で ―それか30代として 誰かとデートをします とても気に入り 彼女の事をもっと知りたくなって レストランでこんな話をします 「おいくつなんですか?」 彼女は「私は60歳よ」と答えます これはそんな感じです 分かるはずが無いのです 彼女が話すまでは決して分かりません

(笑)

オーケー ではdaf-2遺伝子とは何でしょう? ご存知の通り 遺伝子はDNAの一部で 何かの働きをするタンパク質を作る説明書です daf-2遺伝子は ホルモン受容体をコードします ご覧頂いているのは 赤色で示すように 細胞膜を貫いた ホルモン受容体を持つ細胞です 赤色で示すように 細胞膜を貫いた ホルモン受容体を持つ細胞です この受容体の一部は野球のグローブの様なものです 外側にある部分のことで 緑色で描いたホルモンを受け取ります そして内側にあるもう片方の部分で 細胞にシグナルを送るのです

ではdaf-2受容体は 細胞の内側に何を伝えているのでしょう? daf-2遺伝子を変異させると 受容体の機能がなくなります そして動物は長生きします つまりこのホルモン受容体の通常の機能は 老化を加速させる事なのです それがこの矢印の意味です それは老化を加速させます 早くさせるのです まるで動物が老化を加速させる 死神を内側に持っているかの様です これはみな本当に興味深いです その事は老化が遺伝子によって とりわけホルモンによって  制御されるという事を示しています ではどんな種類のホルモンなのでしょうか? ホルモンにはいろいろあります テストステロンや アドレナリンなど たくさんご存じでしょう これらのホルモンは 私達が体の中に持っているホルモンと似ています daf-2ホルモン受容体は インスリンとIGF-1のホルモン受容体と 非常によく似ています

少なくともインスリンの事はご存知でしょう インスリンは食後に栄養素を 組織に取り込むのを促進するホルモンです そしてIGF-1は成長を促進します これらのホルモンの機能は以前から知られていました しかし私達の研究は 誰も知らなかった3番目の機能を示唆します 恐らく老化にもかかわるのです それは正しいようです

私達がC.エレガンスで発見をした後 他の種類の動物で研究をしている人達が もし他の動物でdaf-2変異体 ホルモン受容体の変異体を作ったなら その動物は長生きをするか研究を始めました ハエでもそのようです ホルモンのシグナル伝達経路を変えると ハエは長生きします そしてネズミでも-ネズミは私達と同じ哺乳類です 従ってこれは古代からあるメカニズムです 進化の中で遠い昔に確立しているから これらの動物すべてで機能している というわけです そしてまた この共通の遺伝子は人間にも発生しました

恐らくヒトでも同様に働いているでしょう そしてここにヒントがあります 例えばニューヨーク市に住んでいる アシュケナージ系ユダヤ人の 集団に関する調査があります 他の集団と同じように ほとんどの人がおよそ70歳から80歳まで生きます しかし90歳や100歳まで生きる人もいます そこで発見されたのは 90歳や100歳まで生きる人は IGF-1受容体をコードする遺伝子が変異した daf-2変異体を 持っている可能性が高いという事です これらの変異は 正常遺伝子の機能を なくしてしまいます 損傷した遺伝子です これらは ヒトが老化を司るホルモンの影響を受ける というヒントです

次の疑問はもちろん 老化に関連した病気に影響があるかです 加齢とともに ガンやアルツハイマー病 心臓病やあらゆる種類の病気にかかりやすくなります これら長生きの変異体は これら全ての病気に対して抵抗性を持つと分かりました 彼らはほとんどガンにならないし なったとしても悪性度の高いものにはなりません 彼らが若いままでいるのは興味深く 理にかなっており 彼らが年老いるまで 老化に関連した病気になりえましょうか? その事から もしこれらの効果をヒトで再現できる 治療や薬が出来たら 私達は老化に関連した 様々な病気を一掃できる手段を 手に入れる事が出来るかも知れません ではホルモンは最終的に  どの様に老化の度合に影響しているのでしょうか それはどの様に機能しているのでしょうか

daf-2変異体では 細胞や組織を保護したり損傷を修復するタンパク質を コードする遺伝子がDNAの中で 活性化する事が分かりました そしてそれらはFOXOと呼ばれる 遺伝子調整タンパク質によって活性化されます daf-2変異体は 受容体の上に×印で描かれています この受容体は正常に機能しません この条件で青色で描かれたFOXOタンパク質は 細胞の中央にある 核の中に入り 遺伝子に結合します ひとつの遺伝子をご覧頂いていますが 実際にはFOXOに結合する遺伝子はたくさんあります それらの一つに結合したところです

したがってFOXOは多くの遺伝子を活性化します そしてそれが活性化する遺伝子には 抗酸化遺伝子や 私がキャロットギバー遺伝子と呼んでいるもので それが翻訳されたタンパク質は 他のタンパク質が正しく折りたたまれたり 機能するのを 助ける働きをする遺伝子です それは細胞のゴミ箱へ運び もし損傷していたら再生します DNA修復遺伝子は これらの動物でより活発です そして免疫系はより活発です お見せしたこれら様々な遺伝子は daf-2変異体が長生きするのに実際に貢献します それはとても興味深い事です これらを持っている動物は 普通の動物よりも長生きをする潜在能力を備えています それらは 様々な損傷から自分自身を守る能力を持ち その事によって長生きをすると私達は考えています

では普通の線虫ではどうでしょうか? daf-2受容体が機能している時 それはFOXOがDNAのある核に 取り込まれるのを妨げる 一連のイベントの引き金を引きます したがって遺伝子を活性化させることが出来ません この様に働きます daf-2変異体を手にするまで 長生きの個体を見ることが出来なかったのはこの為です では線虫にとって何が良いのでしょうか? 私達はインスリンやIGF-1ホルモンが 好ましい生活環境 - 食料が豊富で環境にストレスがあまり無い状況 - で とりわけ活発になるホルモンだと考えています そしてそれらは栄養素を吸収するのを促進します 食料を貯蔵しエネルギーや 成長などに使います

しかし私達は ストレスのある状況下 例えば食糧供給が制限されている様な状況下で これらホルモンのレベルが低下すると考えています そしてその事は 動物に危険信号 物事が大丈夫で無いという信号として認識されているので その保護機能が展開するのではと考えています そしてそれはFOXOを起動し FOXOはDNAに行き 自身を保護し修復する 細胞の能力を向上させる 遺伝子発現の引き金を引きます その為動物が長生きすると私達は考えています

FOXOをビルの管理人のように 思ってください 恐らく彼は少々怠け者で でも彼はそこに居て ビルの世話をします しかしビルは老朽化します そして突然彼はハリケーンがやってくると知ります 彼が自分自身でなにかをする訳ではありません 電話のところに行き FOXOがDNAに結合した様に 屋根職人、窓屋 ペンキ職人、床職人に 電話をします そして彼らは皆やってきて  その家の補強工事をします そしてハリケーンに襲われても 補強しなかった時より その家はハリケーンによく耐えます それだけではなく もしハリケーンがやって来なくても 家は長持ちするのです これが私達の考える 寿命を引き伸ばす能力が存在するというコンセプトです

FOXOについて素晴らしいと思うのは FOXOには様々な型があると言う事です 私達はみなFOXO遺伝子を持っていますが みな全く同じFOXO遺伝子を持っている訳ではありません 私達の目の色が異なるように ある人は青い目を持ち またある人は茶色の目を持ちます そして90歳や100歳まで生きる人には より頻繁に現れるある型の FOXO遺伝子があります これらの星印から分かるように これは世界中で起こっています そしてこれらの星印一つ一つは 「長寿の人は FOXO遺伝子が 違っているのか」を調べたところ 実際に違いが見つかった集団を表しています これがどの様に機能しているのか 詳細は分かりませんが FOXO遺伝子がヒトの寿命に 影響を与えうることが分かりました その事は もしそれを微調整すれば ヒトの健康や寿命を増進させることが  出来るかもしれないという事を意味しています

私にとって本当にワクワクすることです FOXOは私達が線虫で発見した 寿命に影響するタンパク質です ヒトの寿命にも影響しています そこで今 私達の研究室では 老化や老化に関連した疾病を遅らせる 薬を開発出来ないかと ヒトの細胞を現在使って このFOXOを活性化する 薬の開発に取り組んでいます そして私はこれが本当に上手くいくと思っています

老化に影響すると知られているタンパク質が たくさんあります そしてそれらの少なくとも一つに対して 効果のある薬があります TORと呼ばれるタンパク質は インスリン経路のような 別の栄養素センサーです daf-2変異体同様に TOR遺伝子を損傷させた変異体は 線虫、ハエ、マウスの 寿命を延ばします しかしこの場合 TORタンパク質に結合し その活動を阻害する ラパマイシンと呼ばれる薬が 既にあります そしてラパマイシンをマウスに与えると 例えばそれがヒトであれば60歳位の老齢だったとしても その年老いたマウスは そのマウスにラパマイシンを与えると 長生きするでしょう

しかしまだ ラパマイシンを 飲まないで下さいね それはヒトに使われる薬ですが 免疫系を抑制するからです 臓器移植を受けた人が拒絶反応を防ぐのに服用します ですので不老長寿の 完全な薬ではないようです 2011年の今 老いたマウスに与えて 寿命を引き伸ばせる薬があり これはこのようにいろいろな動物での 研究に基づいたものです

ですので私はとても楽観的に考えており 私の希望でもあるのですが そう遠くない将来に この昔からの夢が叶うのではないかと考えています

ありがとうございました

(拍手)

マット・リドレー: シンシア ありがとうございました ここまでのお話を整理させて下さい あなたは私のような老人の 加齢の問題を解決するかもしれない 薬を探されていますが 倫理的に許されるのであれば ずっと長生きできるように改変した遺伝子を ヒトが生まれた時から与えるようなことが 実験的にはできるのではありませんか

シンシア:私がお話した薬の類は 遺伝子を変えることは無く タンパク質そのものに結合し その活性を変えるだけなのです ですので薬の服用やめれば そのタンパク質は普通に戻ります 原理的には遺伝子を変えることができますが それをするテクノロジーが有りません しかし私はそれが良い考えだとは思いません なぜならば インスリンや IGF、 TOR経路は 不可欠なものです もしこれらを完全にノックアウトしたら 深刻な病気になってしまいます ですので問題を起こさずに効果を得られるように 非常に慎重にそれを微調整をするということでしょうか そして薬としては このような制御を行うのが より良いのではと思います そしてまた インスリンやIGF-1とは関係なく FOXOを活性化できるより安全な 他の方法があります

マット:私はそれをするつもりだと提案したのではなかったのですが・・・ (笑) あなたが書かれたり話された  「ほとんど老化しない」という 現象がある事についてはいかがでしょうか この惑星には既に 本当に老化をしない 生き物が幾つかあります ―こちらにお寄り下さい

シンシア:あります 老化をしないように見える 幾つかの動物がいます 例えばブランディングタートルと呼ばれる亀がいます それらはこれぐらいの大きさまで成長します それらはタグが付けられ 年齢が70歳であることが分かりました この70歳の亀を見た時に 一見しただけでは 20歳の亀と 違いが分かりません そして70歳のものは 良い巣作りの場所を見つけるのがうまく より多くの子孫を毎年残します そしてこの亀の様な例が ある種の鳥にもあります 永遠に生きられるものなのか 何が老化を妨げているのか 分からないのです それは明らかではないのです

長生きをする鳥を見ると その鳥の細胞は 高温や過酸化水素のような 様々な環境からのストレスに対して 抵抗力が強い傾向があります そして私達の見つけた長生きの線虫変異体も同様です そういう類のストレスに強い抵抗力があります ですので 線虫で短時間で働くように設定された 私がお話ししたような経路は 鳥の場合でも 通常とは異なる設定ポイントを持ち その事によって鳥がとても長生き出来るようです そして恐らく老化現象の全くない動物の中では 全く異なった設定がされていると思われますが 私達には分かりません

マット:しかしあなたがここでお話されているのは 死を回避する事で 人間の寿命を延ばす事ではなく 人間の若い時期を延ばそうということですね

シンシア:はい その通りです 例えば あなたが犬だったとします 自分が老いていくのに気づき 人間を見て 「どうして人間は年老いないのか」と 思うでしょう 犬の寿命からすると人間は老いないように見えます そんな感じかもしれません 人間から見ると不死の人間はどのように見えるでしょう

マット:シンシア・ケニヨン 本当にありがとうございました

(拍手)