Return to the talk Return to talk

Transcript

Select language

Translated by Tomoshige Ohno
Reviewed by Natsuhiko Mizutani

0:12 胚幹細胞は 実に驚くべき細胞です 私たちの体の修理セットであり 分化能を持ちます — つまり 体のどんな細胞にも変身できるのです じきに幹細胞を使って 損傷したり病気になった細胞を 交換できるようになるでしょう

0:32 でも今日は別の話をします 現在幹細胞の応用研究が進行中で それにより様々なことが変わります 例えば 病気を捉えてモデル化する方法も変われば 病気になる理由を理解できるようにもなるでしょう 創薬プロセスも大きく変わるでしょう 幹細胞の研究により 私たちの子供が大人になる頃には アルツハイマーや糖尿病などの病気も ポリオのように予防可能になると信じています

1:07 そんなわけでこの分野は 人類にとって大きな希望なのです しかし 35年以上 時を遡り ルイーズが健康に生まれてくるまでの 体外受精を鑑みると分かるように この分野は政治的・財政的に包囲網に囲まれています 重要な研究が 支援されるどころか問題視されているので この研究に干渉されない 民間の研究所を設立することが 不可欠だと考えました そこで2005年に ニューヨーク幹細胞財団研究所を設立し 小さな組織ではありますが この研究を進めたり 支援したりできるようにしました

1:52 間もなくして気付きましたが 医学だけでなく薬学や治療の世界は みなさんの想像通り大きな組織に支配されていますが 新しい分野では大きな組織は 自分たちの方法から抜け出すのに苦労し 時には適切な質問さえできなくなるのです そのためアカデミックな研究と 薬や治療を提供する役目を負った 製薬企業やバイオテクノロジー企業の間には 大きなギャップが生じています そこで医学療法の発展を促進するために 我々はこの問題を 2つのものにより解決する必要があります 新しい技術 そして新しい研究モデルです そのギャップを埋めることができなければ 進歩はありえません これこそが私がお伝えしたいことです これこそが私がお伝えしたいことです 我々はここ数年この問題について考え するべきことのリストを作りました また新しい技術の開発も行いました ソフトウェアとハードウェアなんですが また新しい技術の開発も行いました ソフトウェアとハードウェアなんですが 遺伝子的に多様な何千何万もの 幹細胞株群を生成します 本質的には我々の分身たちなのです こんな考えから この技術を開発しました この技術はヒトゲノム解読の 持てる力を引き出して活用し 幹細胞株群を生成することで ヒトの細胞を用いてシャーレで 臨床試験を行えるようになります 動物の細胞ではなくです  そうすることで 創薬と医療はより効率的に より安全に より迅速に そしてより低コストになります

3:31 これを理解するための 背景をご説明しましょう この分野は非常に新しい分野です 1998年 ヒト胚幹細胞が初めて発見され そのわずか9年後には 日本の科学者グループが 抽出した皮膚の細胞を 非常に強力なウィルスを用いて 再プログラム化することに成功しました その結果できあがったのが 胚幹細胞の一種である 人工多能性幹細胞 通称iPS細胞です これは非常に大きな進歩でした  なぜなら これらの細胞は 現在も標準的に用いられる ヒト胚幹細胞ではないにもかかわらず 疾患のモデル化 そして将来的には創薬に有用だからです

4:16 その数ヶ月後 2008年に我々の科学者の一人が その研究を発展させました 彼は皮膚の細胞生検試料を取り出しました 今度はALSと呼ばれる 運動神経細胞の病気の患者からです その試料から先ほどお話しした iPS細胞を作りました その試料から先ほどお話しした iPS細胞を作りました そのiPS細胞から作った運動神経は病気で死んでいきました そのiPS細胞から作った運動神経は病気で死んでいきました つまり彼がしたのは健康な細胞を 病気にかかった細胞に変え シャーレの中で何度も繰り返し発病させたのです これは驚くべきことです 生きた患者の細胞から疾患モデルを得るのは これが初めてだったんですから 病気が進行するのを観察するにつれ ALSでは運動神経が それまで考えられていたのとは違う形で 死んでいくことを発見しました 毒素を送り出している細胞が別に存在し 運動神経の死を引き起こしていたのです ヒトのモデルが無ければわからなかったことです ヒトのモデルが無ければわからなかったことです

5:13 ここで言えるのは 病気の原因を突き止めようとする研究者が ヒト幹細胞モデルを使うことができないのは 飛行機事故の調査委員が 事故の原因究明に ブラックボックス つまりフライトレコーダーを 使うことができないようなものです どこがおかしかったのか仮説を立てるでしょうが 実際に何が悲惨な事故を招いたのかを 知る術はありません 幹細胞は病気に対する一連の記録を与えてくれます まるで前例のない窓です これは大変素晴らしいことで シャーレ上で実に多くの病気を再現することができ 対話的に細胞内で何がおかしくなるのか分かります 患者に病気の兆しが 見られる前にです これにより きっと近い将来には ヒト細胞を薬の治験に使うことが 一般的になるでしょう

6:17 現行の薬の治験法は問題だらけです 薬が市場に出回るまでに平均で 13年かかります — 1つの薬に対してです また40億ドルもの埋没費用も発生します 開発に着手した薬のうち たった1パーセントしか 市場にはたどり着きません 他の分野でこんな数字が出されたら だれも手を付けようとしないでしょう だれも手を付けようとしないでしょう これはひどいビジネスモデルですが それ以上に社会モデルとしても 皆に多大な 負担を強いるものとなっています 現在のところ創薬は 効きそうな化合物を試すことで進められます ヒト細胞を用いた疾患モデルはありませんでした ヒト細胞を用いた疾患モデルはありませんでした だからマウスなどの生物の細胞や 改変した細胞でテストしていました しかしそれらの細胞は必ずしも治療対象とする 病気の特性を持っているわけではありません 我々はマウスではありませんので 生きた患者から 脳細胞や心臓の細胞を取り出して あれこれ試していくことも 単なる候補薬ではできません しかしヒト幹細胞があれば 分身をつくったり細胞をつくったりできます 生きた運動神経であろうと 拍動する心細胞や肝細胞であろうと 他のどんな細胞であろうと 薬 つまり効き目のありそうな化合物を 実際にターゲットとする細胞でテストできるのです これは実に素晴らしいことで 薬効試験や治験の 極めて早い段階で 実は効かないとか毒性があるとか 分かってしまうのです 薬が市場に出回るまでの 13年もの期間を待つ必要はありません

8:13 しかしごく少数の人の細胞を見るだけでは 十分ではありません 一歩離れて見てみましょう 十分ではありません 一歩離れて見てみましょう 大きな枠組みで見なければなりません この部屋を見回してみてください 私たちはみんな違っています 病気に関してもそうです もし私がアルツハイマー病や パーキンソン病にかかったら みなさんがその病気にかかったときとは 異なる影響が出るでしょう みなさんがその病気にかかったときとは 異なる影響が出るでしょう 二人がパーキンソン病にかかって 同じ薬を投与したとしても 遺伝子の構成が違っているので 異なる結果が出るでしょう 私に対しては驚くほど効果を発揮した薬が あなたには効かないということも十分あり得ます 同様にあなたに対しては有害だった薬が 私にとっては安全ということも考えられます 明白なことだと思われるでしょうが 残念なことに製薬業界が新薬を開発する際には そのことは考慮されてきませんでした 今まではそのための道具が無かったのですから

9:17 従来のフリーサイズ一辺倒のモデルから 離れる必要があります これまでの創薬プロセスは本質的には こうでした ダンスやハイキングに行くというのに 靴屋がサイズを訊かないのです 「足にはこの靴をどうぞ」と言うだけです 靴を買うのにそんなことではいけませんし  ましてや 我々の体は単なる足の何倍も複雑にできているので 現状を変える必要があります

9:44 過去10年の間に悲しい事例がありました 素晴らしく効き目のある種の薬がありました そのうちの1つがVioxxです 関節炎に苦しむ人々にとっては 確かにVioxxは救世主でしたが 残念なことに別の集団に対しては 心臓に深刻な副作用をもたらしました さらに一部の人に対しては 副作用の影響の方があまりにも大きく 心細胞に致命的な影響を及ぼしました しかし別のシナリオを考えてみてください 遺伝子的に多様な心細胞のアレイを手に入れ 実際にVioxxを シャーレ上でテストすることができたらどうでしょう この遺伝子型をもつ人は 心臓への副作用が出ると分かります またこのような遺伝子型の2万5千人には —靴のサイズのようなものですね— 全く問題ないことが あらかじめ分かるのです Vioxxで救われる人たちは 安心してのみ続けられたでしょう Vioxxで救われる人たちは 安心してのみ続けられたでしょう 逆にVioxxが致命的な事態を引き起こす人たちは Vioxxを投与されることもなく Vioxx を回収しなければならなかった製薬会社の 迎える結末も違ったことでしょう

11:08 この事件は痛ましく この問題を解決しようとする中で 改めて考えると 遺伝子のことも 人体実験のことも考えなければなりませんが もっと根本的な問題も存在します 人体実験のことも考えなければなりませんが もっと根本的な問題も存在します 現在のところ幹細胞株は 非常に素晴らしいものですが 株は細胞の集団であるため 一度に一株ずつ手作業で作らねばならず その作業に数ヶ月かかってしまいます これでは大量生産が不可能です 手作業で幹細胞株をつくるときには 最高の設備を備えた研究所でさえも 手技にばらつきがあります 例えば薬を作っているのなら 月曜日に瓶から取り出したアスピリンは 水曜日に取り出すアスピリンと 同じものと分かっている必要があります こうして考えていくと 職人技は服飾や パンや工芸に関しては素晴らしいのですが 幹細胞に関しては 向いていません そこでこの問題を解決しなければなりません

12:09 それができたとしても  また別の大きなハードルが存在し ヒトゲノムのマッピングから 始めなければなりません 我々はみな異なっているからです ヒトゲノム配列解読により 我々の遺伝子を構成する全ての ACGT は示されていますが しかしコードだけの DNA は 1と0からなるコンピューターコードを 解読用コンピュータ無しで読んでいるようなものです スマートフォンを持ってないのに アプリだけ持っているようなもの そこで生物学が登場して 有用なデータへ変える必要があります その方法は 生物の代役を用意し 遺伝情報を全て詰め込み 解読可能なように アレイに並べ 分身を作ってみることです あらゆる亜型からつくった幹細胞で 私たちがどのようなものかを表現することが 必要となります

13:16 これが私たちのつくったものです 自動化ロボット技術です 何千何万もの幹細胞株を生産することができ それらの株は遺伝情報に応じてアレイ状に並べられます 並列処理能力も優れており 創薬プロセスを変えることが期待されます そのうち起こるだろうと私が思うことは このようなアレイ上で薬を 再スクリーニングすることです 今存在する全ての薬をです 将来の薬や治療法は 事前に副作用を精査されていることでしょう 関連のある細胞全てで 脳細胞や心細胞 肝細胞でもです

13:57 この技術によりオーダーメード医療は 目の前まで近づいています 私の家族に関して言えば 息子がI型糖尿病にかかっており 現在も完治は不可能です 両親も心臓病とガンで亡くしました どこかで聞いた話のようだ と思われるかもしれません 皆さんも似たような経験をお持ちでしょうから 人生のどこかで誰もが 自分や愛する人たちが 病気の患者となります だからこそ幹細胞研究は 我々全員にとってとても重要です ありがとうございました (拍手)