アレハンドロ・アラヴェナ
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デザインに何かしらの力があるとしたら それはパワー・オブ・シンセシス 統合する力です 問題が複雑であればあるほど シンプルさが必要となります ここで三つのケースを紹介したいと思います デザインが持つ統合力を― 生かそうとした事例です

都市化における地球規模の 課題から見ていきましょう 事実として 人々は都市へ移動しつつあります 直感的には逆に感じたとしても じつは良い事なのです 都市のほうが暮らし向きがよい それは証拠が物語っています しかし 問題もあります 私が3つの「S」の脅威と呼んでいるものです 規模(Scale)、速度(Speed)、手段不足(Scarcity) 私たちが対応を迫られている これらの現象には 歴史上 前例がありません 想像してみてください 今日 都市部に暮らす30億人の人口のうち 10億は貧困層です 2030年までには 都市部に住んでいる50億人のうち 20億人が貧困層となります これが― 何を示しているかというと 100万人規模の都市を 週にひとつの割合で 創出しなければならないことを意味します しかも 世帯あたり1万ドルでです 毎週毎週 15年にわたって 世帯あたり1万ドルで100万人都市を 一週間にひとつのペースで  つくり続けなければなりません この問題を解決しなければ 都市部に人々が来なくなるのではなく どんなことをしてもやってくるけれども それらの人々が スラム街や貧民街 掘っ立て小屋に住むことになります

それではどうしたらいいのでしょうか 答えは貧民街やスラム街にあるかもしれません ヒントは10年前に出会ったこの式のなかに あるかもしれないということです 10年前 私たちは チリ北部のイキケの中心部で 5000平方メートルの土地を不法占拠していた― 100家族に住む場所を 与えてくれと依頼されました 1万ドルの助成金を使って 土地を買い インフラを整え 家屋を建てなければなりませんでした 家の広さはせいぜい 40平方メートルでした ちなみに 土地代ですが 都市の中心地だったため 通常 公営住宅が建てられる土地の じつに3倍もの値段だったんです 問題があまりに難しかったため 何が問題を難しくしているのか 理解するため 当事者の家族たちに 協力してもらうことにしました そうして 参加型のデザインプロセスが始まりました 市場にあるもので何が使えそうか テストが始まりました 一戸建ての家にすると 収容できるのは 30家族 連続住宅なら 60家族 収容できます 100家族すべてをまかなうには 高い建物にするしかありません しかし 当事者たちからは ハンガーストライキをすると 脅されました そんなものを提案しようものなら ハンストも辞さないというのです 各家族の区画を小さくつくったら もう広げることはできないからです そこで 結論として出されたのが ちなみに私たちが決めた結論 ではないことは重要な点ですが 当事者の家族たちが 問題があるのは明らかで イノベーションが必要だと

そのあと 私たちはどうしたかというと 中産階級の家庭なら そこそこ よい暮らしをしています 家の面積は およそ80平方メートル しかし お金がないと 市場では何が起きるかというと 家を小さくするのです 40平方メートルまで 私たちはこう言いました もしも 40平方メートルを 小さな家と思う代わりに こういう風に考えてみてはどうでしょう いい家の半分なのだと 問題を 小さい家ではなく いい家の半分を つくることだと捉えると 重要になってくるのが 半分は半分でも どちらの半分を補助するのか 公的資金を使って 自分たちの力ではどうにもできないほうの 半分を解決するべきだと考えました デザインの条件を5つ 明確にしました 家を建てるときに困難なほうの半分です 家族のところに行って 二つお願いがあると伝えました 力を合わせることと 仕事を手分けすることです 私たちのデザインは ビルと家の中間に当たります ビルとして見ると 地価が高く ロケーションも良いものです 家としてなら 拡張することができる 家を建てるあいだに どこか周辺へと 彼らが追いやられる ことさえなければ 彼らは自分たちのネットワークや仕事を 維持することができますから すぐに彼らが拡張作業に入ると わかっていました こうして 当初の公営住宅から 中産階級の住宅へと 自分たちの手で変貌をとげました しかも2~3週間のうちにです これが私たちの最初のプロジェクトでした 10年前のイキケでのことでした そして この映像はチリで最新の プロジェクトの様子です デザインは違いますが 考え方は同じです まず フレームを与えてあげます そこから先は家族が自分で建てます ですから デザインの目的は 3つの「S」の脅威を理解し 解答を差し出すこと 規模、速度、手段不足 これを人々が自分の手で家を建てるという キャパシティへつなげること 自分の力で家を建てるという力を利用しなければ 週に100万人という式を解くことはできないでしょう 適正なデザインがあれば スラム街や貧民街は 問題ではないのかもしれません むしろ 唯一の可能性を持つ 解決方法ということになります 二つ目のケースは  サステナビリティ(持続可能性)に 貢献するデザインについてです 2012年 私たちはコンペに参加しました アンジェリーニ・イノベーション・センター 建設にかかるもので その目標は 知識創造のための適切な環境づくり 知識創造がねらいだということで 人々のあいだのやり取り 対面で接することが 重要だとされており 私たちも それに同意しました でも適正な環境とは何か 私たちにとってそれは 文字通りの質問でした 私たちはワークスペースを設けたかったのです 適正な明かりに 適正な温度 適正な空気 そう考えたとき いわゆるオフィスビルが 参考になるのだろうかと 私たちは自問しました オフィスビルってどんな感じでしょう? フロアの集まりですよね 一つ一つが重なり合っていて 真ん中にコアがあります エレベーターに階段 パイプ ワイヤー など そして表面はガラスで覆われています 直射日光が当たるので 屋内で大きな温室効果が起きます それだけではありません 7階で働いているとしましょう 毎日 3階を通って職場に行っていますが 3階の人が何をしているのか まったく知りません そこで 考えたのです この構造を逆にするべきだと そこで 何をしたかというと オープンスペースのアトリウムを設けました コア部分は空洞です 同じフロアの集合ですが 壁や質量の大きい部分は周囲に配して 太陽の光が当たっても 直接ガラスに当たるのではなく 壁に当たります 内部に開放的なアトリウムを設けることで ほかの人が何をしているか 建物の内側から見えます 光の調節もしやすく 質量の大きい部分と壁を 周囲に持ってくると 直射日光を避けることができます 窓も開けられます 通風もいいです この くりぬかれたような空間は 大きな空洞になっていて 高さを持たせた長方形をしています こうした屋外空間が 建物の高さいっぱいに広がります これらの工夫は 決して難解ではありません 複雑なプログラムを組む必要はありません つまり テクノロジーの問題ではないんです 大昔からある じつに原始的な一般常識であり その常識をつかって 年間1平方メートルあたり 120キロワットという ガラスの塔を冷却するのに必要な 典型的なエネルギー消費量から 年間1平方メートルあたり 40キロワットまで 抑えることに成功しました ということは 適切なデザインがあれば サステナビリティとは 誰もがすでに知っていることを 最大限に活用することに他なりません 最後のケーススタディでは デザインが包括的な正解を― 提供することができるということを 自然災害への取り組みで見てもらいましょう ご存知のように  2010年 チリでは マグニチュード8.8 という 地震と津波の被害に遭いました そこで私たちが呼ばれました 「コンスティトゥシオン」というチリの 南部にある地域の再生を 依頼されました 与えられた時間は100日 つまり3ヶ月で すべてをデザインすることになりました 公共のビルから公共のスペース 道路網 交通 住宅 そして肝心の この都市をどうやって保護するか 将来 津波が発生したときに備えて どうするのか考えるのです チリの都市デザインとしては新しい試みでした いくつかアイデアはありました 一つ目は 震源地には何も建てないこと 予算の3000万ドルの使い道は おもに土地の収用でした これこそが今 日本で討議されている話題です 国民がしっかりと規律正しい 日本のような国ではうまくいくのですが チリでは 土地が不法に占拠されるのを 完全に防ぐのは難しい この案は非現実的なので 望ましい方法とは言えなかった 二つ目は大きな壁を建築すること 重厚なインフラで 防波堤にしようという考えです 都合のいいことに この案件に対しては 大きな建設企業の支持を受けました 建築費が4200万ドルにもなる 案件だったからです 政治的にも好ましかったのは 土地の収用が必要なかったからです しかし 日本を見てもわかるように 自然の力に抗うのは無意味です この発案は無責任なものでした 家を建てる段階で コミュニティを巻き込むことが 解決策を見つけるにあたって 必要だとわかりました 参加型のプロセスのデザインを始めました

(スピーカー音) 「どんな街がほしいですか コンスティトゥシオンに一票を 公開イベントに行き 意見を発言しましょう 皆さんで参加しましょう!」

(漁業従事者) 「私は漁業を営んでいます 25人の従業員を抱えています 彼らをどこへ連れて行くべき でしょうか?森林でしょうか?」

「どうしてコンクリートの防壁じゃダメなんですか? しっかりしたものだったらいいでしょう」

「コンスティトゥシオンに長いこと住んでいます あなた方は もうここで暮らせない と言うためにわざわざ― ここまで来たんですか? 家族全員がここで暮らし― 子供たちもここで大きくなりました 孫たちもここで大きくなるでしょう 孫だけでなく 他の家族もみんなそうです それなのにどうして こんなことを 言われないといけないんですか そこのあなた!あなたが私に言ったんですよ! 危険地域に建てることは 許可されていません

彼が自分でそう言ったじゃないか」

「いや それは違うだろう ニーヴェス・・・」 みなさん字幕は全部読めましたか いずれにせよ 少なくとも 彼らのボディランゲージから 参加型のデザインが ヒッピーたちによる ロマンあふれる 「みんなで力を合わせて 街の将来を 夢を叶えよう!」 そういう類のものでないことは お分かりいただけたと思います というか― (拍手) 課題は 家族の人たちと一緒に 正解をみつけるというよりも むしろ― 問いかけなければならない 妥当な質問が何か見極めること それが主な課題だったんです 間違った質問にうまく答えることほど 最悪のことはありません

この段階を経た後は明確でした ここで怖気づいて 議論が緊迫しすぎている と言って逃げ出すのか あるいは さらに踏み込んで 本当に気がかりなのは何なのか さらに質問するか これ以外にどういう悩みを抱えていますか 私たちにこの街について何をしてほしいですか 振り出しに戻って考え直す 必要があるのではないか そして 彼らから返ってきたのは 将来の津波に備えて都市を 守ってくれるのはありがたい しかし次の津波と言っても 20年くらい先の話だろう ところが 問題は 毎年起こっていて 雨が続いて洪水になっているのです さらに この地域が この国の 森林地帯の真ん中にあるため 公共スペースが最低なんです 貧弱な上 足りていません さらに この街の起源や アイデンティティが 倒壊した建物とは何の関係もない この街は川とつながってるんです ところがこの川は公共のものではなかった 河岸が私有地だったからです そこで 三つ目のアイデアを 考えることにしました 私たちが取ったアプローチは 地理的な脅威に逆らう― 地理的な答えを伴うものでした もしも 都市と― 海のあいだに 森林があったら どうだろう この森林は 自然のエネルギーに抗うのではなく 摩擦があることによって それを分散する 大量の水が集中して比重が高くなっている それを薄くの延ばすように分散させ 洪水を防ぐ これにより 今までずっとなかった 公共スペースができ ついに 川への民主的な アクセスが可能となります 参加型デザインの結論として この案は政治的に そして 社会的にも支持されました しかし 今度はコストという問題が 立ちはだかっていました 4800万ドルの費用です そこで私たちは調査をしました その結果 公共投資システムには 三つの省庁があって まったく同一の場所に対して それぞれの省庁が別々の― プロジェクトを計画している ということが判明しました お互いのプロジェクトの存在を知らずにです プロジェクトの予算は合計すると 5200万ドルになりました そこで デザインが持つパワー・オブ・シンセシスで 都市で最も欠乏しているリソースを 最大限に効率よく使うという試みをしました 最も欠乏しているリソースとは お金ではありません コーディネーションなんです コーディネーションを巧く行うことで 400万ドルを節約しました そのおかげでこの森林は 現在 建設が行われています (拍手)

ですから 自己構築力にせよ 常識力にせよ 自然の力にせよ すべての力という力は 「形」へと置き換えられなければなりません そして その「形」が生み出そうとしているのは セメントやレンガや木材のことではありません 生活そのもの なのです デザインが持つ パワー・オブ・シンセシス とは 建築の内面の最も核の部分に 生活の力を当てはめるという 試みに他ならない そいうことなのです

ご静聴ありがとうございました

(拍手)